安倍晋三首相は20日、衆参両院の本会議で施政方針演説を行なった際、「台湾」に言及したと朝日新聞、毎日新聞、産経新聞などが報じている。同会議で安倍首相が東京オリンピックに参加する選手団のホストタウンとなる自治体とその相手について「台湾」という名前を口にすると、場内からは大きな拍手が起こったという。これについて台湾の蔡英文総統は、「『台湾』という言葉が日本の国会で大きな拍手を浴びたのは実に嬉しいことです!」とSNSに投稿し話題となっている。また、この本会議では、「桜を見る会」や「IR」の問題について触れられることはなかったことで厳しい声も出ているようだ。
台湾の蔡英文総統はツイッターで、安倍首相が施政方針演説で「台湾」に触れたことについて「実に嬉しいことです!」と歓迎しました。https://t.co/QEJPLK0LBy
— 毎日新聞 (@mainichi) January 20, 2020
桜、IR触れず五輪ばかり…国会開幕、首相の説明責任は https://t.co/g7D8bvYffv
— 朝日新聞(asahi shimbun) (@asahi) January 20, 2020
平成18年1月20日以来の「台湾」言及
安倍首相は、東京オリンピック・パラリンピックの際、ホストタウンとして東日本大震災の被災地が参加国や地域のホストタウンになることを述べ、「岩手県野田村は台湾」と強調した。日本と外交関係がない台湾が施政方針演説に登場するのは小泉純一郎首相(当時)の演説以来となる。安倍首相の「台湾」言及に、議場では歓声と大きな拍手が起こった。日本と国交のある中国は、台湾を一国二制度に基づき「中国の一部」であると主張し、日本も現在は台湾と国交がない状態である。その中で、今回の「台湾」言及は極めて異例だ。
安倍首相の狙い
産経新聞によると、「台湾」を強調した背景には、今春予定の習近平国家主席の国賓来日を控えた中国への「牽制」の目的があるという。また、自民党内の一部議員の中には、香港情勢や新疆ウイグル自治区での人権侵害などを理由に、国賓来日に反対する議員が少なくないため、そうした反中派、親台派の議員たちへの「配慮」ということも考えられる。
蔡英文総統「嬉しい」
安倍首相の「台湾」言及について、台湾の蔡英文総統はツイッターの公式アカウントで喜びの思いを日本語でツイートしたことが日本のネット上でも話題となっている。
「台湾」という言葉が日本の国会で大きな拍手を浴びたのは実に嬉しいことです!
(05:27~06:00)
20以上の自治体が台湾選手のホストタウンを希望していたと聞いています。我々も日本にてトレーニングし、競技に参加できるのを楽しみにしています!頑張ろう!東京オリパラ! https://t.co/R9dVPZiJzD— 蔡英文 Tsai Ing-wen (@iingwen) January 20, 2020
疑惑や不祥事には一切触れず、批判の声も
一方で、首相主催の「桜を見る会」やカジノを含む統合型リゾート(IR)事業に関する汚職事件、昨年10月の2閣僚の辞任などについては一切触れなかった。さらに、公職選挙法違反の疑惑が報じられた自民党の菅原一秀・前経済産業相や、公選法違反容疑で家宅捜索を受けた河井案里・参院議員、その旦那の河井克行・前法務相も国会に参加したが、いずれの議員からも詳しい説明はされなかった。
野党は首相の姿勢を批判し、疑惑を国会論戦で徹底追及する方針。与党内からも、桜を見る会やIR汚職事件について、「国民は十分な説明が尽くされていないと感じている」「国民の厳しい視線を感じざるを得ない」という声もあがっているとのこと。安倍内閣は、一体いつまで疑惑や不祥事を曖昧なままにし続けるのだろうか。
Twitterの声
安倍総理、施政方針演説で「台湾」と発言。
国会で拍手喝采が沸き起こる。
これを日本のマスコミ各社が報じ、当然、国賓来日を控えた習近平国家主席の耳にも届くだろう。
こういう外交の駆け引き出来ちゃうのが安倍政権なんだよなぁ。
今の野党には出来ない事だと思う。
— 小鳥 (@kotoRichan_P) January 20, 2020
通常国会開会。雲隠れしていた議員たちが揃って登院。疑惑については語らず。黙り通してほとぼりがさめればよしか。誰も何も責任もとらない。またに安倍政権の体質そのものだ。社会への悪影響を懸念する。
— 斉藤よしたか(斎藤嘉隆)参議院議員 りっけん (@saito_yoshitaka) January 21, 2020
「希望にあふれ誇りある日本を創り上げる」
などと安倍首相による美辞麗句のオンパレード演説。
その議場には秋元司議員の椅子(逮捕で空席)、
同様の疑惑で聴取を受けている白須賀議員、
メロンカニ現金で不正当選した菅原一秀議員、
運動員買収疑惑の河井案里議員、
夢も希望もあるかよ
— 但馬問屋 (@wanpakuten) January 21, 2020
安倍総理が国会での所信表明演説で、『台湾』の名を出し発言した事実は非常に大きい。
今春、習近平氏を国賓として迎えるが、安倍総理…なかなかの策士かも知れない。
— サスケ(レナウン娘改レバノン逃亡者) (@vvtc36) January 21, 2020
昨日、安倍首相の国会での施政方針演説で『台湾』という言葉が出ました!
議場内からは「おー」というどよめきと共に約5秒間拍手が日本の国会もまだまだ捨てたもんじゃないなー!
— 日台の架け橋 (@yu_kobe77) January 21, 2020
台湾の蔡英文総統は20日、ツイッターで、安倍首相が「台湾」という単語を口にしたことに「嬉しい!」とつぶやいた。日本の国会議員の多くは反中、反一国二制度だ。
外務省は一国二制度を受け入れ、台湾を独立国と認めない。
ホントにわからん国だ。— ジョン・デルモンド (@koimarutomohiro) January 21, 2020
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image by: 首相官邸