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Google、Apple、Netflixはなぜゲーム業界への参入を決めたのか?

グーグル、アップルに続いて動画配信大手のネットフリックスがゲーム業界への参入を発表し、業界再編への引き金になるのではないかと注目しているのは、メルマガ『理央 周 の 売れる仕組み創造ラボ 【Marketing Report】』発行人の理央周さんです。理央さんは、ゲーム業界への参入表明が相次いでいる理由と、競争が激しさを増す中、勝ち残っていく企業に求められる強みや戦略を探ります。

業界再編に動くゲーム業界に学ぶ企業戦略の立て方

今号の特集では、ここのところ話題になっているゲーム業界についてです。特に、ネットフリックスとグーグルの参入表明以来、この話題が多くなってきました。 色々な情報ソースが出ている中、

という順序で考えていきます。

ゲーム業界の再編と現状

今、ゲーム業界が話題になっています。私はあまりゲームをやりませんが、3年前にポケモンゴーが出てやってみたら面白く、もう2年以上もやっています。このポケモンGOは画期的なゲームです。なにせ、初めてプレイヤーを家の外に連れ出すゲームだったからです。

ポケモンGOでは、新しいモンスターが登場とか、キャンペーンウイークでボーナスポイントが多いとか、毎週のように、新しい刺激がプレイヤーには告知されます。私も影響を受けたためか、なんとなく面白さが少しわかってきました。

ここのところゲーム業界が話題になったのは、もともとはゲーム業界にいなかったIT大手企業や、動画配信企業など、さまざまな業界からの新規参入が目立っているからです。 グーグルは今年3月に、スマートフォンなどで楽しめるクラウド型のゲーム配信サービスを始めると発表しました。自社のサービスのひとつの、YouTube上で遊べるようなゲームのことのようです。

クラウドで遊ぶということは、ネットにつなげることができる環境にあれば、どこででも、場所を選ぶことなく遊べるということになります。さらに、ニンテンドーやプレステのような、特別な「ハード」がいらないために、ゲームをやる人にとっては、場所もマシンも選ばず遊ぶことができる、というメリットがあります。 アップルもiPhoneで遊べるような、ゲーム遊び放題のサービスを開始すると発表しました。

業界再編の引き金はネットフリックス

そこに、映画やドラマをネットで動画配信する、業界大手のネットフリックスが、ゲームのイベントで、「番組や映画の世界観を広げたい」とゲーム業界への参入を発表しました。

もともとネットフリックスは巨額の制作費をかけて、自社オリジナルのドラマや映画を製作し人気を集めています。その中の人気ドラマを、ゲーム化するということで話題になっているのです。 ディズニー傘下のマーベルも、アベンジャーズのゲームを発売すると発表しました。これら「他の業界からのゲーム参入」があったこともあり、より大きな話題になりました。

この背景を考えてみます。日経新聞によると、昨年のゲームの市場規模は15兆円。ユーザーは22億人とのこと。これが10年で40億人にも伸びるということです。この背景には、ITの進化、モバイルの浸透、そして日本でも来年から始まる大容量のデータがやりとりできる通信規格5Gをはじめとするインフラの整備があります。

マーケティングの基本は、自社が優位に立てる市場を見つけてそこに商品やサービスを提供することになります。その際のいい市場の条件とは、

の3つです。 今、ゲーム業界はこれらに当てはまる状態です。ネットフリックスは、この状況に目をつけ、自社のオリジナルドラマをゲーム化しようと考えました。

このように、1つのコンテンツを、動画配信だけではなく、ゲームでも使用するという、1つのソースを複数のメディアにと応用することで、マルチユースする手法を、メディア・トランスフォーメーションと呼びます。 小説だったハリー・ポッターを、映画やゲーム、USJのアトラクションで活用することと同じです。

ゲーム業界再編から何を学ぶべきか?

こうなると新しく参入したいという企業が増えてきます。このメルマガでもよくいうように、市場が大きくなりライバル企業が増えると、その激しい競争の中から、ユーザーに選ばれることが難しくなります。 その際に大事なことは市場で「勝てる売り物」を出すこと。つまり、「自社のサービスでしか提供できない価値」を、見出し、提供することです。

このネットフリックスのオリジナルドラマや、マーベルのアベンジャーズなどの「キャラクター」は、自社独自のものです。ここにしかない、という意味で、十分選ばれるコンテンツです。コンビニのPBを目当てに、そのコンビニに行くようなものですよね。
マーケティングの基本は、「美味しい市場」に「勝てる売り物」をだすこと。これからが楽しみなゲーム業界。注目します。

image by: Shutterstock.com

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ビジネス・仕事に大事なのは、情報のキモに「気づき」どう仕事に「活かす」かです。トレンドやヒット商品には共通する「仕掛け」と「思考の枠組み」があります。このメルマガでは、AI、5G、シェアリングなどのニュースや事例をもとに、私の経験とMBAのフレームワークを使い「情報の何に気づくべきか?」という勘どころを解説していきます。現状を打破したい企画マン・営業マン、経営者の方が、カタくなっている頭をほぐし情報を気づきに変えるトレーニングに使える内容です。

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