「大仏」といえば、奈良の大仏や鎌倉大仏が有名ですよね。初め当たり前の話かと思ってしまったので、実は、
都内最大級?板橋区乗蓮寺の東京大仏を観に行こう!
日本には、数多くの“大仏”と呼ばれる仏像が存在します。そんな大仏の中で有名なものと言えば、奈良県にある東大寺の大仏(通称:奈良の大仏)や、神奈川県の鎌倉にある高徳院の大仏(通称:鎌倉の大仏)の他、最近では、日本一の大きさを誇る大仏として、茨城県牛久市の牛久阿弥陀大仏(通称:牛久大仏)などが挙げられるのではないでしょうか。
閻魔殿。奥に閻魔像が鎮座しています。
そんな数ある大仏の中で、青銅製鋳造の阿弥陀如来坐像というカテゴリーにおいて、日本で3番目に大きな大仏が、東京23区内に存在していることをご存知でしょうか? 恥ずかしながら私は全く知らなかったので、この事実にかなり驚きました。よく調べてみると、座っている状態で3番目に大きい大仏とのこと。その大仏の名称が、”東京大仏”です。かなり直球な名称なのですが、あまり聞いた事がなかったのが不思議でなりません。
前門です。8時から16時までが開門時間です。
そんな東京大仏が存在するのは、東京都板橋区にある浄土宗のお寺、乗蓮寺です。乗蓮寺は、都営三田線の西高島平駅から徒歩約20分、東武東上線の下赤塚駅から徒歩約25分の場所にあります。近隣には、公園や美術館、郷土資料館などがある緑豊かな土地です。乗蓮寺へ入って行く道が少々分かり辛く、車などで訪れる際には、うっかり通り過ぎてしまわないように注意が必要です。
歴史を感じる仁王門。でもちょっと普通の仁王門と違う?!
さて、乗蓮寺ですが、前門の手前右側に、閻魔像が鎮座する閻魔殿があります。閻魔様に一礼をして前門を抜けて階段を上ります。ところでこちらのお寺、お寺の紋“寺紋”に三つ葉葵の紋が使われている事に気付きましたか?
通常、浄土宗のお寺では、宗紋として月影杏葉(つきかげぎょうよう)が使われているのですが、乗蓮寺では、三つ葉葵が使われているのです。その理由は乗蓮寺が、かの徳川家康から十石(約1万m2)の朱印地(寺院として保証された土地)が寄進(寄付)された格式ある寺院だからだと思われます。
多聞天尊像。四天王の1人(毘沙門天)として知られていますね
広目天尊像。こちらも四天王の1人ですね。色彩豊かな像ですね
高さ13メートルの東京大仏
前門の奥の階段を上りきると、金剛力士像が脇を固める門が見えます。歴史を感じる重厚な門構えですね。実はこの門、通常の仁王門とはちょっと違うのです。その答えは、門を通過してから振り返ることで解ります。
門の裏側、すなわち金剛力士像の後ろ側に、四天王として知られる多聞天尊(毘沙門天)像と、広目天尊像が安置されているのです。しかもこちらの像は、実に色鮮やかです。知らないとそのまま通過してしまいそうですが、気付くとちょっとうれしいですよね。
東京大仏。写真左手前に停まっている原付バイクとの対比で、その大きさが判るのではないでしょうか?
門を通過すると正面に立派な大講堂(本殿)が設置され、右手にお目当ての東京大仏が安置されてあります。この東京大仏、高さが13m、重さが32トンということで、間近で見ると確かに大きいですね。
昭和49年に建設が開始され、昭和52年に完成したという、比較的新しい大仏であるせいか、なんとなく、今時の顔をされているように見えますね。なかなかのイケメンです。少々バチ当たりかもしれませんが、“日本のイケメン大仏ランキング”なんてものがあったら、意外と人気が出るのではないでしょうか?
文殊菩薩像。知恵をさずけてくれるそうです
奪衣婆像。三途の川を渡る時に服を脱がされるそうです
役の小角像。行者の元祖の方だそうです
がまんの鬼像。何でも耐える鬼とのことです
この東京大仏の周囲には、文殊菩薩像や、奪衣婆像、役の小角(おずぬ)像、がまんの鬼像などが安置されています。また、この乗蓮寺、赤塚山という地形を生かして、仏像や梵鐘を高低差を持って配置しているため、実際の敷地よりも広く感じるように思えました。
福寿観音像が安置されている建物と、梵鐘が吊るされているやぐら
近隣には、大仏そばという名前の日本料理屋さんもあります。大仏由来のお料理が食べられるのでしょうか?
上にも書きましたが、乗蓮寺の周囲には公園や美術館、郷土資料館など様々な立ち寄り場所があるので、一緒に足を運んでみてはいかがでしょうか?
乗蓮寺
東京都板橋区赤塚5−28−3
取材・文:梅原 慎治
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