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京都通が教える、簡単な「仏像」の見分け方

せっかく京都のお寺を巡るのならば、仏像に関する知識を持ち合わせていたいもの。とはいえ、巷で見かける「仏像入門」の類の本はどれも難しそう…。そんな方のために、今回の無料メルマガ『おもしろい京都案内』では、古都の魅力をよく知る著者の英学(はなぶさ がく)さんが、誰でも簡単にわかる「仏像の見方」を教えてくれました。読むだけで仏像を見る目が180度変わること請け合いです。

仏像の見分け方:如来と菩薩

この二つだけでも分かれば、お寺周りがとても楽しくなります。

身分の違い

身分の違いは、簡単です。如来は悟りを開いた人ブッダ)です。菩薩は悟りを開く前でまだ修行中の身です。修行中とはいってもすでに観音菩薩や地蔵菩薩といった有名な名前の菩薩は来世で釈迦になれることが決まっているとされています。将来の如来候補なので菩薩はすでに人間の救済を行っているのです。

見た目の違い

如来

如来のモデルは、釈迦が悟りを開いた姿です。如来の見分け方は簡単です。

まず、螺髪(らほつ=大仏のパンチパーマがあります。悟りを開くと、髪の毛がパンチパーマみたいになるようです(笑)。一つ一つが智恵の多さを表しています。

服装はいたってシンプルで装飾はつけていません。着ているのは、インドの僧侶が身につけている法衣です。手に何かを持ったり、馬や象などの動物に乗ったり、鬼などを踏みつけていたりする姿はありません。

薬師如来が、薬壺(やっこ)という薬の壺を持っていることと、大日如来が宝冠をつけていることだけが例外です。

菩薩

菩薩は、修行中の釈迦の姿です。悟りのため修行をしながら、人々の救済をし、如来の補佐をしています。やることが沢山あってとても忙しいのです。

菩薩の特徴としてはアクセサリーなどを色々つけています(地蔵菩薩は例外です)。これらは、如来には絶対に無い特徴です。

手が何本もあったり、顔がいくつもあるものは、明王や天に属する仏像の中にもあります。ただ明王は、憤怒の表情をしています。大黒天など天に属する者は、怒りの表情を持つものが多く存在します。これに対して、菩薩で怒りの表情を持つものはありません

仏像には如来や菩薩以外にも、不動明王や毘沙門天などがいます。実は仏像は、基本的に如来菩薩明王などに分類されます。分類するとたったの4種類しかないのです。だいぶすっきりしませんか?

まず如来は悟りを開いた仏で人々を苦しみから救う 釈迦如来、大日如来、阿弥陀如来、薬師如来などが代表的なものです。

菩薩は修行中悟りは開いていない)の身で人々を救う 観世音菩薩、地蔵菩薩、文殊菩薩、普賢菩薩、弥勒菩薩などです。

明王は大日如来の化身の姿で、煩悩に怒りを表す 不動明王、愛染明王などがいます。

天は仏教を守護するもので、インドの宗教(バラモン教)が仏教に取り入れたものです。帝釈天、梵天、多聞天、大黒天などの四天王が存在します。

その他どれにも属さないものの例としては、釈迦の十大弟子、達磨、阿修羅など八部衆、七福神で有名な寿老人、福禄寿などがいます。

仏像はその姿形を見ると造られた時代背景が読み取れます。もちろん仏師の作風によっても異なります。平安時代の定朝(じょうちょう)と鎌倉時代の運慶や快慶の作風にも時代の違い以上のものを感じるものです。

文明が発展し、これほど近代化した社会にあっても尚、おびただしい数の仏像が大切に保存されています。日本人の心のよりどころとして、大切に受け継がれてきた偶像崇拝の歴史を今に伝えています。

始めは怖いイメージがありましたが、色々な姿をした仏像を見るにつれ、いにしえの人々の苦悩や救済の想いが伺えます。平和な現代の日本に生まれただけでもとても恵まれていることを改めて感じずにはいられません。

いかがでしたか? 京都は日本人の知識と教養の宝庫です。これからもそのほんの一部でも皆さまにお伝え出来ればと思っています。

image by: Shutterstock.com

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【著者】 英学(はなぶさ がく) 【発行周期】 ほぼ週刊

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