ご存知ですか? 米国西部に、こんなに素敵な日本庭園があることを。大幅な改築工事のため半年間も閉園していたそうですが、先日再オープンしました。なぜ、アメリカにここまで本格的な日本庭園が存在するのでしょうか?
オレゴン州ポートランドに佇む美しい日本庭園
北米西海岸に位置するオレゴン州ポートランドには歴史ある日本庭園があります。
その名は“ポートランド日本庭園” (Portland Japanese Garden)。
大幅な敷地拡張と増設工事のために半年間も閉園していましたが、先日一部の工事を終えて、運営を再開しました。
新たな装いとなったのが庭園の門の外にあるエリア。
75歳にもなる歴史ある桜の木が訪問者を出迎えてくれます。
この日本庭園のリニューアル・プロジェクト“Cultural Crossing expansion project”は現在も進行中で、すべての工事が完了するのは2017年4月の予定。
その工事費用はなんと3350万ドル、日本円にして約38億円にものぼります。
このプロジェクトには、あの新国立競技場のデザインを手がけることになった建築家の隈研吾氏も参加しています。
今後は庭園の門を動かし、門の外を拡張していく予定とのこと。
また門を動かしたことによってできた新たなスペースには展示会場、クラスルーム、カルチャーイベントなどを行う空間に加えて、広めのギフトショップが設けられる予定です。
代表のスティーブ・ブルーム氏は、「このリニューアル・プロジェクトは訪問者の経験を素晴らしいものにし、包括的な教育環境を提供することになるでしょう。私たちは伝統的な日本庭園の芸術を守り、支えています」と話します。
すでにユーザーからは、「とても素晴らしいガーデンだよ。米国では1位か2位にランクインされてるよ。ポートランドの宝だよ」、「開園してから訪れるのが楽しみだなー。工事が完成するのも」といった声があがっています。
息をのむほど美しい風景
なぜこんなところに日本庭園が?と思った方も多いことでしょう。
実は、この設計を手掛けたのは日本人なんです。
造園分野では初めてアメリカの大学で修士号を取得し、造園家として活躍していた戸野琢磨氏という人物が、この庭園をデザインしたということです。
総面積5.5エーカー(約22,000平方メートル)の敷地を広大な土地を持つこのポートランド日本庭園は、自然との調和や静穏をコンセプトし、5つの庭園様式から構成されています。
もちろん、四大構成要素である石、水、草木、景物も取り込まれています。
戸野氏がこの庭園に「自然・風土と真行草などのデザイン構成、それに神仙思想、蓬莱思想などの内面性(精神性)が育んだ固有性の強い文化空間」を求め、それを見事に具現化しました。
これが、その5つの庭です。
ここがアメリカとはとても思えない景観ですね。
Tea Garden(茶庭)
ちなみにこちらは雪景色の門。
眺めが全く違います。
Flat Garden(平庭)
この庭では四季の移り変わりを体感することができます。
春には桜の木、冬には松の木を鑑賞できます。
水のない石や砂の庭のスタイル「枯山水」も見事。
秋の風景です。
Natural Garden (自然の庭)
草木が生い茂るような”雑木の庭”をイメージしています。
Sand & Stone Garden (砂と石の庭)
Strolling Pond Garden(池泉回遊式庭園)
園内を回遊して鑑賞することを目的とした回遊式庭園。
秋になると紅葉がみられます。
地元の人たちとの積極的な交流も
様々なワークショップやイベントも開催され、積極的に参加する地元の人たちの姿もたくさんみられます。
桜を見ながら会話を楽しむマダムたち。
橋から眺めに風情を感じている親子も。
地元の人たちにも好評の楓の枝切りワークショップ 。
子供の日には太鼓をお披露目。
image by: Portland Japanese Garden. Photo by Jonathan Ley
秋には紅葉とともに見事な滝を眺めることができます。
こちらの霧に包まれた五重の石塔は姉妹都市の札幌市より寄贈されたそうです。
園内の見学にかかる所要時間は約45分〜60分ほど。
現在、庭園の門の外にある新しい中庭では、約6mの中世風の城壁の工事を行っています。
苔の庭園やウォーターテラスなど、いくつかの新しい庭園もみられます。
来年の春にはすべてリニューアルされるので、今から楽しみですね。
Image by: Portland Japanese Garden. Photo by Jonathan Ley
Source by: Portland Japanese Garden , Oregon Live
文/MAG2 NEWS編集部