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日本の若者が住みたい田舎ランキング、なぜ1位に大分県臼杵市?

毎年、『田舎暮らしの本』(株式会社宝島社)で発表されている「住みたい田舎ベストランキング」2018年版が今回発表されました。昨年は鳥取市が総合1位でしたが、今年は果たしてどんな町がランクインしているのでしょうか?

 

【2018年版】「住みたい田舎ベストランキング」が発表!

こちらのランキングは、市町村に対して、移住に関する194項目ものアンケートを実施し、その回答を田舎暮らしの魅力として数値化してランキングが決定されています。アンケートには前回を大幅に上回る、過去最高の671もの市町村から回答を得ています。

 

2013年から始まり、第6回目を迎える今回は、ランキング方法をリニューアル。

人口10万人未満の「小さなまちランキング」と、人口10万人以上の「大きなまちランキング」の2つのカテゴリーに分けてランキングを発表しています。自然が豊かな小さなまちで田舎暮らしを楽しみたい人、田舎暮らしもしたいけれど都会の便利な暮らしも捨てがたい人それぞれのニーズに応えるためです。

また、世代によって異なるニーズがあるため、全世代対象の【総合】のほか、【若者世代】【子育て世代】【シニア世代】の4部門に分けてランキングが決定されています。より自分のニーズや生活に合った田舎を探すヒントになりそうですね。それでは、さっそくランキングを見ていきましょう。

 

【小さなまち 総合部門】1位は山梨県北杜市

 

小さなまちランキングで【総合部門】第1に選ばれたのは、山梨県北杜(ほくと)市でした。

北杜市では平成27年度から「若者応援プロジェクト」など総合戦略を進めているほか、移住希望者の就労支援も行っています。年代別の移住者数は30代が最多となるなど、若い世代にも人気があることが伺えます

 

【山梨県北杜市】山岳景観や名水が魅力!若者や子育て世代を重点的にサポート

「北杜市明野サンフラワーフェス」が毎年開かれている

山梨県北杜市は、山梨県で人気を誇る市であり、以前からランキング順位が高かったのですが、今回ついに総合1位を獲得しました。北杜市は、年平均気温は12.1℃と、東京都の年平均気温16.4℃(2016年 気象庁HPより引用)であることを考えると、少し涼しく過ごしやすい気候です。また、面積600㎢、人口4万7513人(2017年12月1日現在)と面積・人口ともに比較的ちいさいまちです。

 

東京都内から電車・車ともに片道2時間程度で行けるなど、東京から近いまちです。それもあってか、移住前の居住地は東京都が最も多いそう。また、移住する年代は、30代が最も多く約2割を占め、20代未満、60代、40代と続くそうです。

 

こういった立地条件も人気の理由だと思いますが、山岳景観や名水、温泉など自然が豊か、東京都内から2時間とは思えない田舎らしい風景、若者の地域交流が盛んなど魅力がたくさんあることが、移住につながっていると考えられます。

 

また、具体的な行政の働きかけも力になっています
北杜市は平成27年度から「若者応援プロジェクト」などの総合戦略を具体化し、認定こども園の開園や、「子育て支援住宅」など、様々な取り組みを行っています。東京からほどよい近さ、田舎や自然を感じられる環境の良さ、そして行政のサポートの充実が第1位に選ばれた理由ではないでしょうか。

 

市長からのコメント

 

【小さなまち 若者世代部門】第1位は大分県臼杵市

うすき竹宵(画像:大分県)

大分県臼杵市は、他の部門でも上位にランクインしています(総合部門3位、子育て世代部門3位、シニア世代部門2位)。

 

そんな臼杵市は、気候、海山などの自然、伝統文化、利便性、新鮮な魚介類や有機農業などの食、様々な要素の「豊かさ」が詰まっているまちです。それに加え、行政の移住支援も手厚いことから、見事、若者世代部門で1位を獲得しています。

 

実は、臼杵市が移住・定住対策「うすき暮らし」の推進に力を入れ始めたのは2014年と最近のことだそうです。今後30年で人口がほぼ半減するという推計を受け、未来の臼杵を担う「人財」確保に乗り出しました。空き家バンクへの物件登録の推進、移住奨励金など各種補助金、「臼杵おためしハウス」をスタート、さらに子育て世代に向けて相談窓口「ちあぽーと」を開設、2017年6月から「定住支援員」を配置するなど、行政側の施策がスピード感をもって充実が図られている印象です。

これら「移住支援の手厚さ」が各部門上位を獲得する結果となったのではないでしょうか。

 

市長からのコメント

 

 

【小さなまち 子育て世代部門】第1位は茨城県常陸太田市

本ランキングでは突如、北関東からランクインした印象がありますが、じつは子育て支援の手厚さで知られていた市。全国の自治体が子育て支援に力を入れる中、上位を獲得したのは、「子育て上手」を掲げる同市のきめ細やかな支援策が人気の秘訣のようです。

 

常陸太田市は、東京都の上野駅から特急など電車で1時間40分の距離にある比較的都会に近いまち。この点は【総合部門】1位の山梨県北杜市と似ていますね。加えて、近隣の水戸市、日立市などがあり、市内でも市外でも働きに出やすい立地条件が魅力のひとつです。

 

キャッチフレーズ「子育て上手」のもと、行政の手厚い子育て支援を受けることができます。具体的には、新婚家庭家賃制度、保育料を1人目から半額、おむつ代プレゼント、午後10時までの子供夜間診療などなど。この成果はてきめんで、6年前にうまれた子供の数約240人よりも、小学校入学児童数は約300人と、約60人も多い!このペースが8年前から続いているというから驚きです。

東京から近い立地に加えて、子育てに対する不安を和らげて安心できるような行政の支援が重要なカギとなっているようです。

 

市長からのコメント

 

 

【小さなまち シニア世代部門】 第1位は長野県辰野町

今まで見てきた自治体は補助金など行政の手厚い支援が目立ちました。しかし、こちらのランキングで第1位を獲得した長野県辰野町は、高額な助成金はないけれど、「草の根的移住支援」で移住前から友達ができるような、まちの人たちのスキルとマンパワーがあります。そして、豊かな水と山、自然に囲まれながら、田舎暮らしが存分に楽しめるという、人と環境が最大の魅力のようです。

 

たとえば、草の根的な移住支援として「オーダーメイドたつの暮らし体験ツアー」が実施されています。「あらゆるヒト・モノ・コトをワンストップでつなぐ」を合言葉に、会いたい人や行きたい場所、見たい物件など、すべてオーダーメイドで組み合わせることができます。この体験ツアーへの協力者は、職業や肩書をこえて友人のように接してくれるようなまちの人ばかりだそうです。人のあたたかさが魅力的ですね。

 

また、健康的な生活のサポートもあります。生活習慣予防教室や検診の結果説明会など、シニア世代にとって健康的に過ごせるのは大切なことですね。

人と自然が魅力的な辰野町なら、やりたいことを思いっきり楽しむことができそうです。

 

市長からのコメント

 

 

【大きなまち 総合部門】1位は2冠達成した福岡県北九州市

 

 

続いて、大きなまちランキング【総合部門】に加え【シニア世代部門】で見事第1位に選ばれたのは、福岡県北九州市でした。

【総合部門】の点数は、なんと97.72点。回答市町村で最大人口でありながら、高得点を得て2冠を達成するという見事な結果でした。

九州で2番目の人口規模を持つ都市でありながら、海と山が近く自然が感じられることや、物価が安くインフラも充実しており、地域の人同士の交流も活発である点が高得点につながったようです。

 

 

画像:北九州市

 

かつて重工業を支える人材が集まった同市は、九州で二番目の人口規模を持つ都市です。「明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業」が世界遺産に登録されるほど重工業が発展し、同時に人口も集中したまちです。しかし、現代の北九州市は、製鉄所の煙が出るようなイメージと全く異なり、青い空に周囲の山の緑を感じられるなど、環境対策が進んでいます。国から「環境未来都市」に選定されるなど、環境調和型のまちづくりが進んでいるのです。

こういった環境のほかに、インフラも充実しており、車無しでも暮らせるまちを目指しています。物価も安く、新鮮な魚介類や、有機野菜など食も充実。また、小倉駅近くにあるコワーキングスペース「秘密基地」など、若者や地域の人同士の交流も活発である点が人気の秘密のようです。

市長からのコメント

【大きなまち 若者世代部門】第1位は栃木県栃木市

 

栃木市星野町にある星野遺跡憩の森(画像:栃木県)

【若者世代部門】のほか、すべての部門で上位3位以内に入るという快挙を成し遂げた栃木県栃木市。若者、子育て世代への手厚い支援制度が自慢の同市は、中心市街地と郊外の田園風景が広がる多彩な景観をあわせもっています。

前回のベストランキングでも、若者世代が住みたい田舎部門1位、子育て世代が住みたい田舎部門1位を獲得する等、人気の都市です。その背景には、東京都から電車で1時間圏内というアクセスの良さ、そして手厚い定住者支援制度があります。

定住者支援制度として、住宅補助制度、育児支援はもちろん、就業・企業サポートも充実。たとえば、「とちぎジョブモール」では、就職支援サイトを開設し、就業までを一貫してサポートする仕組みが整っています。若者世代にとって就業支援は必須。また新たに起業しようとする人への支援制度も充実し、新しいことにチャレンジできる環境が整っているようです。

 

充実した支援制度と多彩な環境が1位を獲得した理由ではないでしょうか。

市長からのコメント

 

 

【大きなまち 子育て世代部門】第1位は福岡県糸島市

福岡県糸島市は、子育てを応援する取り組みや、子どもの力を伸ばす施策が充実しています。たとえば、生後二カ月の赤ちゃんがいる全家庭を子育て支援センターの職員が訪問する「こんにちは赤ちゃん訪問」をはじめ、病児・病後児保育、放課後児童クラブの時間延長、「子育て支援センター」での親同士の交流の場を設けるなど、さまざまな支援策が行われています。

九州大学の学生と共に学習に取り組む「九大寺子屋」「伊都塾」などが2015年度からスタートし、地域の子どもたちの学びの場となっています。また、糸島市マイホーム取得奨励金もあり、県外だけではなく県内からの移住も多いそうです。

 

移住支援制度を利用して移住したのは2017年度(4月1日~10月末日時点)279組853人。このうち子育て世帯はなんと209組692人とほとんどを占めます。子育て世代から圧倒的な人気を集めているのが伺えますね。

市長からのコメント

 

 

いかがでしたでしょうか? 

どこの市町も、魅力的なまちばかりで、行政の手厚い支援策があるところが多いのが印象的でした。自然環境がほどよく豊かで、まちの人が魅力的な点も、ランキング上位に選ばれた秘訣ではないでしょうか。

また、市長のコメントをみて、市長みずから支援策を充実させる意気込みがあるまちはとくに成功しているように感じました。

 

image by: PR TIMES

 

 

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