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IT音痴ばかり。「古い体質」の職場をカイゼンする方法はあるか?

「この業界の体質は古い」と言う場合、上層部の「思考停止でIT技術など新分野に対して無理解」なときが多いとするのは、無料メルマガ『がんばれスポーツショップ。業績向上、100のツボ!』の著者・梅本泰則さん。梅本さんは、AIやIoTなどの存在確認すらもしない組織トップの姿勢は「スポーツ用品とIT技術の連携」など柔軟な改革を止めてしまっているとし、未来を描ける解決法を提案します。

古い組織は変われるか?

組織というものは、長く続くといつのまにか停滞をしてしまうようです。最近私は、ある組織の役職につきました。戦後からの歴史を持つ、優秀な人たちが集まる団体です。年に一度ずつ、総会と全国大会が開かれます。どちらも、全国から集まるのは代表メンバーです。それでも100名は超えるでしょうか。

総会では、事業報告や事業計画が発表され、型どおりに承認されていきます。出席者からいくつかの質問は出ますが、それも予定通りです。議事が無事に終われば、懇親会が始まります。皆さん、おたがいに酒を注ぎながら、旧交を温めているようです。

次は、全国大会です。会長のあいさつに続いて、来賓のあいさつ。その後、会員の表彰などが行われ、外部から招いた講師の講演に移ります。それなりに良いお話なので、「面白かった」といった感想です。ただし、勉強会や研修ではないので、それ以上のことはありません。最後は、お偉方による「締めの挨拶」で閉会です。

しかし、大会はまだ終わりません。またお約束通りの懇親会が始まります。メンバーの中には、この懇親会を楽しみにしている人もいるようです。乾杯のあと、食事もそこそこにあちらこちらでお酒を注ぎ合ったり名刺を交換したりしています。そうこうしているうちに、地元の踊りや音楽などの出し物の登場です。参加者へのおもてなしなのでしょうか。なんだか、どこかの村の集まりのようです

おそらく、今まで何度となくこうした全国大会の光景が繰り広げられてきたに違いありません。実は私はこうした全国大会の意味をよく理解できないでいます。

役職者のITリテラシー

そして、たびたびこの組織の会議に出る機会があります。出席の役職者の方たちは、60代後半、70代の方が多いです。さすがに皆さん立派な経歴をお持ちで、発言をされれば、流れるように言葉が出てきます。うまいものです。

ところが、この方たちにも1つ大きな問題があります。それは、かなりの方のITリテラシーが低いということです。例えば、eメールを使えない人がいます。ですから、事務局が連絡を取るのに一苦労です。ワードやエクセルをうまく使えない方もいます。パワーポイントとなれば、なおさらです。部下に指示をしておけば、みずから手を動かす必要がなかった人たちばかりなので仕方ありません。しかし、今の時代では、それは化石のようなものです。

この団体には事務局があるとはいえ、多くの人数がいるわけではありません。こうした組織の中では、みずからメールやパソコンを使いこなす必要があるのです。それがうまくできませんから、情報が伝達できませんし、連絡もむつかしくなります

ですから、こうしたITリテラシーの低い人たちにAIとかIoTといっても、しっかりとは理解できないのではないでしょうか。さらに言えば、全国大会だって、会議だってわざわざ遠くから集まる必要はありません。インターネットでできる時代なのですから。

IT技術で業界は明るい

私は、スポーツ用品業界の総会や全国大会も役員会議も、この組織と同じようなものではないかと思うのです。

スポーツ用品業界の未来は決して明るくはない」とおっしゃった、業界大手の経営者がいました。おそらく、この経営者はスポーツ用品業界も古い体質だと訴えたかったのではないでしょうか。それならば、正しい発言です。しかし、私はだからこそ業界の未来は明るいと言いたいです。なぜなら、業界のトップにいる年配の人たちがIT技術の流れを理解できれば一気にチャンスが広がります

世の中は「インダストリー4.0」の時代です。スポーツ用品業界にも、その波が押し寄せてきています。AIやIoTによる技術がスポーツに活用されているではありませんか。VRでスポーツ技術を向上させようとしている人たちがいます。ARでスポーツ観戦を楽しもうとしている人たちがいます。ウエアラブルアパレルで選手のコンディション管理が可能な時代になってきています。3Dプリンターでスポーツ用品が作られる時代になっています。IT技術でオーダーメイドのスポーツウエアやシューズが作られる日も近いです。集められたデジタルデータを分析して試合に勝とうとしている人もいます。ものすごいスピードでIT技術の開発が進んでいるのです。

ITリテラシーの低い年配の人たちはそうした情報にうといかもしれません。「私にはついていけません」という方も多いです。決してそんなことはありません。考えることをやめてはいけないのです。

確かに、20年前とはあまりにも違った世界が来ようとしています。実際に、技術を身につけることはむつかしいでしょう。しかし、流れを見ることはできます。そうでないと、また来年も地元の踊りをみながら「シャンシャン」ということになってしまうでしょう。古い体質は、どこかで変えなければいけません。

今日のツボ

image by: Shutterstock.com

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ワン・トゥー・ワンコンサルティング代表。スポーツ用品業界での経験と知識を生かし、業界に特化したコンサルティング活動を続ける。
スポーツ用品業界在籍33年の経営コンサルタントが、スポーツショップの業績向上法について熱く語ります。スポーツショップのために書かれた、日本初のメルマガです。ここには、あなたのお店がかかえている問題を解決するヒントがいっぱいです。

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【著者】 梅本泰則 【発行周期】 週刊

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