【 取材時の為替レート: 1USドル = 約4,100カンボジアリエル = 約120円 】
※カンボジアではUSドルが広く通用しています
お盆の帰省に700ドルを工面するカンボジア男子!
皆さんチョムリアプ スーア(こんにちは)!
路地ウラ景気ウォッチャー・カンボジア担当の「げん 改め けん」でございます。
11月17日、サッカーW杯アジア2次予選で日本との対戦をひかえるカンボジア。前回の9月に行われた日本戦で敗北を喫したのをはじめ予選5試合を消化しいまだ勝ち星のないカンボジアですが、それでも多くのカンボジア人が次回の日本戦を楽しみにしています。
といいますのも、カンボジア人はサッカーが大好きな上に日本も大好き!勝敗は別として「世界で活躍する選手を抱える日本代表と、自分たちの代表が同じピッチで戦えることが嬉しい」とのことです。
そんな親日の国カンボジアの魅力をお伝えするためにこのコラムやブログを書いているわけですが、今日は僕がいつも感心して止まない「カンボジアの親孝行事情」についてご紹介したいと思います。
今回取材に応じてくれたのは日本のNGOでコーディネーターを勤めるチビットさん(29歳)。仕事ができて心優しい、僕の大好きな友達です。
プレイベンから仕事のためにプノンペンに上京し、一人暮らしをしながら家族を支えるチビットさん
そんな彼と先日話していた時のこと。カンボジアでは10月に盂蘭盆(プチュンバン)という日本のお盆と同じ意味合いの先祖の霊を祭る祝日があるのですが、彼はその時期に帰省するために、なんと700ドル(約84,000円)も用意したというのです!
700ドルといえば日本人にとってもそれなりの金額ですが、賃金が安い(月に100ドル程度の給料の人も多い)カンボジアでは、その価値は日本以上に大きなものです。これだけの大金を何のために用意したかというと、もちろん親孝行のためなんですよ。
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路地ウラウォッチャー – げん 改め けん
日本で結婚して、たった半年でカンボジアへ単身渡航。彼いわく、結婚3ヶ月で奥さんのご両親に「カンボジアに行きます」と挨拶したことが、人生で最も緊張した瞬間とのこと。男にはやらなきゃいけない時があるとはいえ、本当に今だったのか!? それを証明する為にも、行け!「げん 改め けん」! 働け!「げん 改め けん」!!
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お盆と正月、年に2回は給料以上の親孝行が当たり前!?
親孝行のために700ドルも用意したチビットさん。僕にとって「偉いなぁ」と思うこの行為も、彼に言わせるとカンボジア人にとっては普通のこと。
どれだけ給料の低い人でもお盆の時期には最低200ドル、それ以上に稼いでいる人なら最低給料1ヶ月分以上は親孝行のためにお金を準備するそうです。
しかもお盆だけでなくお正月も同様に準備をするというのだから、本当に凄いですよね!
ちなみにチビットさんの家族は4人兄弟。彼が一番の稼ぎ頭なので700ドル、それ以外の兄弟も稼ぎに応じて200ドル程度のお金を持ち寄ります。
そうして持ち寄ったお金の一部を親に渡し、残りは家族団らんの食事などにあるそうです。
熱心な仏教徒の多いカンボジアでは、お盆(プチュンバン)には家族でお寺に参ります
日本ではこうした機会にお金を集める場合は、多少稼ぎが違っても兄弟であまり差が出ないようにしますが、カンボジアでは違います。
チビットさんの家庭では、経済的な理由から兄弟全員に十分な教育をすることはできません。そんな中、自分だけが大学まで通わせてもらったので「その感謝を家族に返すのは当たり前だ」と言っていました。
帰省のついでに家族みんなで動物園へ。こちらの旅費も家族分をチビットさんが払います
僕がお盆や正月に親元を訪れた際には…親に料理でもてなしてもらうなどしてお金を使わせてしまっていることが多いので、こんな話を聞いているとちょっと胸が痛くなります。
チビットさんが「正月(カンボジアでは4月)に向けてまたお金を貯めないと」と語ってくれた笑顔、まぶしすぎます。
そしてお盆やお正月だけでなく、毎月の仕送りもしっかりしているというので本当に頭が上がりません。
さらには仕送りだけでなく「いつかお母さんに家を買ってあげたい」と続いたので、話を聞いている僕がノックアウトされそうでした。
すいません!もう勘弁してください!!
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日本とカンボジア、「親孝行」意識の違いはコレが原因かも?
カンボジアの産業は発展途上なので、仕事面ではカンボジア人に何かを教える機会が多くなります。ただそれと同じくらいカンボジア人から教えられることは公私ともに多いんです。今日ご紹介している「親孝行」に関しても、まさにそうですよね。
以下は独立行政法人 国立青少年教育振興機構が今年8月に発表した「高校生の生活と意識に関する調査報告書-日本・米国・中国・韓国の比較-」より抜粋し作成したグラフです。
出典:独立行政法人 国立青少年教育振興機構の資料より作成
計17校・1850人の男女が回答したデータによると、親が高齢になり世話が必要になったとき「どんなことをしてでも自分で世話をしたい」と答えたのはたった37.9%で、調査した4ヵ国の中で唯一過半数を下回る結果となりました。
ちなみに同質問に対して中国(87.7%)の数値が最も高く、ついで韓国(57.2%)、アメリカ(51.9%)となっています。
残念ながら同調査ではカンボジアのデータはありませんが、僕の体感として仮にカンボジアで同じ調査をすれば、きっと中国と同水準の結果が得られるのではと思います。
世界からも「優しい」と評価を受けることが多い日本人ですが、このデータを見るとそうでもないのでしょうか?
この疑問に対し、カンボジアで生活する僕の意見はちょっと違います。
まず、なんだかんだ言っても日本は豊かです。制度に色々ガタが来ているとはいえ、高齢者は年金だってもらえるし医療だって安く受けられる。こんな恵まれた国は世界でも稀です。
それに比べてカンボジアでは、いまだに家族が支え合わないと生きていけない家庭が多いのが現状です。働けない両親のために、男性なら肉体労働、女性なら身体を売って親に仕送りする人だって珍しくはありません。
そうしないと家族が路頭に迷うことになるので、親孝行の意識が変わるのは必然です。
加えて、親への感謝を感じる機会も日本より多いような気がします。
特にカンボジアの内戦後、混乱した時期に幼少期を過した子供たちにとって、親が傍にいてくれるだけでありがたみを感じたことでしょう。今回話を聞いたチビットさんも幼少期はタイの国境付近の難民キャンプで過し、過酷な環境の中で女手ひとつで育ててくれたお母さんへの感謝は決して忘れられないといいます。
もちろん日本のお父さんお母さんだって頑張ってはいるのですが、経済的に貧しい国ではそれを直に見て肌で感じる機会が増えますし、その影響が先の数字にも現れているのではないでしょうか。
Next: 日本人にも使える!家族に感謝するカンボジアスタイル
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日本人にも使える!家族に感謝する「カンボジア・スタイル」
もちろんこれまで述べた理由だけでは、同じ先進国のアメリカとの数値の差を説明することができません。そこで考えうるもうひとつ理由として、日本人特有のシャイな性格が関係しているのではないでしょうか。
僕も家族のことは好きですが、お酒でも入っていないと恥ずかしくて、普段は感謝を伝えたり家族のことを人に自慢したりはできません。
それに比べてカンボジア人と話していると、多くの人が日頃から時に笑顔で、時に誇らしげに家族のことを話すことに驚きました。「欧米か!」とちょっと古めの突っ込みを入れたくなりますが、欧米人だけでなくカンボジアでも日頃から家族へ感謝をストレートに表現しているようです。
実はカンボジア人の性格も日本人と同じくシャイなはずなんですが、こと家族への感謝表現に関しては日本人のそれとは様子が違うようですね。「日本人はシャイだから」と片付けずに、このあたりはぜひ見習いたいものです。
とはいえ長年の習慣はそんなに簡単には変えられません。そんな日本人の性格を配慮してかどうかはわかりませんが、日本には数多くの「感謝を伝える」祝日や記念日があります。今年の父の日、母の日、敬老の日は過ぎてしまいましたが、11月23日の「勤労感謝の日」が残っていますね!
1948年に制定されたこの日は「勤労を尊び、生産を祝い、国民がたがいに感謝しあう日」です。国民がたがいに感謝しあう日なんだから、家族に感謝しない手はないですよね。
もちろん感謝を伝えたからといって、自分が感謝される人になれるかどうかはわかりません。
ただ(僕にはまだ子供はいませんが)将来子供が生まれたら、家族や周囲の人にちゃんと感謝できる人に育って欲しいと思っています。
そのためにまずは自分から。カンボジア人ほどにはできないまでも、親や周囲の人に感謝を伝えられる人になりたいと思います。
路地ウラウォッチャー – げん 改め けん
日本で結婚して、たった半年でカンボジアへ単身渡航。彼いわく、結婚3ヶ月で奥さんのご両親に「カンボジアに行きます」と挨拶したことが、人生で最も緊張した瞬間とのこと。男にはやらなきゃいけない時があるとはいえ、本当に今だったのか!? それを証明する為にも、行け!「げん 改め けん」! 働け!「げん 改め けん」!!
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