喉が渇いた時に飲みたくなる飲み物といえば炭酸飲料ですよね。広島県尾道市向島には、全国でココだけでしか飲めないサイダーを製作している飲料水メーカー「後藤鉱泉所」があります。昭和5年創業、夫婦ふたりで切り盛りする老舗の飲料水メーカーとして、50年以上島の水を使った瓶詰めにこだわったサイダーは、瀬戸内全土からわざわざ足を運ぶお客さんが後を絶たないのだとか。昔ながらのノスタルジックな雰囲気に、懐かしい気持ちになれる人気スポットです。
※本記事はジモトのココロに掲載された記事です(2017年11月22日)
後藤鉱泉所(広島県尾道市向島)
暑い夏、尾道から尾道渡船(通称かねよし渡し) にゆられ3分。向島の港に到着し、歩くこと約7分。たどり着いたのは後藤鉱泉所。
みなさんは「鉱泉」と聞いて何を思いますか? きっと温泉を思い浮かべる方も多いと思われます。
実は、後藤鉱泉所は昭和5年に尾道市向島に創業した老舗の飲料水メーカー。 後藤忠昭さん・勝子さんご夫妻が切り盛りしています。
サイダー、ジュースなどを選ぶ楽しみがある
島の水を使ったサイダーやジュースを工場隣接のお店で飲めることもあり、地元の人だけでなく、尾道や瀬戸内の島々を旅する人が立ち寄る、今や人気のスポットなのです。
お店に足を踏み入れ、真っ先に頼んだのは「ご当地サイダー」として人気のマルゴサイダー。
レトロな瓶が素敵なマルゴサイダー
汗をかいたカラダにはシャキッとなりそうな炭酸が効きそうw
イスに腰かけて飲料水を飲んでいる人のほとんどが手にしているのが、昭和「5」年の創業が名前の由来となったこのサイダー。
炭酸水は自家製。パッと見の容量は350mlと思いきや「実は340mlなんですよ」と後藤忠昭さん。お値段は150円。
こちら、50年以上同じレシピで作られているそう。
封をされたラムネの数々
冷やされたサイダーの栓を開けてもらい、暑さでバテ気味のカラダが求めていたのはこれよ!とばかりに、口に流しこんだときの至福感といったら! レトロ感たっぷりの瓶に唇を当てると、そのひんやり感もたまりません。
ところでみなさん、ソーダやラムネなどは炭酸水は瓶のものが一番美味しいってご存知でしたか?
缶やペットボトルだと炭酸の量が低くなるので、ザ・炭酸感を味わうなら炭酸量の多い瓶のものがオススメです。
この日は、しまなみ街道を走るサイクリストや四国からの家族連れなど、途切れることなくお客様がぞくぞくと訪れていました。
ご当地の味を求めてひっきりなしに人々が訪れる
そんなに人気のある飲料水なら通販をされては?と思いますが、後藤鉱泉所にはそれができない事情があるのです。
それは瓶を洗っては何度も使うため、回収する必要があるから。瓶自体、もう製造されていないのです。
だから、ここ向島の工場に隣接したお店や配達可能なお店でしか飲めないというわけ。
瓶にも飲料水にも「ジモトのココロ」を感じてしまいます〜。
昔出回っていた瓶を再利用
さて、サイダーを飲みながら後藤鉱泉所の趣きある建物も観察するのも楽しみのひとつ。
映画のロケにも使われそうなノスタルジックな空気を醸す建物は天井も木造の板張り。がっしりと重厚な造りで、上質な木を使っているのがよくわかります。
工場に隣接するお店
後藤勝子さんに建物についてうかがったところ「初代がええ(良い)木材を使って建てたんですよ。昭和初期に建てられ、何度か建増ししています。古い建物だから、碍子(がいし)もそのまま残っとるでしょう。若い人は碍子いうても知っとってんないかもね。ツバメもいつのまにかあそこに巣を作ってしもうてね」。
天井にツバメが巣を作っている
がっしりとした天井には碍子が見られる
碍子とは電線を絶縁する器具。昔の住宅には磁器で作られた碍子が普通に使われていましたが、今ではほとんど見かけることはありません。この後藤鉱泉所の天井を見上げると、ところどころに碍子が取り付けられ、この建物が重ねてきた歳月を感じます。
「今、この建物を作るとしたら材料(木)もなかなか揃わんじゃろうし、作れる職人さんの数も少ないじゃろうね」
ところで、後藤鉱泉所の炭酸水はテレビ番組で紹介されたこともあり、最近では生産が追いつかず、1週間で在庫がなくなることも。多忙ながらも後藤さんご夫妻は工場からちょくちょくお店の方に顔を出されます。
この奥で飲料水が作られる
勝子さんは「私は一期一会を大切にしているんですよ。わざわざ向島まで足を運んでくださった方とできるだけ話したいと思っています」と話す。
気さくな後藤勝子さん
ご夫妻の気さくさが人を呼び、それが事業が長続きさせる秘訣なのかもしれません。
後藤鉱泉所
広島県尾道市向島町755-2
tel 0848-44-1768
不定休
http://www.ononavi.jp/souvenir/drink/detail.html?detail_id=702(尾道観光協会サイト)
※尾道市街地から向島に渡るには3航路ありますが、尾道渡船(兼吉かねよし渡し・旧公営渡船) 利用がベスト。船賃は1人100円
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