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なぜ島根が1位?外国人観光客に人気の旅行エリアランキング

近年、日本を旅行する外国人の観光客(訪日外国人観光客)が増え続けています。2017年の訪日外国人観光客数(累計)はおよそ2,869万人に達しました。10年前の2007年はおよそ835万人。たったの10年間で2000万人以上も増えたことになります。また、政府は2020年に4,000万人訪日を目標として掲げており、インバウンド(外国人訪日旅行)は今後ますます増加すると予想されます。そんな状況を受け、日本各地で「インバウンドを増やそう」と積極的に取り組む自治体が増えています。旅行予約サービス「楽天トラベル」では、「2017年 訪日旅行(インバウンド) 人気上昇都道府県・人気都道府県ランキング」を発表しました。一体、外国人観光客に人気急上昇中のエリアはどこなのでしょうか?また、人気のエリアでは、インバウンドを活性化させるために、どのような取り組みを行っているのでしょうか?

 

今年の人気急上昇エリア第1位は島根県!

早速、ランキングを見てみましょう。こちらは、予約人泊数をベースに、前年同期比の伸び率順に都道府県を順位付けしたランキングです。前年同期比の伸び率が最も高いエリア、つまり2017年に最も人気が急上昇したエリアは、西日本の島根県でした。前期比+135.0%と前年より35%も予約人泊数がアップしています。

また、第2位の三重県は前期比+132.6%、第3位の鳥取県は+130.9%といずれも西日本で、前期のランキング上位10位以内には入っていなかった県です。伸び率も僅差で、かなりの接戦が繰り広げられました。

2017年 訪日観光客 人気上昇都道府県ランキング(※前年同期比伸び率順)
1位 島根県 +135.0%
2位 三重県 +132.6%
3位 鳥取県 +130.9%
4位 宮城県 +123.1%
5位 鹿児島県 +119.1%

島根県が1位とは意外でしたよね?

そこで、今回は、いま最も人気急上昇中の「島根県」について、紹介します。

島根のすごいところ。日本で唯一「神在月」となる由緒正しき場所

【画像:島根県】

そもそも、「島根県」の観光スポットと言えば、どこが思い浮かびますか?

 

日本人でも「島根県ってどこにあったっけ・・・」と戸惑ってしまう人もいるかもしれません。じつは島根県は、全国の都道府県人口がワースト2位(ワースト1位はお隣の鳥取県)(※2)にランクインするなど、日本人にとってはマイナーな県です。

 

しかしながら、そんな島根県は、神代より書物に記されている日本で最も由緒正しい場所なのです。島根県出雲市の「出雲大社」には、旧暦10月に全国の八百万(やおよろず)の神々が出雲の国に集まるといわれており、他の地域では「神無月」とされるのに対し、日本で唯一ここだけは「神在月」とされます。そんな神秘的な島根県は、「出雲大社」のほかにも、映画「たたら侍」の舞台にも使われた「八重垣神社」など縁結びが人気の神社も数多くあります

八重垣神社【画像:島根県】

 

また、世界遺産に登録されている「石見銀山」エリア、アメリカの日本庭園専門誌で14年連続日本一を飾る足立美術館」のある安来エリア、日本遺産に登録されている出雲市エリアの「稲佐の浜」、国立公園に指定されている「隠岐」エリア、など、日本のみならず世界も認める由緒正しい観光スポットがそろっています。

島根県庁の位置する島根県の中心「松江」エリア周辺は、「松江しんじ湖温泉」「玉造温泉」などの温泉や、1611年築城の木造建築の城「松江城」、牡丹とイルミネーションが美しく韓国など外国人観光客に人気の庭園「由志園」など多数の建造物や観光施設があるほか、宍道湖からの雄大な夕焼けなど風景を楽しむことができます。便利なだけではなく、多彩な観光を楽しむことができるのが魅力的です。(※2 2015年10月1日 国勢調査人口を参考に記載)

 

▶︎「由志園」を訪れる人

 

 

外国人観光客に特に人気だったのは「松江・玉造・安来・奥出雲」エリア

松江しんじ湖温泉の足湯【画像:島根県】

第1位になった島根県のうち、最も伸び率が高かったのは「松江・玉造・安来・奥出雲」エリアでした。予約人泊数が前年同期比で約2.6倍も増加していました。

 

特に、アクセスが便利な「松江駅前」や「松江しんじ湖温泉」の宿泊施設に人気が集まっていたようです。

 

松江エリアには先に述べたように「松江城」などがあるほか、由志園のイルミネーションが韓国や松江を中心とした「松江・玉造・安来・奥出雲」エリアに宿泊して、出雲大社など出雲市周辺や、益田、石見銀山など他のエリアに加えて、鳥取県の「鳥取砂丘」や、ゲゲゲの鬼太郎ロードがある「境港」、日本百名山に選ばれている「大山」などを含めた山陰エリアを旅行している人が多いようです。

 

 

アジアからの観光客を引き寄せる、島根県の取り組み

島根県への外国人観光客の大半は、韓国、台湾、香港、中国本土から観光に来ているようです。
その他には、アメリカやオーストラリア、フランス・イギリスなどヨーロッパ、タイなど、多様な国の観光客が島根県にやってきているようです。

 

 

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「島根県、最高!」

「20代のはじめに3年間島根で過ごしたけど、素晴らしかったよ。魅力的な町に素晴らしい歴史、文化!」。

 

そんな外国人観光客を受け入れるために、また来てもらうために、島根県はどのような取り組みをしているのでしょうか?

ポイントは、

①行政の補助金による積極的な受け入れ態勢の整備

②多言語化された観光WEBサイトでモデルコースを紹介

③外国人に向けたプロモーションによるPR

の3点だと考えられます。

 

①行政の補助金による積極的な受け入れ態勢の整備

まず、行政が積極的に、企業の外国人観光客の受け入れ態勢を整えるバックアップに力を入れています。たとえば、「外国人観光客誘致事業補助金」では、外国人観光客誘致にかかる、パンフレット作成、先進地視察、免税店整備、wi-fiなどの整備にかかる費用について助成を受けることができます。限度額は20~50万、補助率は1/2で、小さな店舗や中小企業も活用できそうです。
「外国人観光客送客促進支援補助金(バス助成)」も行っています。島根県内に宿泊する海外からの団体旅行を支援するというもので、台湾、香港、中国及び東南アジアの外国人観光客に向けてツアーを行っている旅行会社に、貸切バス1台につき5万円の助成を行っています。

また、「しまね観光案内サイン・ガイドライン」を策定し、島根県全体として、国内外の観光客にわかりやすい観光案内サインを整備する取り組みを行っています。

このほかにも、「山陰地域限定特例通訳案内士制度」を島根県・鳥取県の山陰地域独自で取り入れており、英語・韓国語・中国語の通訳士の情報を島根県の公式WEBサイトで公開しています。団体旅行を組みたい旅行会社はもちろん、個人旅行で外国人の友人が来るけれど言葉に自信が無い…という人にとっても、嬉しい取り組みですね。

 

②多言語化された観光WEBサイトでモデルコースを紹介

 

次に、多言語化された観光WEBサイトで情報収集ができ、モデルコースも紹介されている点も注目すべきところです。

島根県の観光サイト「しまね観光ナビ」では、英語はもちろん、韓国語、中国語、台湾語、タイ語の5か国語の表示が可能です。

また、山陰地域の島根県と鳥取県は2017年1月より、両県を横断する広域観光周遊ルート「縁の道~山陰~」を紹介する多言語WEBサイトを開設するなど連携して国内外の誘客に注力しています。

「島根観光ナビ」では島根県内各地のモデルコースが紹介されており、「出雲神話・縁結びコース」では縁結び・パワースポットや神話の地巡り、「銀の国・鐡の国」コースではたたら製鉄の歴史をめぐるなど、日本文化に興味のある観光客に人気のようです。「縁の道~山陰~」では、島根県の松江エリアなどで一泊して、山陰をまるごと楽しみたいという方に人気の広域周遊モデルコースが紹介されています。

外国人旅行客のニーズに応じて、多彩な人気スポットを知ることができるのが、魅力的ですね!

 

しまね観光ナビの観光コース 

 

日本語版で表示されたモデルコース

 

 

英語版のモデルコース「縁の道~山陰~」 

 

③外国人に向けたプロモーションによるPR

最後に外国人に向けたプロモーションを充実させていることによって、島根県の魅力が伝わっているようです。

山陰地域の島根県と鳥取県は協力して外国人向けのプロモーションビデオを制作しており、現在youtubeで公開されています。再生回数はなんと570万回を超えています。

youtubeのコメントには、「素晴らしい!」「なんて美しい光景なんだ」など、外国人の方はもちろん、日本人からも絶賛する声があがっており、「動画再生回数が山陰の人口より多い」など、少し毒のある嬉しいコメントも寄せられています。

 

このほかにも、島根県独自で「ご縁の国しまね「島根には本物がある」英語字幕版」をyoutubeで公開しており、プロモーションに力を注いでいます。

言葉だけでは伝わらない心に響くような絶景の動画を見た外国人の方々が、近隣の韓国、台湾、中国だけではなく、世界各国から旅行に来ていただいているに違いありません。

山陰のPR動画(youtube)はすでに再生回数570万回越えとなりました。

 

こちらの再生回数はまだ5千回前後ですが、 英語字幕版の「ご縁の国しまね『島根には本物がある』」があります。

以上、いかがでしたでしょうか?

島根県が外国人旅行客に人気急上昇中な秘密は、日本文化の根付く由緒正しい土地そのものの魅力はもちろん、行政の積極的なバックアップと、多言語WEBサイトやプロモーションなど、世界に向けた魅力発信が功を奏したようです。外国人の友人を日本に案内する時は、島根県もオススメしてみてはいかがでしょうか?

 

source by: PR TIMES

参考サイト:外国人観光客の国別割合 島根県HP/「外国人観光客誘致事業補助金」島根県HPより/「外国人観光客送客促進支援補助金(バス助成)」島根県HPより/「山陰地域限定特例通訳案内士制度」 島根県HPより

 

 

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