MAG2 NEWS MENU

「車がないと生活できない」と語る田舎の親に免許返納させた裏技

池袋での高齢者運転手による暴走事故を皮切りに、大きく注目されることになった高齢ドライバーによる交通事故。これにより、高齢の両親に免許返納をさせたい…と思う方もいるのではないかと思います。そこで、今回の無料メルマガ『システマティックな「ま、いっか」家事術』では著者の真井花さんが、移動手段が車の高齢ドライバーに免許返納を切り出す前に知っておきたいことを紹介しています。

免許返納するなら

さて、本日は切実な問題のお話。

今年になってから多発しているのが

高齢ドライバーによる交通事故

ですよね。いずれも凄惨な事故が多く、たくさんの方が死傷されています。そんなニュースを見て、

・他人事じゃない…

と思われる方も多いでしょう。なにせ世界最速で高齢化している日本ですからね。誰にとっても高齢者は身近な存在であるはずで、ご家庭で同居していたり、あるいはすぐ近所に暮らしていたり、遠く離れた田舎で一人暮らししている親がいたりするかもしれません。

その老親がクルマを運転していれば、事故による重大な結果は実に切実な問題です。事故は、被害者も加害者も、その家族たちも巻き込んでしまいますから。

ここで急激にクローズアップされてきたのが

免許返納

ですね。

杉良太郎さんが免許返納したというニュースを見ました。彼は、こういうとこ、スゴいですね。自分が免許返納を検討すべき世代の代表であり、有名人であることをよく分かっていて、その影響力を良い方向に活かそうとされているんですね。

この免許返納は、都市部と田舎でだいぶ話が違っています。都会より田舎の方がはるかに返納のデメリットが大きいのです。デメリットの大きさの違いがどこから来ているのかといえば、それはもう

・代替交通手段の有無

です。もう、これに尽きると思います。長く都会で暮らしてきましたが、都会にはバスも地下鉄もタクシーも豊富にあります。特に東京圏だと、バス停や地下鉄の駅は

・ちょっと歩けば、次♪

くらいの距離ですよね。隣の駅まで歩くのは、取り入れやすい運動として認識されているくらい。しかも、ガンガン本数がある。数分で次が来ますから。東京メトロなんてソレこそ3分くらいで次ですよね。なので、フツー時刻表なんて覚えないでしょ。私も覚えていませんでした。

翻って、イナカ。代替交通手段ってナニ?っていうくらいですね、もう。

そもそも地方都市のほとんどには、

・地下鉄がない

んです。っていうか地下鉄があるのは、人口100万クラスの大阪・名古屋・福岡・札幌…くらい。それ以外の都市には、市内を走る電車はあっても地下鉄はないんですよ。で、その市電とバスの本数がこれまた少ないんです。ちょっと中心部から離れたところに行ったら

・1時間に1本くらい

なんですよ。いや、乗り逃したら一日の予定がパーですから。すぐ時刻表は覚えますよね( ̄∇ ̄)

なので、どこに行くのでもクルマ。それこそ、空港に行くにも新幹線停車駅に行くにも、コンビニにもご近所さんにも、とにかくクルマ。たま~に、幹線道路沿いを歩いているじーちゃんとかばーちゃんとか見かけたりすると、

・もしかして徘徊?!( ̄■ ̄;;

って思いますもん。そのくらい移動=クルマなんですよ。

こういう場所では、免許返納の持つ重みが必然的に都会とは違います。

ずっとクルマを運転してきた人からすれば、いきなり自分の行動の自由を奪われ、厄介者になった気がするんじゃないでしょうか。

しかも、マズいことにイナカの公共交通機関はどこもそれほど黒字ではなく(いや、控えめに言ってみました)、返納者が増えたからといってすぐにバスや電車が増発されるわけじゃないんですよね。

なので、イナカに住む老親に免許返納を迫っても

・一蹴

されるだけでしょう。いや、跳び蹴りかもしれません( ̄∇ ̄)

そうは言っても引き下がれない現役子供世代。老親の衰えを目の当たりにしている以上、そう簡単に現状維持というわけにはいきません。

でね。返納を説得するなら、別の切り口を試してみてほしいんです。それは

自動車を所有しているおカネがどのくらいか

です。このおカネには、自動車税・車検代・任意保険・ガソリン代駐車場代…このあたりですね。これ、

・意識していない

ってとこがポイントなんだと思います。

人は、使う度に支払うおカネの額は覚えているものですが、一回支払ってオシマイだとあんまり覚えていないんですよね。クルマだって昨日支払った駅前の駐車場代は覚えていても、この前の車検代がいくらか覚えていないでしょ?

ザックリですが、所有しているのが軽自動車だとしても、

・自動車税 :10,000円位
・車検代  :65,000円位
・駐車場代 :20,000円位
・任意保険 :80,000円位
・ガソリン代:40,000円位

年間ですよ。いや、あの、上下幅が激しいものだってことは、よく分かっているつもりです。駐車場代なんて、都心と地方じゃ全然違いますからね。また、任意保険やガソリン代の金額もホントにピンキリでしょう。なので、ザックリこのくらいという目安で考えてくださいね。

…でも、結構高額ですよね(0_0;)所有しているだけでかかっているわけですから、これはそのまま

タクシー代やバス代、電車代にスライドできる

ということです。おそらくトシヨリドライバーの不満のひとつは、

・タクシーは高い!

だろうと思います。それは一回づつ支払うから、痛みとして覚えているだけです。ホントは、クルマを持っているだけで費やされているおカネがあるんですよ。それを原資にすれば、タクシーに乗るのもそれほど抵抗感が無くなるんじゃないでしょうか。

ん?でも、足回りの不便さは解消されない?ま、それはグルッと一周して同じところに戻っちゃっいましたね。そりゃそーですよ。クルマのいいところは、自由度の高さです。返納する以上は、それはどうしたって失ってしまいます。返納を検討するということは、

喪失する自由度の高さ と 未来の安全

を比較してみるという話ですから。

だから、クルマにかかっている諸経費以外にもうひとつ考えなくてはならないおカネがありますよね。そう、事故を起こした場合の損害賠償金です。

返納で問題になるのは、

・高齢者が加害者になった場合

ですね。なので、今回高齢者が被害者になった場合は省きますよ。

交通事故を起こして加害者になった場合、加害者に損害賠償や慰謝料を支払うことになります。死亡したら葬式代なども加算されます。

メンドーな計算式があるのですが、これまたチョーざっくり言うと4歳の子供が交通事故で亡くなった場合

・だいたい5,000万くらい

が損害賠償の相場だそうです。目安ですよ、念のため。

払う側でこの金額をみれば、非常に高額だと思うでしょう。ですが、子供を失った側でこの金額をみれば、とても心の傷が癒える金額ではないように思います。まあ、もともとおカネで癒えるものでもないんですが。

この損害賠償分をどう考えるか。これが免許返納で最も検討すべき部分だと思うのです。

もちろん高額ですが、たとえ自賠責が任意保険がと言ってもそれは所詮おカネの問題だけで、たとえ支払っても相手の人生は戻らない。遺族の傷も癒えないのです。

つまり

費用としては、項目が違う
起こり得るかもしれない事故から逃れられる

ということです。

一概には言えませんが、一概に言えることもあります。

身体能力は、若い時より落ちている

とういうことです。この大前提は、有史以来ほぼ誰にも覆されていないんです。

というわけで、我が家では同居の義母に免許返納を決意させました。タクシーとバス、あるいはシニアカーなどで足をカバーし悲しいおカネを支払う代わりに地域経済を回すおカネを支払いたいと思います。

そろそろ夏休み。イナカの両親に免許返納を切り出してみてはどうでしょうか。

image by: Shutterstock.com

真井花(まないはな)この著者の記事一覧

食べるのは大好きだけど、作るのは超苦手。棚拭きとアイロンがけが何より嫌い。そんな家事オンチだった私がソレナリに家事をこなせるようになったワケ。家事全体を見渡して、最小の手間で最大のリターンを得る、具体的なシステムをお知らせするメールマガジンです。

無料メルマガ好評配信中

この記事が気に入ったら登録!しよう 『 システマティックな「ま、いっか」家事術 』

【著者】 真井花(まないはな) 【発行周期】 週3回(月水金)刊

シェアランキング

この記事が気に入ったら
いいね!しよう
MAG2 NEWSの最新情報をお届け