現役日本代表の長友佑都選手が試合の機会を奪われる事態になっています。所属するガラタサライで登録メンバー外となってしまいましたが、欧州で移籍先は見つかりませんでした。そこでJリーグ復帰が現実味を帯びてきたわけですが、新シーズン直前でチーム編成が終わっている中、どのチームが獲得に乗り出すのでしょうか?サッカー情報で人気のメルマガ『J3+ (メルマ)』では、戦力状況からも古巣FC東京の復帰が濃厚としながらも、他に可能性のあるチームを探っています。
長友佑都の移籍先はどこになる?
日本代表のDF長友は2年前の2018年1月にインテルからガラタサライに移籍した。ガラタサライでは左SBの主力として活躍しており、日本代表でも相変わらずレギュラーを張っているが今シーズンは低調。チームも10勝4敗6分けで6位と調子が上がっていない。リーグ制覇は難しくなった。DF長友は批判の対象になっており、冬の移籍市場でガラタサライはウルグアイ出身のDFサラッキを獲得した。DF長友はセリエAのボローニャへの移籍の可能性が浮上したが実現せず。欧州の冬のマーケットは1月31日(金)で閉じられた。
トルコリーグの外国人枠は「14」。16名の外国人を抱えるガラタサライは2名をメンバー外にする必要があったがDF長友が登録メンバーから外れることになった。残りの半年間、ガラタサライでプレーするのは不可能になったが、契約は今年の6月まで残っているという。「残りの半年間、ガラタサライでプレーできなくてもクラブからは100万ユーロの報酬を受け取ることができたがDF長友はこれを断った」と各種メディアが報じている。「試合に出ずに練習に行くだけで報酬を受け取ることはできない」という考えだという。
DF長友らしい考え方だと思うが「報酬を受け取るのを断った」ということから判断すると早い段階でチームを離れるのは確実と言える。3月にはW杯予選が控えており、左SBのレギュラーのDF長友が所属クラブで全くプレーできないというのは日本代表にとっては痛手である。2次予選は今のところは4戦全勝。1試合消化が少ない中、2位のキルギスとの差は「5」と大きく広がっているので最終予選進出は間違いないと思うが五輪が近いので五輪世代は呼びにくい。森保監督にとってはまたしても問題が発生したことになる。
日本代表は3月26日にホームのミャンマー戦、3月31日にアウェイのモンゴル戦が予定されている。ミャンマーは2勝3敗、モンゴルは1勝4敗。F組の中でも力が落ちるチームとの対戦になるので3月末にDF長友を招集できなかったとしても大きな問題にはならないが、この先も出場機会が得られないようだと代表落ちも十分に考えられる。DF安西、DF佐々木翔、DF杉岡、DF永戸、DF松原后、DF菅大輝などが候補に挙げられるが「DF長友の代わりになるような左SB」はまだ見つかっていない。これといった選手はいない。
よほどでない限りはFC東京
欧州のマーケットは閉じられたので普通に考えるとDF長友の移籍先はJリーグのクラブになるだろう。FC東京でプレーしてイタリアに渡った選手なので「FC東京への復帰」がまず考えられるが、よほどのことがない限りはFC東京に復帰することになるだろう。今オフの移籍市場でFC東京はやや苦戦を強いられており、DFオ・ジェソクがレンタルバックとなったが、その穴を埋めることが出来る選手の獲得はなかった。DF小川諒が左SBのレギュラーになるがその他で左SBの専門家はDFバングーナガンデ・佳史扶くらいである。
ユース出身で高卒1年目のDFバングーナガンデ・佳史扶は2018年はJ3で12試合、2019年もJ3で13試合に出場している。定期的に年代別代表に招集されており、パリ世代を代表する左SBの1人になるが、経験値は乏しい。DF室屋やDF柳やDF丹羽大やDFジョアン・オマリであれば左SBでもプレーできると思うがACLが控えていることを考えるとかなり不安である。DF小川諒をフル稼働させないと戦力が大きくダウンする可能性が高い。左SBが補強ポイントだったのでクラブOBであるDF長友というのは打ってつけの存在である。
試合勘の問題を抱えているとは思うがDF長友が加入するとなるとDF小川諒は大変である。現役の日本代表のレギュラーの左SBなので「DF長友が左SBの定位置をDF小川諒から奪ってしまう可能性の方が高い」と言える。昨シーズンは開幕からDF太田宏とポジション争いをして勝利したDF小川諒にとってはまたも強力なライバルが目の前に現れることになる。今シーズンのJリーグはGKキム・スンギュ vs GK中村航、DF永戸 vs DF杉岡などのポジション争いが注目されているがDF小川諒 vs DF長友の競争も面白い。
年俸は相当に高いとは思うが「DF長友がJリーグに戻ってくる」となると、FC東京に対する注目度はアップするだろう。観客動員数も大きく伸びることが予想されるので「簡単に元は取れる」と考えられる。報道通りでガラタサライとの契約が今夏までであるならば年齢を加味すると移籍金は微々たるものだと思われる。置かれた立場を考えるとゼロになることも十分にあり得る。補強が必要だったポジションなので、DF長友の再獲得に向けてFC東京は本腰を入れて獲得に乗り出すことになるだろう。
他にあり得るクラブは…
日本人選手としては歴代で考えても最高レベルの経験値を持った選手なのでいろいろな面でチームに貢献することが出来るだろう。右SBでもプレーできるのでDF室屋にとっても大きな刺激になるだろう。現時点で「FC東京への復帰に向けて大きな障害は特にない」と言える。戦力外に近い形で日本に復帰することになる点は不本意だと思うが夏までプレーできない状況になったことを考えると受け入れるしかない。昨秋に33歳になったのでベテランの域に入りつつあるがまだ数年はJリーグで活躍することが出来るだろう。
「FC東京への移籍」に待ったをかけるとしたら他のJリーグのクラブになると思うが最もありそうなのは神戸である。同じようにACLの出場権を獲得しているがSBはDF西大伍とDF酒井高がいる。バックアッパーとしてDF藤谷壮とDF初瀬が控えていることを考えると神戸がDF長友の獲得に乗り出す可能性は低いと考えられる。ただ、常識では考えにくいことを成し遂げてきたのが神戸というクラブなので「FC東京の次にDF長友が移籍する可能性が高いクラブ」と言える。DF長友くらいの年俸でも問題なく払うことが出来る。
その次に可能性が高いのは名古屋だろう。フィッカデンティ監督はチェゼーナに在籍していたときのDF長友の恩師になる。すでにホーム戦のスタジアムはどの試合も満員に近いのでプラスαの効果は期待しにくい神戸に対して名古屋の豊田スタジアムはまだ余裕がある。年俸や移籍金も問題なく支払うことが出来ると思うが名古屋もSBは豊富である。DF宮原、DF吉田豊、DF太田宏という実力者3人がいる中でDF長友を獲得してもやり繰りで苦労するだろう。左SBはDF秋山陽もいるので「飽和状態」と言える。
年俸の問題があるのでDF長友を獲得できるクラブはJ1の中でも有力クラブに限られるが、鹿島はDF永戸とDF杉岡を獲得したのであり得ない。川崎FはDF車屋がいるが右SBに不安を抱えているのでSBは補強ポイントの1つには挙げられる。C大阪はDF丸橋がいてDF小池裕を獲得したので獲得に乗り出すことは考えにくい。地元の愛媛FCがDF長友の獲得に乗り出してゲットするようだとJ2ならびに愛媛FCは一気に盛り上がると思うが、実現の可能性はほぼゼロなのだろう。一番、面白い移籍先だと個人的には思うが…。
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