本日は若者に「あざーす」なんて言われても大人の対応ができるよう、『伝授!潜在意識浄化法』で紹介されている幼児語変換テストを受けていただきます。なぜ、それで大人の対応ができるようになるかは読んでのお楽しみ、ということで。
成熟した大人の話し方
前回、「何事にもケチをつけない」話をしました。
どんなことにも、無理やりケチをつけようと思えばつけられます。メールの返信をくれてうれしいときに、ただ「うれしい」と喜ぶこともできるし、「できれば昨日のうちに返信してほしかった」とケチをつけることだってできる。
つまり、純粋にどんな出来事だったか、ではなく、自分の姿勢が言葉に現れてくる、といえます。
軽くケチをつけるような「控えめな悪口」は自覚しにくいので、気にしながら生活してみましょう。もしかしたら、思った以上に「控えめの悪口」を言ったり思ったりしているかもしれません。
「成熟した大人の話し方」を身につけるには、「悪口を頑として我慢したり否定したりする」のではなく、「さっさと流して次へ行く」感覚がコツです。
幼稚語テストです
さて、あなたはこのレッスンで「きちんと話せる人になる」と決意していますね。だから言葉に関しては高度な負荷をかけていきます。
今日は幼稚語テストです。「テスト」といっても、答えがひとつに決まっているわけではありません。そこが言葉の奥深さですね。
「正解を1つ覚えれば足りる」わけではないのが、言葉や話し方の世界です。相手によって、場面によって、状況の変化によって、正解が微妙に変わっていきます。
「テスト」というより、「トレーニング」と捉えてください。きちんと話せる人になるための「言い換えトレーニング」をしましょう。
「成熟した大人の話し方」にとって、「意味がなんとなく伝わってきたから大丈夫」ではなく、「より適切な言い方へと瞬時に言い換えができる」能力が必要です。だから話し方は日頃のトレーニングにかかっているんですよね。
ちなみに、「幼稚語」を覚えるためのテストではありません。今日は20例を挙げますが、意味がわからない例もきっと含まれていることでしょう。私にとっても、「こんなニュアンスと聞いたが、正確に理解できているわけではないだろう」というものが含まれています。
「おわた」「だめぽ」あたりはよくわからない。なぜ「ぽ」なのか……。
そのあたりは、例として挙げてくださった方は、ぜひ詳しく説明を添えてください(こんな人たちがこんな場面でこう使う。だからこう言い換えができる、等など)。
では、始めましょう。
●次の幼稚語を、「きちんとした場面」で使える表現に言い換えてください。
1. あざーす
2. ありえなくない?
3. いんじゃね?
4. うける~
5. おわた
6. 食いてー
7. ググる
8. ~系
9. じゃなくね?
10. だめぽ
11. ~っす
12. ていうか
13. ハンパない
14. 引くわ~
15. マジかよ~
16. マジで!?
17. ムカつく
18. ムリ
19. やばくない?!
20. リア充
複数の書き換えをしたり、「こんな状況なら」と条件を設定してもいいですよ。
さて、「大人の話し方」に言い換えられましたか?
幼稚語テストの答え合わせ
ところで、なぜ今回のテストをトレーニングとしておこなっているか、わかりますか?
おそらく、あなたは「あざーす」「いんじゃね?」「食いて~」といった言葉を日常的に使ってはいないでしょう。
テストに挙がった20例が「日常会話のレパートリー」になっているとしたら、ネット等で触れる情報や居場所に問題があるか、高校生くらいのお子さんが身近にいて、よかれと思って言葉を合わせてあげているか──そんなところでしょうか。
では、あなたがふだん使っていないであろう言葉を取り上げているのはなぜか。
「成熟した大人の話し方」のトレーニングだからです。
「正しい言葉遣い」を覚えるだけなら、その手の本がいくらでも出ています。しかし、その手の本で「成熟した大人の話し方」が身につくかというと、つかない。かえって「嫌な感じの態度」になりかねない。「言葉を覚える」だけでは「成熟した余裕のある態度」にはならないのです。
「あざーす」「いんじゃね?」「食いて~」などを、あなたが使わないのは当たり前。そんなのは、前提です。もし万が一使っていたら、反省して、言い換えの練習をしてください。
今回のトレーニングの目的は、「このような言葉を相手が使ったときに、成熟した大人の反応ができるようになる」ことです。
多くの人は余裕がないので、「気づかないうちに染まる」。中高生が新語や流行語をよく使うのは、そのせいです。まわりの友人たちが使っているのを見聞きして、馴染んで、いつの間にか「違和感のない語彙」になっていく。
大人が「気づかないうちに染まる」になってしまったら、余裕がなさすぎます。身近な人に合わせて使っているうちに「あざーす」が自然な発音になってしまい、「えっ、あざーすはダメっすか。てゆうか、べつにいんじゃね? マジムカつくんだけど」と言い返すようには、あなたはならないでしょう。
しかし、ここから先にあなたのトレーニングがあります。
今回挙げた言葉に限らず、「美しくない」「品があるとはいえない」「成熟を感じさせない」言葉はいくらでも出てきます。そんな言葉に対して「どう反応するか」があなたの成熟度を決めるのです。
「何事にもケチをつけない」という話がありましたね。たとえ自分には馴染みのない言葉であっても、ケチをつけて相手を責めるのは、あなたらしい美しい態度ではないでしょう。
そこで、どうするか。
自分の中で「脳内変換」をおこない、成熟した大人として反応していくのです。
たとえば、「あざーす」と聞こえたとき、「ありがとうございます」と脳内変換して、相手が「ありがとうございます」と言ったものとして受け取る。そうすれば、「いいえ、どういたしまして」のように返すあなたの反応は、成熟した大人の反応になるでしょう。
まずは1~10の言い換え
では、20例もあるので今回と次回とで半分ずつに分けて、ざっくりとではありますが答え合わせをしていきましょう。
寄せられた回答から「適切な言い換え」「うまい言い換え」の例を書き添えていきます。
1. あざーす → ありがとうございます
これはまあ、いいでしょうね。定番中の定番、お礼の決まり文句なので、言い換えのバリエーションはかえって少ないでしょう。
言語の経済性を追求しすぎて「できるだけ速く言う」と、たしかに「あざーす」に近い音になります。
あなたは落ち着いて、大人の余裕で返しましょう。
2. ありえなくない? → 考えられないですよね、めずらしいですよね
最近ありがちと指摘されているのが、「断定を避ける曖昧な表現」です。これも「ありえない」と言い切らず、疑問文にして「押しつけがましさ」を和らげている例といえるでしょう。
「やわらかい」という点では、断定より成熟していると言えなくもありませんが、「責任を負う」ことを避けているとも推測できます。
相手本位に考えてあたりをやわらかくしているのか、突っ込まれたときに「そこまで断定してない」と逃げを打つための備えなのかによって、「幼稚語が伝える幼稚性」が変わります。
「めずらしいですよね」という回答を送ってくれた方がいます。このくらいに脳内変換できると、余裕のある大人の話し方で応じられそうですね。
3. いんじゃね? → いいと思います、よろしいのではないでしょうか
「いいと思います」と相手が言ったものとして受け取れば、無理なくストレスなく「そうですよね。私もそのほうがいいかなと思っていたんです」のように会話を続けることができるでしょう。
周囲から見ていても、たいへん余裕のある大人の態度です。
4. うける~ → おもしろい
本来の「ウケる」は、話や芸を「おもしろい」と思ってもらえた発信者側からの言葉です。
芸人が「今日のネタは客にウケた」のように使います。
おもしろがっている自分が口にして、パンパン手を叩きながら「うける~。チョーうける」と騒ぐ言葉ではありません。
「おもしろい」と言っているのだと解釈するだけでなく、そう「聞く」ようにしましょう。
5. おわた → (ダメだ終わったの意味)難しかった~
どうやら、「お手上げ」のニュアンスで使われるようですね。
だとしたら、回答の中にあった「試験が難しくて、単位を落としそう」な場面で使われたとしたら、「試験が難しくて、単位を落としそう」と言われたものとして受け取れば、「難しかったね。単位が危ないかも」のように、ナチュラルな日本語で返せるでしょう。
6. 食いてー → 食べたい、食べてみたい
これはあらためて取り上げるまでもないでしょう。「えっ、食いてー?」と言葉遣いに顔をしかめるのではなく、「食べたい」と言われたのだと解釈すれば、「私も」のようにストレスなく反応できますね。
「余裕ある大人の話し方」にとって、このプロセスが大事です。「自分では使わない言葉」でも意味はだいたいわかり、「自分でも使う言葉」に脳内変換して聞き、そこにナチュラルな反応をしていく、というプロセスです。
7. ググる → (ネットで)検索する、調べる
「グーグルで検索する」から来た言葉だそうです。日本語ではよくあるタイプの造語法ですね。
「ググってみて」と言われたときに、「調べてみたら?」と脳内変換すれば、図書館で調べる行為も選択肢に入ってきて、成熟した大人の調べ方ができそうです。
8. ~系 → ~のような
これは応用──といえるかわかりませんが──範囲が広くて、ニュアンスがかなり違う場面で「テキトー」な感じに使われます。
「昨日は和食だったから、今日はパスタ系がいいかな」なんていうのは、わかりやすい。
「明日はどうする? 駅で待ち合わせてから、行き先を決める系?」あたりまで行くと、まさに「テキトー」「とりあえず付けている」感じですね。
「って感じ?」くらいのニュアンスでしょうか。ちょっと前に流行った「みたいな?」に近いかもしれません。
すべてが「~のような」に変換できるわけではありません。ケースごとに適切な変換を考えてみてください。
9. じゃなくね? → ではないでしょうか、ではないのでは?
注意しないと見逃しそうですが、回答として届いた「ではないでしょうか」と「ではないのでは?」は、意味が正反対なんですよね。
ところが、実際には「肯定? 否定? どっちなの?」と厳密に問われることなく、「なんとなく」通じているのが現状なのだそう。
「ない?」の部分が「ね?」のみに変わっているので、否定の意味が薄らいでいるのでしょうか。
二重否定、三重否定は、間違いではないにしても「伝わりやすい表現」ではありません。シンプルに言い換えられるなら、シンプルなほうを使いましょう。
10. だめぽ → だめ、だめっぽい、難しい
「だめっぽい」の短縮形なのでしょうか。変化の経緯はわかりませんが、たしかに「だめ」と「ぽ」が並んで出てくるのも、不自然すぎるわけでもないようです。
ネットを多用している人たちが使う「ネットスラング」の類は、美しい話し方、大人の余裕を感じさせる話し方の対極にあります。知らないなら知らないでまったく問題ありません。
見聞きしたら、文脈や相手の様子から意味を推測して、どう言い換えたら「大人の使用に耐える言葉」になるかと考えるいいでしょう。
他人に目くじらを立てるのが目的ではない
大事なので、最後にもう一度繰り返しますね。
トレーニング全般に関して、「あなたを高める」のが目的であって、「他人に目くじらを立てる」のが目的ではない、と認識しましょう。
「幼稚語」をあなたが使わないのは当然としても、他人が使っている現状はあるはずです。いろいろな人がいますから。そういう「言語的に異なる意識を持っている人たち」とも良いコミュニケーションができるのが、本当の「成熟した余裕ある大人」です。
感じたことは、相手に伝わります。
幼稚語に「なにそれ!?」と反発するのではなく、脳内で自動変換してしまって、ストレスなく良い反応ができるようになりましょう。
今日はここまで。また次回(10/22)にお会いしましょう。
image by: Shutterstock
『伝授!潜在意識浄化法』より一部抜粋
著者/齋藤翔
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