今週の新興市場では、週後半になってマザーズ指数が強い値動きを見せた。日経平均は週初に大幅上昇して29000円台に乗せたが、節目の30000円に迫ったことで個人投資家を中心に高値警戒感が台頭。マザーズ指数は昨年10月に高値1368.19pt(取引時間中)を付けてから上値が重く、出遅れ感が意識されていたうえ、フリーやJMDCなど好決算が相次いだことから、マザーズ銘柄に物色の矛先が向いたようだ。なお、週間の騰落率は、日経平均が+2.6%であったのに対して、マザーズ指数は+4.0%、日経ジャスダック平均は+1.2%だった。マザーズ指数は昨年10月21日以来の高値を付けて今週の取引を終えた。
個別では、マザーズ時価総額上位のメルカリが週間で23.9%高、フリーが同25.4%高、JMDCが同21.5%と大幅に上昇。フリーやJMDCは前述のとおり決算が好感され、前の週末に売られたメルカリも米事業の先行き期待がにわかに高まったようだ。また、2月5日上場のQDレーザが賑わい、週間の売買代金と上昇率でマザーズトップ。やはり好決算だったJIG-SAWなども大きく買われた。一方、AI insideは決算を受けて同13.5%安となり、ジーエヌアイグループは新株予約権の発行による資金調達を発表して急落。また、すららネットなどが下落率上位に顔を出した。ジャスダック主力はハーモニック・ドライブ・システムズが同3.8%高、東映アニメーションが同5.1%高、出前館が同5.7%高などと全般堅調。売買代金上位ではシンバイオ製薬が大幅高となり、クルーズなどが週間のジャスダック上昇率上位に顔を出した。一方、不二精機などは売りに押され、ブロードバンドタワーが下落率トップとなった。IPOでは、10日上場のアールプランナーが公開価格のおよそ2.3倍となる初値を付けた。
来週の新興市場では、マザーズ指数が昨年10月高値も視野に強い値動きとなることに期待したい。昨年11月以降、新興株に対し東証1部の主力株の優位が鮮明だったが、ここにきてグロース(成長)株、バリュー(割安)株とも上値追いの動きが鈍ってきた印象だ。「ここから買える銘柄」が徐々に限られてくるなか、しばらく調整を強いられていた新興株は手掛けやすさが意識されるだろう。決算発表一巡が物色のトレンド変化につながるケースも多い。
来週は、2月15日にココペリ、ヤプリ、アンジェス、ジモティーなどが決算発表を予定している。ココペリとヤプリは昨年12月の上場後、初の決算発表となる。ともに成長期待が高く、業績動向が注目されるだろう。今週末に発表された決算でも、昨年上場組のニューラルポケット、Kaizen Platformなどが好感されているようだ。
IPO関連では、2月18日にアクシージア、19日にWACULがともにマザーズへ新規上場する。化粧品等のアクシージアは公開規模がかなり大きいが、中国EC(電子商取引)市場向けの成長期待が高い。ウェブサイト改善サービスのWACULは比較的小型ということもあり、初値を飛ばしてきそうだ。なお、今週はスキルシェアのココナラ(3月19日、マザーズ)など4社の新規上場が発表されている。