どんな時に「税務調査」が入る?人気税理士YouTuberが特徴を暴露
by ヒロ税理士のYouTubeでは喋れないお金と税金とYouTu…
大企業から中小企業まで、どんな会社の経営者でも恐れているもの、といえばそう「税務調査」です。では、どんな会社がどんな時に調査を受けてしまうものなのでしょうか? チャンネル登録者数10万名超の税理士YouTuberで、メルマガ『ヒロ税理士のYouTubeでは喋れないお金と税金とYouTubeの話!』の著者であるヒロ税理士さんは、会社がどんな時に「税務調査」に入られやすいのか、その特徴を自身のメルマガにて大公開。人気税理士YouTuberがこっそり明かす「8つの特徴」とは?
小さな会社でもターゲットに。こんな時は税務調査に入られやすい!
会社経営をしていると非常に怖いのが税務調査です。個人事業主であれば調査に入られる確率はやや低いですが、法人となるとそういうわけにはいきません。かなり高い確率で定期的に調査が実施されると考えておいた方がよいでしょう。しかし、何も知らずにただ漠然とした不安を持つのは良くありません。読者の皆様の、税務調査に対する不安を解消すべく、税務調査対策のコツについて解説したいと思います。
税務調査には、大きく分けて『任意調査』と『強制調査』の2種類があります。『強制調査』とは、捜査令状を持った上で突然入られるような、明らかに脱税に関する何らかの証拠を掴んだ上で実施されるもの。普通はレアケースであり、読者の皆様も強制調査に関わる可能性はまずないと思います。一方、『任意調査』とは定期的に実施される税務の監査のようなものです。この2種類のうち、『任意調査』に重点を置いて、その対策等を解説します。
会社経営をして順調に黒字経営が継続出来ていれば、ほぼ間違いなく税務調査は入ると考えておいて下さい。それも3~5年おきの頻度で実施されるのが一般的です。赤字決算ならば入られないのか?というと決してそんなこともありません。では、どんな時に調査に入られやすくなるのでしょうか?絶対的なものではありませんが、下記のような事実関係があれば入られる可能性が高くなる傾向にあります。
- 会社の業績に著しい変動が生じた(特に増収減益!)
- 同業種の利益率等と比較して大きな差異がある
- 長期間、調査が行われていない(前回調査から3年以上経過)
- 重点調査業種に該当している
- 社会的に注目されている
- 投書やタレこみ、内部告発等があった
- 繰越欠損金残額がなくなった
- 前回の調査で悪質な不正が指摘された
国税当局にはKSKシステム(国税総合管理システム)という巨大なネットワークシステムが存在します。これは、全国の国税局や税務署をネットワークで結び、納税者の申告に関する全情報を一元的に管理するコンピュータシステムのことです。これにより、例えば自社の財務内容につき、同業種の法人の利益率等の統計データと比較して大きな差異がある場合等は、自社の情報が容易に抽出されてしまったり、著しい業績変動があればシステム上目立ちやすくなってしまうのです。
『増収増益』の場合は特に調査官の目に留まりやすいので要注意!なお、『増収減益』とは、『売上が増加しているのにも関わらず利益が減少している状態』を意味します。普通であれば、売上が増加すれば、それに連動して利益も増加するはずです。それが逆方向に動いて減少するというのは何らかの無理な節税や脱税行為を行っているかもしれない、と疑いをかけられるという理屈なのです。
法人税申告書とセットで提出を求められる添付書類の中に、『法人事業概況書』というものがあります。今回の持続化給付金の申請の際の必要書類として一躍有名になった書類ですが、その中に業況報告の欄があります。ここにしっかり会社の状況に関する補足説明を入れておくべきでしょう。しかしながら、おそらく9割以上の事業所がその欄には記載していないと思われます。
会社経営をしていれば、脱税行為等ではなく何らかの経営的な理由(先行投資としての設備投資や人材投資、出店等)があって本当に増収減益となることは十分にあり得ます。もしあなたが、現実的に増収減益となった場合に調査対象先として選定されないか不安であれば、その旨をその業況報告欄にしっかり記載することをお勧めします。税務当局に情報を出すこと全てがマイナスとなるわけではありません。自ら業績分析もできるしっかりした会社である、と好印象に見られることもあるのでくれぐれも躊躇する必要はありません。
また、3年以上調査に入られていないようであれば、『いつ入られてもおかしくない』と考えておいた方がよいでしょう。あとは皆様の会社の所轄税務署の規模や人数等にも左右されます。多くの業界がそうであるように、税務署も同じく人手不足の状況にあります。ここ最近は、嘱託職員採用や中途採用を始める等の動きも目立ってきました。
社会的に目立っている業種や会社も要注意!Instagram等のSNSやメディアに取り上げられる程の有名店舗や、今やTV以上に露出度・知名度共に高いYouTuber等、儲かっていそうな人達は税務当局がしっかりマークしていると考えておくべきでしょう。また、同業他社の妬みや、会社とトラブって退職した元従業員による内部情報等の密告があるケースもあります。びっくりですね!
他に、繰越欠損金(過年度の赤字)がなくなった途端に調査が入ったという事例も多いです。さらに、前回の調査において脱税行為等をして重加算税という重たいペナルティーを課せられた場合は、税務当局内部にその記録も残るので再度マークされやすいようです。
現在はコロナの影響により、予定されていた税務調査がほぼストップされています。しかし、自粛要請も解除された今、いつ税務調査が再開されてもおかしくはありません。税務調査から完全に逃れることはほぼ不可能です。上記の(1)~(8)に掲げたような兆候がある場合は、いつ調査に入られても大丈夫なように、しっかり調査対応の準備を早期にしておきましょう。(具体的な対策等の詳細は来月号以降で解説しますね!)
image by: shutterstock.com