先週の新興市場では、日経平均と同様にマザーズ指数、日経ジャスダック平均も大きく下落した。新型肺炎の感染拡大への懸念から日経平均が1月27日、30日と400円を超える大幅下落を記録。株式市場の不安定感が強まり、中小型株にもリスク回避目的の売りが広がった。マザーズ指数は30日の取引時間中に805.55ptと19年1月以来の安値を付け、日経ジャスダック平均は週間で17週ぶりの下落となった。なお、週間の騰落率は、日経平均が-2.6%であったのに対して、マザーズ指数は-5.3%、日経ジャスダック平均は-3.3%だった。
個別では、メルカリが週間で1.1%安となるなどマザーズ時価総額上位は全般軟調。Sansanは同8.7%安、ラクスは同11.1%安となり、これまで期待が高かったSaaS(ソフトウエア・アズ・ア・サービス)企業も値を崩した。個人投資家のセンチメントを映すバイオ関連株ではそーせいグループが同8.3%安、サンバイオが同9.6%安。売買代金上位では決算が嫌気された弁護士ドットコムが大幅安となり、トランザスなどが週間のマザーズ下落率上位に顔を出した。反面、好決算のマクアケなどは逆行高となり、ソーシャルワイヤーが上昇率トップとなった。ジャスダック主力もワークマンが同6.2%安、ハーモニック・ドライブ・システムズが同4.8%安、セリアが同4.3%安と全般軟調。売買代金上位では医学生物学研究所が決算発表による材料出尽くし感から売られ、クリエアナブキなどが週間のジャスダック下落率上位に顔を出した。反面、引き続き肺炎対策を巡る思惑から興研や重松製作所が買われ、中京医薬品は連日のストップ高となった。株式相場全体が軟調となり、これら銘柄に物色が集中したとみられる。リプロセルも一部報道を受けて賑わった。
今週の新興市場は、引き続き不安定な相場展開を強いられそうだ。1月31日の米国市場でNYダウは603ドル安と急反落。新型肺炎を巡る株価調整は一時的との見方も根強くあるが、世界的に感染拡大が続いていることから、株式市場が落ち着きを取り戻すにはなお時間を要するだろう。31日のマザーズ売買代金は600億円を下回り、押し目買い機運の乏しさを窺わせる。マザーズ指数はおよそ1年1カ月ぶりとなる800pt割れも視野に入る。
今週は、2月3日に手間いらず、アンジェス、オリコン、4日にセプテーニ・HD、ワークマン、5日にJTOWER、6日にメルカリ、メイコー、7日にミクシィ、JMDC、東洋合成工業などが決算発表を予定している。新興市場でも19年10-12月期決算発表が本格化。JTOWERやJMDCは19年12月の上場後初の決算発表となる。
IPO関連では、2月7日にコーユーレンティアがジャスダックへ、ジモティーがマザーズへそれぞれ新規上場する。1カ月以上のIPO空白期間明け、かつ今年最初のIPOであり、個人投資家の関心は高いようだ。なお、先週はカーブスHD(3月2日、東証1部または2部)、きずなHD(3月6日、マザーズ)の新規上場が発表されている。カーブスHDは国内初の「スピンオフ上場」となる。