日本で「ポスト安倍」の話題が盛り上がる一方、海の向こうのアメリカでは11月の米大統領選挙の過熱ぶりがピークを迎えているようです。トランプ陣営とバイデン陣営が「非難合戦」を繰り広げる中、前回の大統領選に関する「ある重要な報告書」が公表されたことをご存知でしょうか? メルマガ「浜田かずゆきの『ぶっちゃけ話はここだけで』」の著者で国際政治経済学者の浜田和幸さんは、前回の大統領選にロシアのプーチン大統領が深く関わっていたことを示す報告書が公表され、共和党も承認したという事実を暴露。さらにロシアが介入したとする理由も記しています。
アメリカの大統領選挙を陰で操るロシアのプーチン大統領
アメリカでは11月の大統領選挙を控え、トランプ対バイデン「非難合戦」の真っ最中だ。
とはいえ、超大国アメリカの最高指導者を目指す今回の2人のやり取りは余りにも内容がない。
例えば、トランプ大統領曰く「先の民主党全国大会でバイデンが行った演説はいつもの認知症の兆候がなかった。きっと何か薬を使っていたに違いない。来るべき候補者同士の討論会の開始前には薬物検査を要求したい。自分は薬などの力を借りなくても大丈夫だ」。
対するバイデン候補曰く「自分は子供の頃から吃音だった。そのためクラスメイトや先生からも“どもりのジョー”といじめられた。そのため、吃音矯正プログラムを根気よく続けたおかげで今では大分改善した。でも、まだ時々言葉に詰まってしまう」。
トランプもトランプなら、バイデンもバイデンで、アメリカや世界の直面する課題への解決策や未来へのビジョンなどまるで関心がないようだ。
そんな折、上院の諜報委員会が3年半を費やして調査した報告書が公表された。
題して、「2016年大統領選挙におけるロシアの介入」。
940ページに及ぶ報告書の結論は「プーチン大統領の指示で、ロシアの諜報機関がトランプ陣営の選対本部長のミューラー氏らと共謀し、民主党のヒラリー・クリントン陣営にハッカー攻撃を仕掛け、激戦区での選挙人争奪戦でトランプ候補が有利になるように工作をおこなった」というもの。
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注目すべきは、この委員会の構成メンバーは共和党が過半数を占めていることだ。
今回の結論に関して、委員会の14名が賛成し、反対したのは1人のみだった。
要は、プーチン大統領がロシアのスパイを総動員してトランプ大統領の誕生に不可欠の裏工作を実行したという衝撃的な内容に他ならない。
しかも、共和党の現職上院議員が挙(こぞ)って承認したというから更に驚く。
ところが、民主党の全国大会開催2日目というタイミングで公開されたためか、または報告書の中身が膨大過ぎたためか、アメリカのメディアはまったく報道していないのである。
同報告書によれば、「トランプとその陣営の責任者は少なくとも140回に渡りロシアのスパイと接触し、クリントン陣営の選対本部から盗んだ資料に基づき、ヒラリー追い落としの作戦を構築した」という。
その背景には、トランプが不動産やカジノ・ビジネスに邁進していた頃からロシアのマフィアとのつながりが深く、プーチンとは一蓮托生の関係にあったことが指摘されている。
問題は、現在進行中の2020年の大統領選挙においても、ロシアの介入が継続していることである。
バイデン候補の息子ハンターが絡んだウクライナでの利権疑惑について、ロシアによる情報操作が続いているからだ。
ぶっちゃけ、アメリカの大統領選挙を裏で操っているのはロシアというわけだ。
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