新型コロナウイルスの感染拡大に関連した解雇や雇い止めが止まりません。厚生労働省の統計によると、すでに4万人を突破し、毎月1万人ペースで増えているといいます。職を失った場合、失業手当を受給することが大切ですが、雇用保険の失業給付と年金を同時に受けることはできるのでしょうか?メルマガ『事例と仕組みから学ぶ公的年金講座』の著者で年金アドバイザーのhirokiさんがその疑問に答えるとともに、お得な裏ワザを紹介しています。
失業手当と年金を同時に受給することはできるのか?
65歳前の老齢厚生年金(特別支給の老齢厚生年金。以下、特老厚
失業手当を貰うならば特老厚は全額停止になる。
老齢の年金は本来は退職して完全に隠居した人に対して支給される
昔(平成10年3月31日までに老齢の年金の受給権が発生した人
ところで、65歳前から老齢の年金を貰える人というのは支給開始
まあ、65歳以降も雇用保険に加入できるようにはなったので、今
なお、支給開始年齢が完全に65歳になった後も、60歳を過ぎれ
年金と失業手当は同時には貰えませんが、今回は同時に受給する場
年金と失業手当を同時に受給する場合
1.昭和34年7月14日生まれの男性(現在は61歳)
・(令和2年版)何年生まれ→何歳かを瞬時に判断する方法!
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この男性の厚生年金支給開始年齢は64歳です。64歳からの特老厚は108万円とし、65歳からは国民年金から
この男性は60歳以降も再雇用で引き続き標準報酬月額20万円の
老齢厚生年金(報酬比例部分)は64歳から貰いますが、それより
老齢厚生年金の差額加算も本来支給の65歳より60ヵ月早く貰う
ただし、差額加算の減額分300円は差額加算からは引かずに、当
よって、60歳時には繰上げ老齢厚生年金(報酬比例部分)は108万円×(100-24)%=820,800円となり、繰上げ老
60歳から(報酬比例部分820,800円ー差額加算の減額分300円)+差額加算1,000円+49万円=1,311,500円(月額109,291円)
加給年金は減額対象外であり、通常通り65歳からの加算となる。
なお、60歳以降に在職しながら老齢厚生年金(報酬比例部分820,500円+差額加算1,000円)を貰う事になるので、在職
ちなみに差額加算は本来は在職老齢年金の停止にはかからない年金
繰上げ老齢厚生年金月額は68,458円(←821,500円÷12ヵ月)で、標準報酬月額は20万円の合計268,458<
※お知らせ
令和4年度からの繰上げ請求は1か月あたり0.5%減額から0.4%減額に変更されて、減額率が小さくなります。ややペナルティが緩やかになりますね^^
さて、現在この繰上げ年金と給与を貰っていましたが、63歳の途
令和4年11月中にハローワークで求職の申し込みをすると、令和4年12月分の年金から全額停止となる。
失業手当日額は退職日前6ヶ月間の賃金総額を180で割ったもの
直近6ヶ月間が20万円×6ヵ月=120万円÷180ヵ月=6,666円
6,666円×70%(←仮に70%としています)=4,666円の失業手当日額とします。
年金月額は109,291円ですが、失業手当は4,666円×30ヵ月=139,980円なので失業手当を貰ったほうがトク。なお、自己都合退職は3ヶ月間の給付制限が付くのでその3ヶ月間
ただし、国民年金からの繰上げ老齢基礎年金49万円(月額40,833円)は失業手当を貰う事による停止はされないから、繰上げ
3ヶ月間の給付制限は令和4年12月から令和5年2月までとしま
失業手当は150日分(5ヵ月)とします。
特に何もなければ、令和5年3月から令和5年7月までの期間を貰
失業手当を貰うには、毎月定められた失業認定日にハローワークに
そうすると4月分の失業手当は受けれない。じゃあまた老齢厚生年金も失業手当も受けれないのか?
この場合は、4月分の老齢厚生年金分68,458円が3ヵ月後の7月15日に振り込まれる(4月分の失業手当を3ヶ月間貰ってい
失業手当を貰い終えた翌月(令和5年9月)から年金の停止は解除
※年金停止期間は令和4年12月から令和5年8月までの9ヶ月間
・事後精算→停止期間8ヶ月間ー失業手当150日分÷30日=3ヵ月分(直近の6月、7月、8月分)の年金停止解除。
まあ、繰上げた老齢基礎年金月額40,833円は今まで普通に支
×3ヵ月=205,374円が早ければ令和5年10月15日に9月分の通常の年金(老厚68,458円+老基40,833円)と
このように失業手当を貰うのは有難いんですが、年金が絡むとめん
老齢厚生年金と失業手当を同時に貰えるケース
では次に65歳前の老齢厚生年金と失業手当を同時に貰えてしまう
2.昭和33年3月5日生まれの女性(今は62歳)
この女性の生年月日から60歳から老齢厚生年金が貰える人。老齢厚生年金の月額は5万円とします。この度、62歳中の令和2年7月22日に退職する事になった。
令和2年8月29日にハローワークで求職の申し込みを行う。失業手当日額は120日で、日額は4,000円とします。さて、求職の申し込みをしたので、その翌月の令和2年9月分の年
ところがこの女性は失業認定日には出向かずに、令和2年10月7日に再就職を決めた。厚生年金加入ではなかったが雇用保険にも加入して1年を超えて雇
職に就いたから、もう年金の停止はしないでほしいと年金事務所に
令和2年9月分から全く年金は貰ってないから、早ければ9月分が12月に支払われると思っていた。しかし、9月分は支払われなかった。なぜなのか?
ハローワークに求職の申し込みをしてから7日間の待機期間と呼ば
給付制限期間や待機期間というのは失業手当を貰う日には入りませ
じゃあこの女性はどうなってるかというと、令和2年8月29日に
10月分は令和3年1月、11月分は令和3年2月、12月分は令
このように求職の申し込みをしてしまった以上は失業手当を貰わな
さて、令和2年10月7日に早々に就職しましたが、求職の申し込
ところが給付日数の3分の1以上を残して再就職すると、支給残日
よってこの場合は48万円×70%=336,000円の手当(再
再就職手当は早々と就職してしまうとあまり失業手当を貰えない事
失業手当で貰ってしまうと年金は停止されてしまいますが、このよ
よって、失業手当と年金を少しでも同時受給みたいな形にしたい人
再就職手当は再就職後1ヵ月以内に申請とか、再就職先で雇用保険
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