新型コロナウイルスの集団感染が確認されていた「ダイヤモンドプリンセス」の乗客で、感染が確認され、入院していた87歳の男性と84歳の女性日本人夫婦2人が20日死亡したとNHKなどが報じた。クルーズ船から死者が出るのは初めて。
新型ウイルス クルーズ船 下船し入院中の日本人乗客2人死亡 #nhk_newshttps://t.co/QRuIo2PrGY
— NHKニュース (@nhk_news) February 20, 2020
国内感染での死者3人
クルーズ船では19日時点で、乗員・乗客のうち621人の感染が確認されている。死亡した2人は、基礎疾患がありウイルスへの感染が確認されたことから、今月11日と12日に医療機関に入院し、治療を受けていた。クルーズ船から死者が出るのは初めてで、国内感染者が死亡したのは3人となった。
厚労省副大臣が自ら「墓穴」掘る
今回のクルーズ船問題を担当する厚生労働省副大臣・橋本岳氏は20日11時27分、自身の公式ツイッターでクルーズ船内の様子を画像で公開。「ちなみに、現地はこんな感じ。画像では字が読みにくいですが、左手が清潔ルート、右側が不潔ルートです」と更新した。
現在は消された橋本氏のツイート
写真には「清潔ルート」とよばれている感染していない人が通るであろうドアと、「不潔ルート」とよばれている感染者が通るであろうドアが写っている。19日にクルーズ船内の様子を「悶絶するくらい恐ろしい」と述べた動画をYouTubeにアップしていた感染症のスペシャリスト・神戸大学感染症内科教授の岩田健太郎氏によると「この手前(写真撮ってるとこ)が清潔不潔が完全にクロスするゾーンになる」として、ゾーン分けがまったくできていないことを指摘。岩田教授が懸念していた「ゾーニングの不十分さ」がひと目でわかる画像だ。こうした甘すぎる対策はもちろん、「清潔」「不潔」と記載されている点にも配慮不足を感じる。
この手前(写真撮ってるとこ)が清潔不潔が完全にクロスするゾーンになる、ということがおわかりいただけますでしょうか。 https://t.co/ICBy9nBBYx
— 岩田健太郎 (@georgebest1969) February 20, 2020
橋本氏のツイートには「正しく対策できていない」と批判の声が殺到し、13時38分時点には投稿自体が削除された。橋本氏は、厚生労働省の公式見解のPDFをテキストでツイートしていたが、その中に先ほどの写真を含む投稿を挟んでいたようだ。
また、岩田教授は、感染リスクが非常に高いことから「レッドゾーンに携帯を持って入らないことは基本」とツイート。橋本氏が携帯で写真を撮っていたことについて指摘した。
ちなみにぼくはクルーズにスマホ持っていってません。レッドゾーンに携帯持って入らないは基本だからです(非常に感染リスク高し)。なので写真がありませんでした。
— 岩田健太郎 (@georgebest1969) February 20, 2020
橋本氏は、感染管理が正しく実施されていると主張するために写真をツイートしたようだが、かえって国民の信用を失う形となってしまった。クルーズ船から感染者が続出していることを受け、海外メディアからは対応を疑問視する声もあがっていたが、それを裏付ける形となってしまったようだ。
橋本さんに助けてもらうとは夢にも思わなかった。厚労省の裏工作と根回しの構図は全く理解できない。
— 岩田健太郎 (@georgebest1969) February 20, 2020
ネットでは「新手の内部告発では?」「ひと目でわかる画像ありがとうございます」など、橋本氏の「不潔ルート」画像を皮肉るツイートが多数投稿されている。
ロイター「日本政府の対応への批判は高まっている」
NHKによると、アメリカのニューヨーク・タイムズは、日本以外の多くの国が船内で隔離期間に実効性がなかったとみなし、帰国後はさらに2週間隔離していると報じた。そのうえで、乗客を下船させたあと公共交通機関などで帰宅させた政府の対応を疑問視していた。ロイター通信は「船内でウイルスに継続的に晒されているのに、どうして検疫態勢を解除できるのか」と強く疑問を呈し、「日本政府の対応への批判は高まっている。安倍総理大臣にとって栄誉あるものになるはずだったオリンピック・イヤーは汚された」と報じた。
なお、このタイミングで、横浜のクルーズ船で事務作業をしていた厚労省と内閣官房の職員それぞれ1人が新型コロナウイルスに感染したと発表した。
【速報】厚労省と内閣官房の職員それぞれ1人が感染 横浜のクルーズ船で事務作業https://t.co/thR32iDcU8
— テレ朝news (@tv_asahi_news) February 20, 2020
Twitterの反応
見えざる圧力によって削除されたので、援護の魚拓です。
清潔・不潔ルート…。
感染症の専門家が常駐していないのがひと目で分かる写真、感謝いたします。橋本岳副大臣、勇気ある告発、ありがとうございます! pic.twitter.com/aLTSu0xFwu
— さよなき (@sayosayonagi) February 20, 2020
清潔ルートと不潔ルートが交わるコネクティングルーム…。 pic.twitter.com/Oew5YdyJhi
— 神庭亮介 (@kamba_ryosuke) February 20, 2020
先のはしもとがくの「不潔ルート」「清潔ルート」の投稿が真面目なのだったらば、日本の国会議員のレベルは、わたしたちの想定をはるかに下回るのであり、絶望のレベルは果てしなく。
— 小野山理絵 (@onoyamarie) February 20, 2020
問題意識を共有したうえでそれぞれの立場やスタンスを表明した高山さんと岩田さんの緊張感のある(そして状況を伝えるという点で大きな意義もある)やり取りが一気に弛緩し、なんなら台無しになるくらいの破壊力を清潔ルート・不潔ルートの写真は持ってましたね……。
— 津田大介 (@tsuda) February 20, 2020
これは流石にw
もともと空間を分けれる様に作ってないのでゾーンニングなんて不可能なのは分かります。
最低だが出来る事はやろうと言う心意気はかんじます。だがまだやりようはあったと思います。
そしてムカついたのは「清潔」「不潔」という分け方です。— スパークリング a.k.a イヤミ (@mabow01) February 20, 2020
絶句
— るるん (@chiharurunf) February 20, 2020
不潔ルートで、昔行った田舎の秘湯を思い出したわ。
スッポンポンで人生最長のフリーズした。左:正面から
右:浴槽から pic.twitter.com/IER8oc5daa— パツ子 (@polinango) February 20, 2020
どこをどう見ても、入った先がなんの隔離も仕切りもされてなくて笑える(笑えない)
そもそも「扉を開け放ってる」時点でアホやろ。ウイルスさんに意志があってわざわざ不潔ルートだけ通ってくれるとでも思ってんのかなw— J本 (@smsm3po) February 20, 2020
※本記事内のツイートにつきましては、Twitterのツイート埋め込み機能を利用して掲載させていただいております。
source: NHK
image by:橋本岳公式Twitter