今週の新興市場では、国内外の株式市場が持ち直すとともに、マザーズ指数や日経ジャスダック平均も上昇した。米国の過剰投機問題、中国人民銀行(中央銀行)の金融引き締め観測に端を発する金融市場の動揺がひとまず落ち着き、新興市場でも投資家心理が上向いた。主要企業の決算発表が相次いでいることから、新興市場の売買は盛り上がりを欠いたが、マザーズ指数は大きく売りに押される場面もなく堅調だった。なお、週間の騰落率は、日経平均が+4.0%であったのに対して、マザーズ指数は+4.4%、日経ジャスダック平均は+1.7%だった。
個別では、マザーズ時価総額上位のフリーが週間で7.9%高、ラクスが同5.8%高、BASEが同11.9%高などと堅調。売買代金上位ではバルミューダやアンジェスが上昇し、ミンカブ・ジ・インフォノイドは決算が好感されて大きく買われた。また、決算とともに業績上方修正や増配を発表したプロパティデータバンクは週間のマザーズ上昇率トップとなった。一方、時価総額トップのメルカリは同1.4%安。第2四半期決算での流通総額の伸び鈍化などをネガティブ視する向きがあり、週末にかけて売りが出た。売買代金上位ではKaizen Platformが利益確定売りに押され、Jストリームなどが下落率上位に顔を出した。ジャスダック主力では、ハーモニック・ドライブ・システムズが景気敏感株の上昇に乗って同6.3%高。1月既存店売上が堅調だった日本マクドナルドHDは同1.6%高となった。売買代金上位ではシンバイオ製薬やテクノホライゾン、ニッポン高度紙工業が大幅に上昇。一方、ワークマンが同1.2%安となり、前の週に急騰したジオマテックは反動安となった。IPOでは、今年最初のQDレーザが公開価格のおよそ2.3倍となる初値を付けた。
来週の新興市場では、マザーズ指数は引き続きしっかりか。10-12月期決算発表が佳境を迎えるが、ここまではコロナ禍での落ち込みから持ち直しつつある企業の株価が好反応を示す一方、コロナ禍中も堅調だった企業は材料出尽くし感から売られるケースが多く見られる。こうした地合いはIT関連中心のマザーズ主力企業にとって追い風とは言えないが、一方で成長期待を大きく後退させるような決算も見受けられない。米ナスダック総合指数は直近でも最高値を更新する場面があり、日本でも新興株が循環的に買われる場面は出てきそうだ。
来週は、2月8日にJMDC、ハーモニック、ワークマン、9日にマクドナルド、10日にGMOフィナンシャルゲート、BASE、フリー、AI inside、12日にラクス、メドレー、そーせいグループ、モダリス、フェローテックHDなどが決算発表を予定している。新興市場全体としては500社超の決算発表が予定されており、バルミューダやウェルスナビなど上場後初の決算発表も多数ある。
IPO関連では、2月10日にアールプランナーがマザーズへ新規上場する。愛知県地盤の住宅会社とあって、ITベンチャーなどと比べ地味な印象との見方もある。ただ、株式需給は良好とみられ、ハウスメーカーで好業績が相次いでいることもあり、堅調な初値が期待できそうだ。