カーシェアサービス「Uber」が流行するなど、米国をはじめとする海外では「モノをシェアする」ことが注目を集めています。しかし、メルマガ『週刊 Life is beautiful』の著者で世界的エンジニアの中島聡さんは、日本の「若者のモノ離れ」に関するニュースを例に挙げ、「モノを買わない」というライフスタイルにおいて日本は「世界を先駆けている」と断言。車どころか生活必需品といえる家電すら「所有しない」若者が増えてきている、という驚きの情報を伝えています。
私の目に止まった記事
●若者の「モノ離れ」……独身・年収1000万円でもマイカー興味なし 「買わずに済ます」生活加速
私が最初に、日本の携帯電話市場に対して「ガラパゴス」という言葉を使った時は、世界に先駆けてネットに繋がる i-Mode が普及し、世界のどこよりも先に「ネットバンキング」や「着メロ」が普及した日本という特殊な島国に対する賞賛の言葉だったことは前にも書きました。
今でも時々、「これは世界に先駆けているな」と感じるものがありますが、この「モノを買わない」ライフスタイルもその一つです。
米国では Uber が急速に普及し、カーシェアリングに関しては、米国が先進国だと感じている米国人が大半ですが、日本では何十年も前からタクシーが充実しているし、最近では、この記事に紹介されている「パーク24」による手軽なレンタカー・サービスが普及しています。
米国における Uber の影響を一番受けているのは、レンタカー業界とタクシー業界で、Uber が自動車産業全体に影響を与えるのは、何年も先のことです。私の周りにも「Uber があるから出張先ではレンタカーを借りる必要がなくなった」という人は大勢いますが(私もその一人です)、「Uber があるから、自動車を手放した」という人には、まだ会ったことがありません。
それと比べると、日本の「パーク24」は、首都圏に住む若い人たちから、「マイカー」を持つ理由を根本的に無くしてしまっています。このライフスタイルの変化が少子化による労働人口の減少と重なると、ここから先、数年間にわたって、年率10%以上のペースで日本の乗用車の売り上げが落ち込んでいっても全く不思議はないと私は見ています。
東京で一人暮らしをする20代後半の知り合い(男性)は、自宅にはテレビがないのはもちろん、冷蔵庫すら置いていないそうです。「ビールが飲みたくなったり、アイスが食べたくなったら、その時にコンビニに買いに行くだけだ。コンビニが俺の冷蔵庫なんだ」と言います。「特殊なケースだ」と感じる人も多いとは思いますが、それが徐々に特殊ではなくなりつつあるのです。
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著者/中島聡(ブロガー/起業家/ソフトウェア・エンジニア)
マイクロソフト本社勤務後、ソフトウェアベンチャーUIEvolution Inc.を米国シアトルで起業。IT業界から日本の原発問題まで、感情論を排した冷静な筆致で綴られるメルマガは必読。