10月15日、現役人気アイドルだった高部あい(27)が、麻薬および向精神薬取締法違反容疑で逮捕されたニュースは記憶に新しいところですが、その裏で元グラビアアイドル(26)が覚せい剤取締法違反で逮捕されていました。華やかな世界とクスリは、密接なつながりがあるのでしょうか。メルマガ『今井亮一の裁判傍聴バカ一代』では、この元グラドルの裁判傍聴の様子を詳細に紹介しています。
元グラビアアイドルがはまった闇
11月19日(木)14時30分~15時30分、東京地裁815号法廷(52席、杉山慎治裁判官)で「覚せい剤取締法違反」の新件。
14時14分頃に行くと、俺がドアそば2番だった。すぐに行列は7人にのび…。
被告人は身柄(警察留置場)、上下グレーのジャージ、長い茶パツを青いゴムで縛ってポニーテールにしてる。あのジャージもゴムも留置場のかな。んなことより、被告人は美人なのだった。背が高く、目が素敵。シチュエーションのせいか、なんか哀しく儚げ(はかなげ)な…。
裁判官が登壇し、人定質問。生年は「平成元年」、26歳だ。
裁判官 「職業は何ですか?」
被告人 「アルバイト…」
裁判官 「何のアルバイトですか?」
被告人 「下着屋さんのアルバイト…」
裁判官 「起訴状では衣類品販売店の従業員となっていますが、それでいいですか?」
裁判官 「はい」
そして検察官(小柄で小顔の女性)が、若い美しい声で起訴状を朗読。
検察官 「被告人は、みだりに、平成27年(2015年)9月11日…(都内マンションの)被告人方において、覚せい剤であるフェニルメチルアミノプロパン塩酸塩を有する結晶、約1.317gを所持したものである」
自分では使用せず、所持だけ? そんなの珍しい。
被告人の認否は、「(起訴状の内容に)間違いありません」。泣きそうなのか、声が少し揺れてる。
検察官が冒頭陳述で、被告人の身上、経歴を述べた。
検察官 「高卒資格を取得後、主にモデルとして稼働していました…」
グラビアとかいろんなモデルをやってたんだろう
てゆっかさ、「高卒資格を取得」って珍しい。本誌第1596号「コテコテのキャバ嬢の8~9割はシャブ中だ」のあの元カリスマ読者モデルも、勉強してPC関係の資格を取ったと言って将来を考えてマジメに勉強するような女子も、華やかな世界に入ると、シャブに食われていく(場合がある)のかと、俺は傍聴席で勝手にしみじみ…。
検察官 「婚姻歴はなく、犯行時は交際相手と同居…同種前科1犯がございます…平成24年(2012年)7月23日宣告、覚せい剤取締法違反、懲役1年6月、執行猶予3年…」
控訴とかしてなければ、執行猶予の期間は満了してるはず。良かったね。
甲号証の要旨告知が終わり、検察官が被告人にブツを展示した。チャック付きビニール袋に入った白色結晶だ。
検察官 「これに見覚えがありますか? 中身は何ですか? これはあなたのものですか? もう要りませんね?」
ブツは3点あり、検察官は同じ質問を事務的に三度くり返した。 ※三度くり返すといえば『新約聖書』、マタイ書26節、ペトロのエピソードだ。
被告人は「はい、要りません、要らないです」と泣き声で答えた。
執行猶予の期間は満了したとはいえ、実刑は間違いないだろう。後悔の涙、か。
続いて乙号証の要旨告知。被告人の調書にこんな部分があった。
調書 「私の携帯電話にぴょんと書かれている■■■■という人間からで…10g15万円で購入しました…知り合いに1g1万5千円で譲り…ジョイスと書かれている●●に1g1万5千円で譲り、そのジョイスが無断でチエミに1g2万円で…」
ジョイス君、ちゃっかりしてる…。
調書 「アシュリーに1g2万円で…その後、私が何回か使った…あと、別のアシュリーに譲り渡す予定…」
犯行動機は、こうなんだという。
調書 「今年6月頃、飼っている犬の歩き方が変で病院へ連れて行ったら、手術費用が60万円かかかると言われ…デリバリーヘルスで働くようになりました…しかしつらくて嫌なこともあり、体は疲れ切っていました…私は以前、覚せい剤を使ったことがあり、覚せい剤を使えば嫌なことが忘れられたり、3日くらい起きていられる…体の疲れが取れ…覚せい剤を購入することにしたのです」
なるほど、というか何というか。
裁判官 「近日に追起訴があると聞いてますが」
検察官 「今日明日中に追起訴…」
裁判官 「同種ですか」
検察官 「使用です」
普通、所持と使用はいっしょに起訴するのに、本件はなぜ分けたのか。
裁判官 「それで(追起訴は)終了ですか」
検察官 「はい…(追起訴分の書証を弁護人に対し)12月頭の週には開示できると」
弁護人 「情状証人を予定しており、遠方からいらっしゃるので、午後にしていただければ」
つーことで次回は12月17日(木)14時30分からと決め、14時44分閉廷。
デリヘル嬢に身を堕としても救いたかった犬は、どうなったんだろう。身を堕とすなんて、俺が古いおっさんなんだろうか。
次回、傍聴したい。
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『今井亮一の裁判傍聴バカ一代』
著者/今井亮一
交通違反専門のジャーナリストとして雑誌、書籍、新聞、ラジオ、テレビ等にコメント&執筆。ほぼ毎日裁判所へ通い、空いた時間に警察庁、警視庁、東京地検などで行政文書の開示請求。週に4回届く詳細な裁判傍聴記は、「もしも」の時に役立つこと請け合いです。しかも月額108円!
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