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信じられない。日本人には到底理解できぬアメリカ人の異常な日常

41歳で2児の父となった、メルマガ『NEW YORK 摩天楼便り-マンハッタンの最前線から-by 高橋克明』の著者で米国の邦字紙「WEEKLY Biz」CEOの高橋さん。しかし、居住するNYでは父親として平均的な年齢なんだとか。その裏には「ギリギリまでキャリアを積む街」というNYの特殊性があるようです。そんなNYの、日本人には到底理解できない「さまざまな常識」を紹介しています。

消費大国アメリカ

義理の母、嫁のお母さんがNYに遊びにきました。 と言っても、本当は2歳になる双子の子守りの手伝いです。 安上がりなベビーシッター。

僕は41歳で父親になりました。 日本だと相当、遅い年齢です。

でもこの街で、例えば同い年の子供を持つ両親が集まる際(例えば、保育園の説明会とか、プレイルームの体験イベントなど)、僕は比較的平均的な年齢になります。 むしろ若いお父さんかもしれません。

ニューヨークは世界一晩婚シティ。 両親も年齢がかなり上になってから子供を作った人で溢れています。 世界一キャリアを積む街なので、ギリギリまで女性も働きます。 その意味では、気持ち的にはちょっとラクかもしれません。

キャリアを積む為に、子供を産んだらすぐに職場復帰するお母さんも多いとか。 なので、いつも求人で「ベビーシッター」さんを探す広告を目にします。

ただ、世界一物価の高い街なので、当然のことながら、シッターさんを雇うのもハンパじゃありません。一日数時間平日働いてもらうだけで、平均$3500日本円で約40万円)。 何の為に働いているかわからない金額です。 それでも、キャリアに“穴”を開けたくないキャリア組は、月収と変わらない(むしろそれ以上の)額をシッターさんに出してでも、職場に今日も出社します。

うちもシッターさんを雇いましたが、一日に子どもたちを預ける時間は数時間。 妻も自宅で出来る仕事とはいえ、日本から母親が来てくれるのはとてもありがたいことでした。

空いてる時間に、ニューヨーク観光に連れて行きます。

義理の母が観光で一番気になったのは、自由の女神より、タイムズスクエアより、マクドナルド。 もちろんマクドナルドは埼玉にだってあります。 気になったのは、店員がくれる袋に入ったケチャップの数

どうしてフレンチフライひとつに、8つもくれるの?

彼女は両手いっぱいに小脇されているケチャップの袋を乗せて、不思議そうに言いました。

特に、深く考えてないんだよ。 僕がそう言っても、昭和10年代生まれの母はどうしても納得がいかない様子。 “だって、1つ、使っても2つで済むのよ”

残りの6つを僕がトレイごとゴミ箱に捨てるまで、ずっともったいなさそうに見ていました。

確かに、この6つは再利用もされることなく、使われなかったケチャップとしてこの世の役目を終ります。 もちろんレジにわざわざ返却しに行ってもいいけれど、どうせ次の人にも8つ渡す。 いや、7つかもしれないし、10コかもしれない。

何も考えず、つかんだ手そのままにブラウンバッグに投げ込むだけです。 僕たちが節約したところで、この国ではケチャプも、マヨネーズも、紙ナプキンも、プラスチックのスプーンも、天文学的数字くらい未使用のまま捨てられます

いまの8:2分けの頭悪そうな大統領よりひとつ前。 オバマ大統領が一度、省エネ家電の普及を促進するようにエネルギー省に命令した、なんてニュースもありました。 主婦層から圧倒的な支持を得ていたミッシェル夫人の影響があったことは想像に難くありません。

でも、結局、頓挫してます。 この国の何十兆円分の電力をセーブできたにも関わらず、できなかった。 明確は理由はありません。 ただ単に各家庭で省エネ家電が普及する努力をしなかった。 「省エネ・節約」に力を入れてやってます!なんてアメリカ人家族、絶対に想像できない。

まず、家電自体を日本のように簡単に買い換えられない、という事情があります。 借家の場合、大型家電は備え付けであることが普通です。 それでいて電気代はもちろん借り手が払います。 当然だけど。 であれば、省エネ家電に買い替える必要は大家には見当たりません。 そんな大家がこの国にはたぶんひとりもいない。 ゼロ人です(笑)

なので、アメリカ国民みーんな省エネなんて考えたことがないと思います。 (有料メルマガはブログと違って読む人が限定されてるからって、好きなこと言ってるな、オレw)

例えば、セントラルヒーテング。 こちらの住居では、巨大なアパートの家中に、冷暖房を送り込みます。 ビルもそうです。 空室だの、地下室だの、そこに人がいるかどうかはおかまいなし。 ぜーんぶ冷やしちゃえ(あっためちゃえ)!おかげで真夏に震え、真冬に汗をかかされます。

冒頭のマクドナルドを出ても、母はやたら「もったいない」と繰り返します。

「いいんだよ。 ケチャップを返したところで、そのぶん返金されるわけでもないし、オレたちが返したところで、むこうはビックリするだけだよ。 受け取らないって」

どう説明したところで、食べ物をそのままゴミ箱に捨てるなんて習慣は許せない母に「みんな自分のお金じゃないことには、自分勝手になるってことだろ」となげやりに言いました。

それより、ここで母の機嫌をとって少しでも長くこの街に滞在してもらい、少しでもベビーシッター代を浮かそうとしている僕自身がいちばん自分のお金のことを考えてる自分勝手野郎だと、今、気付きました。

image by: Shutterstock

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全米発刊邦字紙「NEWYORK BIZ」CEO 兼発行人。同時にプロインタビュアーとしてハリウッドスターをはじめ1000人のインタビュー記事を世に出す。メルマガでは毎週エキサイティングなNY生活やインタビューのウラ話などほかでは記事にできないイシューを届けてくれる。初の著書『武器は走りながら拾え!』が2019年11月11日に発売。

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【著者】 高橋克明 【月額】 初月無料!月額586円(税込) 【発行周期】 毎週水曜日

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