今週の新興市場では、日経平均が29000円手前で高値もち合いとなるなか、マザーズ指数の堅調ぶりが際立った。前回の当欄での見立てどおり、循環物色の流れが新興株に向き、マザーズ売買代金は1月21日、22日と続けて昨年10月8日以来の3000億円台乗せとなった。米国市場では好決算だった動画配信のネットフリックスなどが買われ、ハイテク株中心のナスダック総合指数は連日で過去最高値を更新。米ハイテク株高が東京市場でも新興株の支援材料となった。また、翌週から決算発表を控え、主力大型株に手控えムードが出たことも新興株へ物色の矛先を向けた。なお、週間の騰落率は、日経平均が+0.4%であったのに対して、マザーズ指数は+6.1%、日経ジャスダック平均は+1.1%だった。
個別では、フリーが週間で8.4%高、ラクスが同7.9%高などとマザーズ時価総額上位は全般堅調。これまで調整を強いられていたものの、テクニカル的にリバウンド期待が高まったBASEは同32.3%高、それに上場来高値更新が続いたJTOWERは25.9%高となった。売買代金上位では12月上場組のバルミューダやプレイド、BASE同様に調整していたマクアケが大幅高。また、フルッタフルッタが週間のマザーズ上昇率トップとなった。一方、時価総額上位でもメルカリは同7.6安。米事業を巡る一部報道が嫌気された。売買代金上位ではエヌ・ピー・シーがやや売り優勢で、ロコンドなどが下落率上位に顔を出した。ジャスダック主力は、東映アニメーションが同8.1%高と引き続き堅調だったものの、ハーモニック・ドライブ・システムズは同5.0%安となるなどまちまち。売買代金上位ではウエストHDなどが買われ、ケアサービスが週間のジャスダック上昇率トップとなった。一方、ユーラシア旅行社などが下落率上位に顔を出した。
来週の新興市場では、新興株の見直しムードが続くことに期待したい。2020年10-12月期の決算発表が本格的にスタートし、主要企業の業績動向に市場全体の関心が向きやすい局面ではあるだろう。しかし、景気回復への期待などから昨年後半以降、上昇ピッチを速めた日経平均や主力大型株に対し、新興株は7-9月期業績が依然良好だったにもかかわらず調整を強いられたものが少なからずある。直近の米ハイテク株高からは、国内の新興株でも10-12月期決算が見直しのきっかけになるとの期待が膨らむ。
来週は、1月25日に東映アニメ、弁護士ドットコム、26日にマクアケ、27日に沖縄セルラー電話、28日にドリコム、Jストリーム、29日にセリア、ニッポン高度紙工業などが決算発表を予定している。好業績が続くマクアケやJストリーム、電子契約サービスが急成長中の弁護士コム、EV(電気自動車)関連として人気の高度紙など、注目企業が多く出てくる。
IPO関連では、QDレーザに続きアールプランナーが1月25日からブックビルディング(BB)期間に入る。また、今週はアピリッツ(2月25日、ジャスダック)、室町ケミカル(2月26日、ジャスダック)、coly(2月26日、マザーズ)の新規上場が発表され、2月IPOは現時点で7社となっている。