MAG2 NEWS MENU

ナショジオ賞作家が教える、美味いインド料理にありつく方法

毎回、アジアの日常を切り取った躍動的な写真を届けてくださる、ナショナルジオグラフィック写真賞作家・三井昌志さん。今回の無料メルマガ『素顔のアジア(たびそら・写真編)』では、勘と推理力が試されるという「インドの食事の当たり外れ」について、日本ではなかなかお目にかかれない現地料理の写真とともに紹介しています。

美味いインド料理の鉄則

インドに入ってから、食べ物に関する投稿ばかりになっているが、決して「食べてばかりいるから」ではない。食事以外の時間はバイクで移動しているか、撮影しているかなので、ツイートする余裕がないのだ。インド飯が美味しいっていうのも、もちろんあるんだけど。

僕が初めてインドを訪れた2001年に比べると、インド料理は確実においしくなったと思う。全体のレベルがアップした。しかし今でもちょっと油断すると、とんでもなくマズいインド飯に遭遇することがある。どこで何を食えば良いのか、旅行者の勘と推理力が試されるのがインドの食事なのだ。

長年の経験から導き出された美味いインド飯の鉄則は「ノンベジ肉食を食べたければムスリムの店に行け」「ベジ菜食を食べたければシク教徒パンジャビの店に行け」というもの。パンジャビ料理屋は主にロードサイドに、ムスリムの食堂は主に旧市街の真ん中にある。

国道沿いにあったパンジャビ食堂でパニールマサラとタンドリーロティを食べる。パニール(カッテージチーズ)はとりあえずこれ頼んでおけば安心という定番料理だ。舌がヒリヒリするほど辛いが美味かった!140ルピー(220円)。

毎年、インドのベジタリアン食が続くと「あぁ天下一品のこってりラーメンが食べたい」と思う時期が来る。でも日本に戻ってみると、案外そうでもなくなって、実際に天一を食べることはなかったりする。 「天一は遠くにありて思うもの」なのかも。

夕食はマトンのキーマカレーとジーラ・ライス。羊肉独特のクセというかコクがあって、とてもおいしかった。85ルピー(140円)。インドの大きな街には必ずムスリム街があって、おいしいノンベジ食堂が見つかるので、僕の「こってりラーメンへの強い欲求」もいつの間にか消え去ったようだ。

エッグカレー50ルピーとタンドリーロティ5ルピー×4枚。エッグカレーはゆで卵をマサラに入れただけだが、この組み合わせは意外に悪くない。昼食は超辛かったが、ここのカレーはマサラ控え目である。というか全然スパイシーじゃない。この程度では舌が物足りないと言っております。

ムスリム食堂でチキンビリヤーニを食べる。全然期待していなかったが美味しかった。肉の旨味がご飯に染みている。やっぱりビリヤーニはムスリムに限る。50ルピー(80円)。

ムスリム街の専門店で食べたチキン・ビリヤーニは、僕がこれまで食べたビリヤーニの中でもっとも美味く、しかももっとも安かった(20ルピー)。こういうアタリを引くと嬉しくなってしまう。肉はホロホロになるまで煮込まれ、スパイスの味が染みている。不思議なのは日本酒に似た香りがすること。アルコールを使うはずはないが、何の香りだろう?

もちろん「ハズレ」を引いてしまうこともある。この日食べたターリーはひどかった。チャパティもパサパサで味がなく、ひよこ豆のカレーもグリーンピースのカレーもまったく味気ない(僕が苦手なのもあるが)。ただ辛いだけだ。100ルピー(160円)という値段に見合わない。

その地域独特の郷土料理というのも曲者だ。インド中部マディヤプラデシュ州の郷土料理バフラは、チャパティを分厚くして炭火で焼いたもの。あのパサパサで口の中の水分をすべて吸収してしまうチャパティを、普段の3倍分厚くしたらどうなるのか。もちろん全然美味しくない。インドではときどき首をかしげたくなるような「地元の味」に出くわす。

当たり外れの大きいインド料理の中でも、南インド料理は「打率」が高く、空振りに終わることは少ない。ドーサワダミールスなどはだいたいどこで食べても美味しい

朝食に南インドの定番スナック・ドーサを食べる。発酵させた米粉の生地を焼くクレープだ。ココナッツチャツネが美味しい。ドーサを食べると「あぁインドに戻ってきたんだなぁ」としみじみと実感する。

円錐型に盛り付けられたドーサ。まるで富士山のようで、元日にふさわしかった。自らの水蒸気でしんなりと湿気てしまうのを防ぐための工夫だ。もちろん薄くてパリパリの僕好みのプレーンドーサだった。20ルピー(32円)。

こちらも南インドの軽食の定番のひとつワダ。豆粉のドーナツです。揚げたてのワダに出会えた朝は、小さな幸せを感じる。外はサクサク、中はしっとりで、ココナッツチャツネにつけていただく。4個で30ルピー(50円)と値段もリーズナブル!

ランチには南インドの定食ミールス。野菜のカレーとご飯が食べ放題。オクラと大根のサンバルをたっぷりかけていただきます。70ルピー110円。野菜がもりもり食べられる幸せ!

三井昌志この著者の記事一覧

旅写真家・三井昌志が送るビジュアル・メルマガ。等身大のアジアの表情を、美しい写真と旅情溢れる文章で綴る無料メルマガ。

無料メルマガ好評配信中

この記事が気に入ったら登録!しよう 『 素顔のアジア(たびそら・写真編) 』

【著者】 三井昌志 【発行周期】 ほぼ 週刊

シェアランキング

この記事が気に入ったら
いいね!しよう
MAG2 NEWSの最新情報をお届け