3日の日経平均は反発。150.93円高の29559.10円(出来高概算12億0650万株)で取引を終えた。経済活動の正常化期待は根強く、前日の下落の反動から景気敏感株中心に押し目買いや買い戻しの動きが先行して始まった。ただ、米ハイテク関連株の下落を映して半導体関連など指数寄与度の大きい銘柄には売りが散見され上値の重荷となった。ただし、大引けにかけてはアジア株高などを背景に買いが優勢となり、こう着ながらも日経平均は一時29600円を回復する場面もみられた。
東証1部の騰落銘柄は値上がり銘柄数が1300を超え、全体の6割超を占めた。セクター別では、鉄鋼が5.57%と大きく上昇したほか、非鉄金属、空運、ゴム製品、海運が2%超の上昇など30業種が値上がりした。一方、電気機器、その他製品、サービスが小幅に下落している。指数インパクトの大きいところでは、ソフトバンクG、オリンパス、ファーストリテ、ホンダ、協和キリンが堅調。半面、東エレク、信越化、エムスリー、アドバンテ、TDKが軟調だった。
新規の手掛かり材料に乏しいなか、武田は、「米バイオ製薬メーカーモデルナの新型コロナワクチンについて厚生労働省に製造販売承認を週内にも申請する方針を固めた」と伝わったことから、コロナワクチンの普及期待が高まり、鉄鋼や非鉄といった景気敏感株にはプラスに働いたようである。
なお、直近の相場下落の主因となっている米長期金利は1.4%前後での推移が続いている。足元で長期金利の上昇は一服しているが、インフレ期待を差し引いた実質金利は高止まりしているとの指摘もあり、株価収益率(PER)の水準調整が続くことが想定されている。それ故に、米国市場ではハイテクなどの金利感応度の高い銘柄に対する売り圧力は今後も続くとみられる。
また、米国では今夜、フィラデルフィア連銀のハーカー総裁、シカゴ連銀のエバンス総裁、ダラス連銀のカプラン総裁が講演を行う予定のほか、4日には米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長がオンライン討論会に参加する。これらのイベント受けて、米金利が上昇することへの警戒感がくすぶっているだけに、積極的に売買を仕掛ける向きは少なく、目先は方向感に乏しい展開が続きそうだ。