MAG2 NEWS MENU

日本で「オリーブ」をカルチャーに成長させた香川県・小豆島の知恵

近年の健康ブームも手伝って人気のオリーブオイル。今では毎日の食事に欠かせないという方も多いのではないでしょうか?そんなオリーブオイルの国内精算量第1位の地といえば瀬戸内海に浮かぶ香川県小豆島です。別名「オリーブの島」といわれる小豆島では、オリーブオイルの生産はもちろん、採油後のオリーブを活用する島民の知恵が存在していました。自然の恵みいっぱいの小豆島でオリーブにまつわるスポットを巡ります。

 

 豊かな太陽の恵みいっぱいに育った「オリーブの実」を収穫

小豆島は、オリーブの生産量日本一。なかでも日本最大の栽培面積を誇る「東洋オリーブ」のオリーブ農園へやってきました。

 

現在、東洋オリーブが保有している自社農園は小豆島と豊島にあり、栽培面積は25ヘクタール(小豆島12ヘクタール、豊島13ヘクタール)と、25,000本(成木は12,000本)ものオリーブの木を保有しています。

農園を訪れた時は、ちょうどオリーブを収穫中。私もオリーブ摘みを体験させてもらいました。 東洋オリーブのこだわりは、オリーブを一つ一つ手摘みをすること。そうすることによって、最高のオリーブオイルを作ることができます。

・・・・ところで。

ここに来るまで、オリーブは摘んだらそのままかじって食べられるものだと思っていました(笑)

オリーブオイルは毎日使用しているけど、「オリーブ」については全く知識がなかったので、シブ抜きが必要だと聞いてビックリ。農園の方が先に教えてくれたので、シブい体験はしないで済みましたが、私だったら黙って食べさせて、「洗礼じゃ!」と、笑っていたかもしれません。小豆島の人の優しい(笑)

 

オリーブオイルができるところ

オリーブ摘みをした後は「東洋オリーブ」の工場へ。工場の中でオリーブオイルができるところを見学させてもらいました。

丁寧に手摘みで収穫したオリーブは、フレッシュなうちに工場に運ばれ、日本最大の採油機で化学処理を行わずに採油します。工場では、自社製品にこだわり、精製加工から瓶詰まで一貫して行っているのだそう。

オリーブの果実は、傷がついたところから急激に劣化するので摘んだらすぐに搾油し、フレッシュなうちに瓶に詰められていきます。

絞りたてを味見。これぞ工場見学の醍醐味!

 

さっそく絞りたてのオリーブオイルを味見させていただきました。サッパリした香りとクセのない味わい。そして身体に沁み入るような深みを感じることができました。

なんか、これだけの量を体内に入れただけなのに、メチャクチャ健康になった気がするから不思議。

たぶん、いいものを作ろうと言う生産者の気持ちや小豆島の自然パワーなどのよい「氣」が集まっているからなのかも。

香川ブランド「オリーブ牛」が誕生するまで

オリーブオイルが搾油された後に出た果実やオリーブの葉がどうなるかご存知でしょうか?

実は東洋オリーブで大量に出る、絞った後の果実が、香川のブランド食材の生産に大きく役立っています。

大量に出る採油後の果実

オリーブが持つ栄養素の「オレイン酸」に注目したのは、小豆島で讃岐牛を育てている石井農場の石井正樹さんです。採油後も果実にはたっぷりとオレイン酸が含まれており、これを飼料として使えばいい肉牛を育てられる!と、思いついたのだとか。しかし、いろいろ試してみたものの、牛は全く食べてくれなかったと言います。

JAバンクのCMに出演中の石井さんは「オリーブ牛」の生みの親

JAバンクHP

試行錯誤を重ねている時に気が付いたのはオリーブの渋みが原因だと言うことに気が付きます。そして、石井さんは干し柿にヒントを得て、採油後の果実を天日に干してみることにしました。すると、オリーブの糖分がカラメルのような風味を醸し出し、牛が好んで食べるようになったのです。

美味しそうにオリーブ入りの飼料を食べる牛

その後、2010年に香川県発のブランド牛「オリーブ牛」として初出荷されると、みるみる評価は高まっていき、現在はレストランやホテルのシェフなどからも注目が集まる食材となりました。

 

石井さんは「オリーブを飼料にしてから、牛が美味しそうに資料を食べて健康に育っています。そして、オリーブの資料になってから牛舎の臭いが軽減され、見学に来る方が驚いています。これも全てエサのおかげだと思う」と話しました。

もう気が付いた方もおられると思いますが、東洋オリーブと石井農場は「循環型農業」が成立しています。採油後大量に出る果実を牛の肥料として活用し、オリーブ飼料を食べた牛から出たフンをたい肥となり、オリーブの栽培に役立っているというから驚きですね。

 

 

 

オリーブの葉を飼料に「オリーブハマチ」を養殖

一方、高松市では搾油後の果実の他にも、「オリーブの葉」を使用したエサでハマチの養殖がおこなわれています。「ハマチの成長に支障はないのか、期待した効果は得られるのかなど多くの課題があったので、数えきれないくらいの試験や研究を行った」とオリーブハマチの立役者である島野文太さん(※写真の方ではありません)。

平成28年には香川県全体で25万匹が生産されるようになり、水揚げから食卓に並ぶまで変色や酸化しづらく美味しい「オリーブハマチ」が中・四国、関西、関東へ出荷されるようになりました。

オリーブの葉入りのエサを食べた極上の「オリーブハマチ」

酸化しづらいというのは、やはりオリーブに含まれるポリフェノールやオレイン酸の効果かも。

つまり、オリーブハマチやオリーブ牛はアンチエイジング効果が期待できる女性必食の「スーパーフード」といっても過言ではありません。

獲れたてのオリーブハマチ料理が食べられる「さざなみ亭」は高松市にある

「平和」の象徴であるオリーブが香川県の漁業や漁業を支え、人々の健康にも役立っているなんて感動!!

 

1日7組限定の人気宿「島宿 真理」

文化財の古民家をリノベーションした「島宿 真理」は、趣の異なる客室が7つある隠れ家的お宿。母屋部分は食事処になっていて、小豆島特産の杉樽仕込み醤油やもろみをベースにした自家製調味料を使用したお料理などが楽しめます。

「島宿 真理」ではお食事処「母屋」で食事ができる

同店では、自慢の「醤油懐石」が味わえる他、オリーブ牛やオリーブごはん、そしてオリーブのバージンオイルをお好みの料理にかけられるようになっています。

本来の旨みを楽しんでもらうためにシンプルな調理になっている

 

「当店の会席料理は、自家製の調味料を使用しつつ、素材の旨みを楽しんでもらえるようにシンプルに調理しています。また、“淡口生揚、生あげ、二段熟成、諸味たれ”4種の醤油で、野菜や魚を食べ比べて楽しんでいただけたら」と、真理のおもてなし係の中野菜見さん。

小豆島産の新鮮野菜を醤油やオリーブオイルにつけて食べる

野菜によって醤油を変え、どの野菜がどの醤油と一番相性がいいかなど、会話も弾みます。

水分量が多い野菜は、諸味だれと相性が良いそう。

オリーブ牛も脂や肉の旨みが味わえるようにシンプルに炙られている

先ほどご紹介した「オリーブ牛」も食べられます。ジューシーな肉汁のコクと旨みが口いっぱいに広がったかと思うと、コクと旨みだけを残して脂はスーーッと引いていきます。

これはまさに「染み入る旨さ」!!栄養が自分の血となり肉となる喜び。もう最高すぎる。

小豆島の農園で作られたフレッシュなオイルはお好みで

最後に、土鍋で炊きあげられたご飯には、オリーブの新漬けが添えられています。取材時はオリーブ収穫の最盛期(青い実の収穫時期は9~10月頃)。この時期にしか食べられない贅沢なご飯です。

取材時はオリーブの旬。炊き立てのご飯に新漬けが添えられます

熱々のうちに、オリーブオイルをかけてパクリ!爽やかなオリーブの香りと、お米の甘味が口いっぱいに広がります。

オリーブオイルは、昆布との相性がいいんですよ」と、オリーブソムリエの黒島慶子さん。黒島さんは小豆島出身で、オリーブのことなら何でも知っています。

なぜかカレーのような風味に変わった昆布の佃煮

ご飯に添えられた昆布の佃煮に、オリーブオイルをかけてみるとあら不思議!昆布の佃煮がなぜかインド料理のような風味に変わった(笑)

オリーブオイルをかけると、こんなサプライズがたのしめるので、みなさんもオリーブオイルをいろんなものにかけてみるチャレンジをしてみてくださいね!

【島宿 真里】
住所:香川県小豆郡小豆島町苗羽甲2011
TEL:0879-82-0086
定休日:不定休

ジモトのココロ

シェアランキング

この記事が気に入ったら
いいね!しよう
MAG2 NEWSの最新情報をお届け