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面接で「採用」オーラを出しつつ断った会社は、裁判で勝てるのか?

「今度、飲みに行きましょうよ!」と口では言っても実際に行くつもりはない、社会人ならよくある社交辞令の典型ですが、人生を決める「採用」の場面でもこれは通じるのでしょうか? 無料メルマガ『「黒い会社を白くする!」ゼッピン労務管理』では、採用しそうな雰囲気を出しながら、直前で採用を見送った企業と転職者の裁判例を挙げて、企業として採用を行うときの注意すべき点について解説しています。

「採用前」に会社はどこまで責任を負うべきか

「今度飲みに行きましょう」

おそらく、誰もが聞いたことも、言ったこともあるであろう有名な「社交辞令」です。ただ、言った相手が本気で「誘ってもらった」と感じていたらどうでしょうか? 実際に飲みに誘わないのは失礼になることもあるでしょう。さらにそれが仕事が絡む場合はなおさらです。

「(仕事を)ぜひお願いしようと思っている」などと安易に言ってしまうと場合によってはトラブルにもなりかねません(法律的にどれほどのトラブルになるかはその状況にもよりますが)。これは採用についても同じことが言えます。

これについて裁判があります。ある菓子製造販売の会社で、ある人を社員として採用しようと面接を行っていました。雇用条件も伝え、ほぼ「採用」という段階でその人に対するいろいろな事情が発覚し最終的には入社を断ったのです。そこで、その断られた人が「納得がいかない!」として会社を訴えたのです。

では、その裁判の結果はどうなったでしょうか?

まず、採用については「雇用契約が成立したと認めることはできない」し「採用が内定していたと認めることもできない」とされました。あくまでも「雇用契約の準備段階に過ぎなかった」とされたのです。

そうであれば、何の問題も無いようにも思えるかも知れませんが、実はそうではないのです。結果として、会社は慰謝料など300万を支払うように命じられました。なぜか? その理由は、次の通りです。

つまり、たとえ採用前であってもその採用に関連して相手に損害がでたらその責任を負わなければいけないということです。実は、この裁判を起こした人はこの会社に入社をするつもりで働いていた会社をすでに退職していたのでした。

これは以前もお話ししましたが、面接をする際には非常に気をつけなければならない部分です。

※ご参考:「新卒学生の内々定を取り消した企業が、裁判で敗訴した理由」

採用が決定する前に安易なリップサービスで採用を期待させるようなことはもちろん問題ですし、本気で採用するつもりでも最終的に決定する前にはそのようなことは伝えるべきではないでしょう。

そして、これは採用の最終決裁者だけではなく、面接に関わるすべての人が共通で認識しておくべきことです。それが無いと非常に危険です。例えば、一次面接を現場の担当者がやっている会社などで、その担当者が安易に言ってしまった一言がその後のトラブルの原因になることはよくあることです。

みなさんの会社はいかがでしょうか。トラブルが起こる前に今のうちから徹底しておきたいですね。

image by: Shutterstock
 
「黒い会社を白くする!」ゼッピン労務管理
【経営者、人事担当者、労務担当者は必見!】
企業での人事担当10年、現在は社会保険労務士として活動する筆者が労務管理のコツをわかりやすくお伝えいたします。
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