今回は、こうした街のイルミネーションでは満足できないという方や、人ごみが苦手という方のために、一風変わった光の世界、“工場夜景”をご紹介したいと思います。あのリドリー・スコット監督の映画「ブレードランナー」の冒頭に登場するシーンも、日本の工場夜景に影響を受けて作られたものなんだそうです。では、美しい工場夜景の世界をみてみましょう!
美しい!浮島町と千鳥町の工場夜景
工場夜景というと、数年前に「まるでSF映画の世界」とか「まるでゲームの世界」、あるいは「美しすぎる」などという言葉と共にブームになっておりましたが、ここのところ、工場夜景ブームも落ち着いた感があり、「工場夜景?何それ?」という方もいると思います。
そういった方のために、工場夜景がどんなものなのかを見ていただき、彩るためのイルミネーションではない、生活に密接した光の美しさや妖しさといった魅力を実感していただければと思い、神奈川県川崎市の工場地帯に行って来ました。
川崎市の工場地帯は、日本5大工場夜景と称されるスポットの一角を担う有名スポットです。
ちなみに、日本5大工場夜景とは一般的に、北から、北海道室蘭市、神奈川県川崎市、三重県四日市市、山口県周南市、及び福岡県北九州市であると言われています。
浮島町:日本合成アルコール(株)川崎工場間を抜ける一般道路。まるでSFの世界に迷い込んだような妖しい美しさを感じる。
写真からでも、巨大なプラントの迫力と金属表面を照らし出す照明の光により、幻想的な雰囲気を感じ取れるものもあるのではないでしょうか?
巨大な柱や煙突は、まるで古代ギリシャの神殿にある柱のようにも見え、現代の神殿という表現すらしっくりくるような気がします。
もっとも、巨大プラントでは、様々な製品や原料の製造、加工が行われ、入った物と異なる物が出荷されるわけですから、古代人の視点では、神の力が宿る場所と見ることができるでしょうから、“神殿”という表現も言い過ぎではないのではないかと思います。
これらの写真を幻想的に見せているもう一つの要因、それが、人の映り込みが無いということだと思います。
周りに全く人がいないという事ではなく、工場夜景を見学に来ている人もいるのですが、街のイルミネーションを見に来る人に比べれば、その人数は圧倒的に少ないのです。このため、景色の占有率が高くなり、ゆっくりと見て、撮影する事ができるのです。
いかがですか?
街に溢れる色とりどりのイルミネーションも素敵ですが、工場地帯を照らす光には、街のイルミネーションとは違った魅力があると思いませんか?
街のイルミネーションには飽きた、人ごみが苦手、ちょっと変わったイルミネーションを見に行きたい、カッコいい写真を撮りたい、などなど、興味を持たれた方は、一度足を運んでみてはいかがでしょうか?
また、慣れない場所には行き辛いという方には、船に乗って海から工場夜景を見学する工場夜景ツアーというものもあるようです。このように、楽しみ方が色々ある工場夜景、せっかくの景色ですから、訪れる際には、近隣に迷惑がかからないように行動し、自分を含めた皆が気分良く楽しめるようにしていきましょう。
取材・文:梅原 慎治
【ジモトのココロ人気記事】
▶︎廃線から50年。明治から昭和を駆け抜けた、もう一つの「銀座線」