「撮ったその場で写真をみることができる」というのが最大の特徴であるインスタントカメラ。日本国内では富士フイルムから1998年から発売された「チェキ Instax mini」シリーズがヒットし、インスタントカメラブームが巻き起こりましたが、デジタルカメラが主流となる中、その人気も2002年に終息を迎えたと言われていました。しかし、その後、韓国、中国、インドネシアなどのアジアで広まり、いまでは欧米でもブームだそうです。
富士フィルムの「チェキ」の人気が再到来
2015年のホリデーシーズンに米国アマゾンのカメラカテゴリで一番売れたアイテムというのが、富士フイルムのインスタントカメラ用のフィルムでした。
昨年に限らず、現在の米アマゾンのカメラ部門のベストセラーの商品のラインナップを見ても、その人気ぶりがうかがえますね。
富士フィルムの製品がずらりとランクイン
image by: U.S Amazon
明らかにこれはたまたま売れたという商品ではなく、近年インスタントカメラがレトロブームの中で人気を博してきている現れなのです。
米WSJによると、昨年度には富士フイルムのインスタントカメラ「チェキ シリーズ」は500万個の売り上げ記録が報告されています。
これは、同社のデジタルカメラ製品をはるかにしのぐ勢いとのこと。
しかも、2016年度は最低でも650万個の売り上げが見込まれているというから驚きです。
それに対して、同社のデジタルカメラは前年度140万個にとどまりました。
おまけにデジタルカメラ業界市場は19%も縮小。
人気のinstax mini 90 ネオクラシック
こうした「Instax(チェキ)」の売上増加の主な要因は、”アナログ回帰”という時代の風潮によるものだと言われています。
インスタントカメラに限らず、アナログレコード盤などにも注目が集まっているんだとか。
このアナログ回帰の動向は、Instaxにとってはまたとないチャンス。
Instaxは1998年の発売以降、2002年までに100万個もの売り上げを記録。
しかし、2004年には売り上げは10万個へ急降下したため、その後10年の間に新商品の開発はおこなわれず、富士フイルム社はこの部署の閉鎖をも検討に入れていたとのこと。
現在、再び人気に火がつき、売り上げの30%がアメリカ、30%がアジア、そして15%がヨーロッパからもたらされていると言われています。
いま世界がチェキに夢中!
実際に、SNS上でもその人気ぶりが伺えます。
「温水プールでカシャ!」
Hottub fun tonight with my @Instax #instax pic.twitter.com/IhYFk4ueYE
— Karmen Lindner Photo (@Karmen_Lindner) 2016年6月7日
「Instaxウオールを作っちゃった!」
Finally started my @Instax wall 😍👍🏽 pic.twitter.com/GhIp9iKbOs
— ariana g. (@photographappy) 2016年5月15日
「エアストリームの天井を飾っちゃたぜ!」
Decorated the ceiling of Wally the @Airstream last night with #Fujifilm @Instax. Pretty rad, right? #59in52 pic.twitter.com/xQMaKk7kxg
— Stefanie Payne (@iStefPayne) 2016年5月4日
ドローンにInstaxを搭載した人も!
How cool! Student Nick Kundrat at RIT built an instax drone – dropping photos from the sky! https://t.co/wkSOMD15rL pic.twitter.com/4e3LZnjSRX
— Fujifilm Instax (@Instax) 2016年5月24日
いつでもどこでもチェキで思い出作り!
チェキの写真をスマホのカメラで撮って、SNSにアップする人が続出しています。
本当にブーム!
アナログブームの背景に新商品も登場
この世界的な「インスタントカメラ人気」に鼻息を荒くした富士フイルムは、「スマホ de チェキ”(Instax SHARE SP-2)」という製品が7月15日に発売だそうです。
これは2014年1月に発売したものの後継機種にあたり、SP-1に比べて解像度が上がり、印刷もはやくなっているそう。
さらにアプリには画像の明るさ・コントラスト・彩度を調整できるフィルターをはじめ、2~4枚の画像を組み合わせて1枚にできるテンプレート、1枚の画像を2枚のチェキフィルムに分割して出力できるテンプレート機能などが付いているとのこと。
”撮った写真をその場で印刷してプレゼントする”シェア文化の時流と、紙に印刷するというアナログ回帰をうまく組み合わせた商品といえますね。
このようにアナログブームの裏では消費者が欲しがるような新商品が登場しています。
考えてみると、写真は言葉の壁というものに影響を受けない、人類共通のすばらしい表現方法。
もはや、誰もが日常や非日常を切り取って発信していく「人類総カメラマン化」の時代ですが、今後もアナログとデジタルの垣根を越えて、世界のカメラ文化は進化していくのでしょうか。
Image by: Fujifilm Instax
Source by: PetaPixel, FUJI Rumors, ITメディア, 日経トレンディ, PFU, ツイッター, 富士フィルム
文/桜井彩香