みなさんは「コンプリメント」という言葉をご存知でしょうか? 直訳すると「ほめ言葉・賛辞」という意味の英語です。「不登校は99パーセント解決する」(リーブル出版)の著者である森田直樹さんは、自身のメルマガ『コンプリメントトレーニング』の中で、「コンプリメント」が子育てにおいて最も重要であると説いています。同メルマガでは、ただ「褒める」だけではなく、子どもの心を自信で満たす正しい「コンプリメント」のやり方を紹介。不登校のお子さまをお持ちの親御さん、必読です。
子どもの心を自信の水で満たす子育ては、コンプリメントトレーニング
コンプリメントトレーニングは、親が肯定的な言葉かけ「コンプリメント」をし、自信の水で子どもの心を満たすことです。
コンプリメントトレーニングは、子どもの学年に関係なく共通です。自信の水は子どもの順当な成長の燃料となります。この自信の水不足は、子どもの順当な成長を妨げます。成長が妨げられると、様々な身体症状が表れます。その一つが不登校です。登校するための力や自信を失っているのです。
身体症状の出る子どもは、学校や家庭で肯定されることが少なく、ストレスを感じることが多いのです。そうすると「自信の水」をたくさん使い、ますます減っていきます。自信の水は主に親から補給してもらいます。身体症状の出ている子どもの家庭では、自信の水を補給できないどころか、親が子どもの自信の水を減らすこともあるのです。
子どもの身体症状も、子どもの心を自信の水で満たせば、順当な成長となり、子ども自ら問題を解決していくのです。子どもの心が自信の水で満たされれば、子どもは力を発揮できるのです。子育てとは、我が子が順当な成長をしていくための自信の水を子どもの心に満たさなくてはならないのです。
どのようにすれば子どもの心を自信の水で満たすことができるのでしょうか。
自信の水は、親からの「愛情」と「承認」です。子どもに愛情をしっかりとかけ、しっかりと認めてあげればよいのです。ところが、
これが簡単なようで分かりにくいものなのです。愛情のふりかけでもあればよいのですが。私はこの愛情のふりかけを考案したのです。
それは、子どものしたこと・できたことの事実に次の言葉を付け加えます。
{愛情}「・・・・お母さん(お父さん)うれしい」
{承認}「・・・・の力がある」
二つの言葉に共通しているのは子どもを信じることです。自信を失っている子どもに、したこと・できたことの事実を気づかせるの
です。これがコンプリメントです。この二つの言葉を使うと親の愛情と承認に気づくのです。
子どもが心を開き、親の言葉を受け入れなければ、どのような支援も効果を持ちません。コンプリメントも効果が少ないのです。子
どもが心を開くためにもひたすらコンプリメントである子どものしたこと・できたことの事実を{愛情}「・・・・お母さん(お父さん
)うれしい」{承認}「・・・・の力がある」の言葉を使ってコンプリメントし続けるのです。
このコンプリメントは、一つや二つではいけません。一日に三個、身体症状がでていれば六個以上必要です。
また、心の奥底から愛情をこめてコンプリメントしなければなりません。中学生や高校生・大学生にも使います。そうすると「気持ち悪いからやめろ」なんて言われます。良い反応があるなんて考えないことです。自信の水を入れてあげられなかった親なのです。信頼なんてされていないのです。「そんなことを言ってもムダ。親の言葉を疑われます。身体症状が出ていないととても良い反応をします。子どもは親からの自信の水に心を震わせます。反応が悪いからとコンプリメントをやめるとコンプリメントを疑います。「本当にそう思うんだよ」と言い切ります。それ以上は何も言いません。
また、子どもは親のコンプリメントが本物かどうかを試してきます。この試しは無理難題で迫ってくることもあります。親ができることはしてあげ、できないことははっきりと説明して断ります。親の毅然とした態度が子どもの信頼も得ますし、躾ともなるのです。試しは、繰り返し何度もやってきます。
幼い子どもでしたら、このコンプリメントを三日続けると、効果が感じられます。コンプリメントしながら子どもを観察し記録していきます。二回目の育児手帳です。コンプリメントと子どものよい変化のみ記録していきます。悪いことは書かないのです。ですから、子どもに読まれても大丈夫なのです。
身体症状の出ている子どもには、まずは、「・・・の力がある」を多く使います。これに慣れると「・・・お母さんうれしい」を使います。「お母さんうれしい」を使うのは簡単ではないのです。「ありがとう」など別の言葉に置き換えてしまいます。親子の会話としてはよいのですが、それはコンプリメントではないのです。「お母さんうれしい」でなくてはならないのです。
とにかくコンプリメントは、したこと・できたことの事実、言い方、言う時と場を考えてかけなくてはなりません。
親は親にとって都合のよいことに「お母さんうれしい」を使うことも多いのです。これも子どもを操作することになりますのでコンプリメントではないのです。
二つの言葉を使ったコンプリメントに慣れてくると、子どもが心を開いてきます。子どもが心を開いてきたと感じたら、さらに質の高いコンプリメントをしていきます。学年に応じたできたこと・したこと、持っている力、心のよさ等をコンプリメントしていくのです。子どもにコンプリメントしたいのは、「何」なのかを子どもに分かりやすい言葉にするのです。親の思いや解釈を入れないことです。グダグダしたお説教のようなコンプリメントにはしないことです 「神仏からいただいた命」であること、人様に役立つために生まれてきたこと、親の元に生まれてきてくれてとてもうれしいこと等もコンプリメントします。
コンプリメントトレーニングは、子どもによってすべて異なります。親によるオーダーメイドのコンプリメントでなければ効きません。
こうしてかけたコンプリメントが熟成してくると、親のかける言葉はすべてがコンプリメントの働きをしていきます。親のどのような言動でも自信の水となっていくのです。
整理しておきます。
まず、したこと・できたことをコンプリメントします。これは身体症状がでていると親子の信頼関係を作り直します。
これができてくると、神仏からいただいた命、生まれてきてくれた親の喜び等を繰り返してコンプリメントします。同時に、したこと・できたことの中味をその学年に応じた内容にしていきます。親のもののみ方・考え方・行動のし方を見直していけば気づきます。その学年に応じていれば中味はあります。自信の水の作り方は三章に書いてあります。
ポイント1 自信の水をつくる
- 子どものよさは、したこと・できたことの事実であること。想像したことは使わない
- 子どものよさに、親のうれしい気持ちを加えると自信の水になる
- 子どものよさに「・・・・の力がある」を加えて励ます(身体症状の出ているときは、・・力があるを多く使う)
- 愛情深く観察し、子どもを主人公にした声かけをする
ポイント2 コンプリメント
- コンプリメントは、子どものよさを伝えて気づかせること。
- 一日三つ以上(身体症状がでていたら六個以上)のコンプリメントを守る。
- 子どもを操る「・・・してくれてうれしい」のようなコンプリメントはしない。
- 未来の可能性の種まき・子どもの存在の意義・生き方等はインプット(理詰めでなく、繰り返してサラリと伝える)する。
ポイント3 観察記録を付けることが大切
- 二回目の育児手帳と考えます。
- 子どものいつもと異なる「よさ」を見つけます。悪いところは書かない。その見つけたよさをコンプリメントします。
その他
- 躾は叱らず諭す。
- 電子機器等の依存があれば、子どもが心を開いたら制限していく。
- 心のコップを大きく強くそだてるには、様々な体験から学んだ経験の積み重ねが必要。
- 過干渉・過保護は子どもの心のコップを大きく強く育てられない。ストレスも心のコップを育てるチャンス。
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著者:森田 直樹
拙著「不登校は99パーセント解決する」(リーブル出版)に基づく不登校や発達障害等の子どもたちの再登校や学校適応への支援の理論や技法をケース例を挙げながら、親、教師、カウンセラー等へコンプリメントトレーニングを解説していきます。
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