数年前に「古民家ブーム」があったのをみなさんは覚えていますか? 都会でのマンション暮らしから一転、郊外にある古民家、いわゆる古くからの日本家屋に移住する人や、古民家を改築した隠れ家的なカフェなどが話題となりました。それに対して、今世界中で話題となっているのは、何と「小さな家 (tiny house) 」。「いつかは大きな家に住みたい」というのが将来の夢の一つだった人も多いはずですが、昨今のこの「小さな家」ブーム、その魅力は何なのでしょうか。
広い家よりも快適で便利?「小さな家」ブーム到来
海外旅行に行くと、その街並みを味わうことも楽しみの一つですよね。
歴史的な建造物はもちろんのこと、ちょっとしたカフェやおしゃれなお店などにも、日本とは違う趣や風情がにじみ出ていて、理由なく惹かれるもの。
海外からの観光客にとっての日本家屋も同様で、瓦屋根の大きな家の前で写真を撮る外国人を見かけるのも珍しくありません。
先述の「古民家ブーム」では、多くの若者が都会の便利な生活を離れ、多少不便でも昔ながらの利便性を兼ね備えた日本家屋に移り住んだわけですが、その魅力の一つは「広さ」。
狭いマンションでは実現できなかった、例えば家具などのインテリアにこだわったり、庭で家庭菜園やガーデニングを実現したりすることで、マンションのひしめき合う都会での息苦しさから解放され、ゆったりとした空間で落ち着きたいと感じる人が多かったのではないでしょうか。
それに対し、世界で今注目を浴びているのは、「小さな家」「tiny house」。
アメリカやドイツ、スペインなど、さまざまな国で多種多様なスタイルにわたる「小さな家」が人気を集めています。
建築家だけでなく、なかには自らが住む家を建てる人もいるわけですが、あえて小さな家を好む人々が語るその理由の多くは、無駄を省いたシンプルな生活を好み、家賃を支払う必要もない、「解放的な」暮らしがしたいからだというもの。
その生活をご紹介します。
コロラド州にある約3坪の家に住む若きカップル
アメリカ・コロラド州で、広さわずか124平方フィート(11.52㎡ / 3.48坪)の家を建てたカップル、Christopher Smith氏とMerete Muellerさん。
Image by: 「TINY: A Story About Living Small」公式フェイスブック
小さなキッチンとバスルーム、寝室として使うロフトを含むこの小さな家を建てる様子は、映画「TINY -a story about living small-」にもなっています。
Image by: 「TINY: A Story About Living Small」公式フェイスブック
Image by: 「TINY: A Story About Living Small」公式フェイスブック
小さいから移動だって可能!
Image by: 「TINY: A Story About Living Small」公式フェイスブック
小さなバンを改造。移動しながら暮らす旅 20代の映画監督
窓を全開にすれば空気も新鮮。大自然に囲まれた暮らしができる
image by: Zach Both
隠れたところにあるキッチン。蓋を閉めると、ワークスペースになる
image by: Zach Both
おしゃれな寝室。とても車の中だとは思えない
image by: Zach Both
情報サイトtreehuggerによると、アメリカに住む23歳の映画監督であるZach Bothさんは、6か月かけて古いバンをモバイル型のスタジオに改築し、ここで生活しながらアメリカ中を旅しているそうです。中古のバンは約4000ドルで購入し、改造費用には約8000ドルかかったそう。
Zach Bothさんの公式サイト
http://zachboth.com/
http://thevanual.com/
カリフォルニア州に住むウェブデザイナー
image by: Alek Lisefski
カリフォルニア州に住むウェブデザイナー、Alek Lisefskiさんは、170平方フィート(16㎡ / 約4.84坪)の小さな家を建て、恋人と二人で「よりシンプルに生活したい」という夢を実現しました。
「物を溜め込む部屋のないこの家では、何も隠す必要がなく、外に出て自然を感じたり、地域の人達と触れ合う時間が増え、それがより『健康な』ライフスタイルだ」と語ります。
ちなみに建築にかかった費用は$3万ドル(日本円でおよそ300万円) とのこと。
月々の家賃や戸建て住宅にかかる費用を考えると、確かに安いですよね。
image by: Alek Lisefski
image by: Alek Lisefski
image by: Alek Lisefski
image by: Alek Lisefski
小さな家プロジェクトのサイト : the tiny project
スロバニア発!自家発電のエコな家
image by: ECO Capsule
「ECO Capsule」と呼ばれるこの家、まるで卵のような形ですよね。
サイズは120平方フィート(約11㎡)。
建築家 Tomas Zacek氏とSona Pohlova氏のコラボによって生まれたこの小さな家は、自家発電と外から水を取り入れることが可能だそうです。
二人用に作られており、移動も可能です。
まさに「エコ」な家。
ただいま最初の50軒は、7万7900ユーロで発売中です。
ECO Capsule公式サイト: https://www.ecocapsule.sk
ポーランドにあった!狭すぎる家
image by: inhabitat
約4㎡のアパートがポーランドにありました。
横幅がなんとわずか1m50cmほど!
世界で1番狭い家だろうと言われています。
窓なしですが、ちっちゃい冷蔵庫に、シャワー、トイレは備え付けられています。
キッチンテーブルにはちゃんと2脚のイスも。
問題は場所です。
image by: inhabitat
ひえー、こんなところにあるとは。
息もできなさそうな窮屈な家ですね。
世界中に広がるこの「ちいさな家」ブームは、SNSでも話題になっています。
子どもの頃に観て憧れた、どこか外国を舞台にしたアニメに出てきそうな可愛らしさ。
これは海辺の小さな家。夏の間、週末をここで過ごすのは何だか贅沢?
必要なものは揃っているのにその狭さを感じない、見事な構造と配置。
いかがでしたか。
日本でも少し前に「断捨離」という言葉が流行ったり、10着しか服を持たないフランス人のライフスタイルについての本がベストセラーとなったり、物が溢れた現代社会で生活していくうちに、私たちも今、よりシンプルに、物を持たない生活、つまり「ミニマリズム」に徐々に惹かれつつあるのかもしれません。
その究極の形となるのがこの「ちいさな家」。
みなさんも近い将来、住んでみたくありませんか?
Source by: INSIDER , Business Insider
文/貞賀 三奈美