Amazonでも話題となった『不登校は99パーセント解決する』(リーブル出版)の著者であり、メルマガ『コンプリメントトレーニング』も発行する、スクールカウンセラーでキッズカウンセリング寺子屋教室代表の森田直樹さんが、ついに「まぐまぐ発行者スペシャルインタビュー(まぐスペ)」に登場。MAG2 NEWSでは今回、そのインタビューの一部をご紹介いたします。新学期が始まるいまの季節、お子様やお孫さんの不登校が今から心配な親御さんは必見の内容です。
不登校児の救世主、コンプリメントトレーニングとは?
まぐまぐ:森田先生からご覧になって、不登校が日常のものとなっている現在の教育現場にはどのような問題があるのでしょうか。
森田直樹(以下、森田:)「私が短大に異動を決意したのは、ゆとり教育から学力にシフトした頃です。学力テストも実施され始めました。明らかに学校が変わりました。教師や管理職にも評価がはじまりました。問題のあるクラスを担任すると効果が見られないので評価が悪くなるのです。担任も1年間となりました。2年持つと成果が見られないと評価が悪くなるのです。私が教諭時代は担任を2、3年していました。このくらいの期間担任しないと子どもたちは育たないのです。授業研究にも熱心に取り組みました。管理職から授業をしっかりと鍛えられたのです。
ところが今の学校は楽しくないのです。昔の学校を知っている私は、学校での教師と子どもとの関係が希薄になったと感じます。運動場で子どもと遊んでいる教師の姿も見ません。学校行事も減りました。楽しい学校生活の質の低下です。先生の授業力も落ちました。校長が校内を回り授業の指導ができないのです。管理職に授業の指導力がないのです。これらが相まって薄味の学校になっているように思います。学力在りきですが、そこに子どもはいないのです。学力テストが悪ければ親に指導しなさいと丸投げしているのが現状です。勉強ができなければ教えて学力をつけようとする先生がいない、親に責任転嫁しているのです。そのような学校を見てきました。
学力にシフトした時、何が学力なのかは議論がありますが、10年後には不登校は増え、子どもの問題行動も増えると思ったものです。不登校や「いじめ」の現状を見ると、まさにそのとおりになっていると思います。
ですから、学校に期待しても不登校は再登校しません。親の力で再登校させないといけないのです。ただ、この親の力が育っていないのです。子育てとは何か、それが分からないのです。子育てとはどのようなことかを親に教え、その力を育ててあげなければならないのです。それが新刊に書いてありますし、それがコンプリメントトレーニングなのです」。
まぐまぐ:突然我が子が「明日から学校に行かない」と言い出した場合、まずどのように働きかけるとよいのでしょうか。
「突然登校しないことはありません。必ず前兆があります。それを見つけたら、シャワーのようなコンプリメントをします。子どもの話をよく聞いてあげて「共感」と「そっと見守る」とコンプリメントです」。
まぐまぐ:すでに不登校状態の子を、なるべく傷付けずに学校へ送り出すコツや過去の事例はありますか。
「コンプリメントトレーニングは、子どもの「したこと」「できたこと」や子どものよさを気付かせるだけですので、傷つけることなんてありません。これが自信の水となるのです。簡単に言えば「誉めて育てる」と言う感じでしょうか、実際は誉めるのでなく「良さに気付かせる」ことですが。前著と新刊、アマゾン等の拙著のレビューも参考にお読みください」。
まぐまぐ:「不登校を解決する」以前に、「不登校にさせない」ために心がけるべきことは何かありますでしょうか。
「コンプリメントを日常会話のようにして、常に子どもの心を自信の水で満たせておけば大丈夫です。「心のコップを育てる」ことを意識して下さい。
しっかりと子どもを観察し、初期の方は子どもの「したこと・できたこと」をたくさん見つけてコンプリメント。1日6個以上が毎日できるようになると、子どものリソースをたくさん見つけて気付かせます。これが子どもを支える柱であり、新刊の子どもを新しく創り出す粘土(新刊三章)となります。初期の「したこと・できたこと」にリソースをプラスしていくのです。
そして、親子の会話で将来の方向付け(新刊三章)をしていきます。これが身体症状・子育てコンプリメントの基礎基本です。初期の「したこと・できたこと」は親子の信頼関係の再構築を目指していきます。トレーニングの日数と共にそれぞれの学年にあった「できたこと・したこと」にしていくのがポイントです。中味・言い方・言う時と場の工夫が大切です。
身体症状のコンプリメントトレーニングでは、この親子の信頼関係の再構築に時間がかかります。早くて20日から30日が平均です。相当長い期間が必要な場合もあります。
子育てトレーニングでは、この親子の信頼関係の再構築は2、3日でできていきます。親を信頼するコンプリメントの反応が出るのです。コンプリメントもしたこと・できたことが具体的で分かりやすのです。ですから、一つ一つのコンプリメントが子どもの心にヒットするのです。
1、2か月の身体症状のコンプリメントトレーニングが2、3日でできるのです。これには驚きます。身体症状のトレーニングをしていると兄弟の方が反応が良いことが多々ありますが、それと同じなのです。子どもの成長にとって親子の信頼関係がいかに大切であるかを実感しました。どちらにしても、身体症状も子育ても、同じような変化を続けて順当な成長に戻っていくことが分かってきました。
コンプリメントは自信の水です。たくさんの水を入れようとしても心のコップが小さければ水は十分に溜まりません。登校すればすぐに水不足になります。溜めてもすぐになくなりますから、登校が続かなかったり、放課後登校になったりします。
このような場合は、コンプリメントもしているのですが、心のコップを育てることがポイントです。トーニングノートの2番の自己決定(子どもに任せたこと)の場を増やさなくてはなりません。この自己決定を「わからない」と白紙にしている方も多いのですが、せっかくの心のコップを育てる機会つくっていないのと同じです。
子どもに任せてみる、任せたら待つのです。子どもに任せると時間がかかる、なかなか取りかからない、見ていると手出し口出ししたくなる、このようなことを捨てるのです。任せたら時間がかかっても手出し口出ししないことです。任せたら成功しても失敗しても体験になります。この体験が積み重なって経験になるのです。これが心のコップを強く大きく育てるのです。
ストレスこそは、心のコップを育てるチャンスです。うるさいお父さんも心のコップを育てるリソースなのです。学校でも同じなのです。みんなが穏やかなんてあり得ないのです。先生の指導力で穏やかなクラスでも、その先生がいなくなると子どもたちの素の部分がここに出てきます。子ども本来の姿です。このような雑多な中でたくましく成長していかなくてはならないのです。うるさいお父さんも、うるさいおばあさんも、子どもにとっては心のコップを育てるチャンスなのです。コンプリメントと共感と「そっと見守る」ことで子どもを支えれば、上手に対応できるようになるのです。
子どもに任せることを増やすのです。任せ、試行錯誤させるのです。また、いろいろな体験をさせます。体調不良で安静にしている時でも、休みの日は、外出もさせて体験を。家事の分担も大切な体験です。電子機器の依存にはさせないことです。
もう一つ、子どもを動かす言葉があります。
やって見せて、言って聞かせて、やらせて見て、ほめてやらねば、人は動かず。話し合い、耳を傾け、承認し、任せてやらねば、人は育たず。
いろいろと子どもに任せて心のコップを育てるのです。いろいろな体験が心のコップを育てます。「あんたの心のコップが大きくなってきているよ(なるよ)」と言ってあげるのです。乗り越える、という言葉は具体的でありません。子どもにはイメージできにくいのです。心のコップ、と言えばイメージしやすくなります。
電子機器の禁止は十分な話し合いとチャンスを見てからにしましょう」。
まぐまぐ:子供が不登校の状態で新学期を目前に控えたタイミングで親が今からコンプリメントトレーニングを学ぶとしたらどこからどう始めたら良いでしょうか。
「前著と近著をお読みください。毎日のコンプリメントで、ただし本物のコンプリメントで自信の水を溜めることです。親のものの見方、考え方、行動のし方が変わってくると子どもも変わってきます。ただし、コンプリメントで子どもを操作することはできませんし、自信の水は車の燃料です。燃料の入った車がどのような方向に動いていくかは親の価値観によるのです。犯罪に使うかもしれないのです。ですから、近著の三章にも書いてある道徳心や将来への方向付けをしていかなくてはならないのです」。
まぐまぐ:最後に読者の方、あるいは購読を検討されている方に向けて、メッセージをお願いします。
「子育てとはどのようなことかを学ぶことができます。すでに、コンプリメントトレーニングを誕生時から受けている子もいますし、コンプリメントトレーニングで不登校から再登校を果たし社会で活躍している子どももいます。この子たちをコンプリメントキッズと呼んでいます。近い将来コンプリメントキッズがリンクする日が来るでしよう。政治ではなかなか変わらない社会ですが、コンプリメントキッズが「人様のために役立つ人となる」ことでリンクしていくと社会はかわっていくのです。コンプリメントで育てれば、子育てにコンプリメントを使う親になります」。
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