■システムディの業績動向
3. 財務状況と経営指標
2019年10月期末の財務状況を見ると、総資産は前期末比252百万円増加の4,124百万円となった。主な増減要因を見ると、流動資産では借入金の返済により現金及び預金が19百万円減少したほか売上債権が48百万円減少した。一方、固定資産はパッケージソフトのバージョンアップ等によりソフトウェア仮勘定が223百万円増加したほか、子会社の取得及び吸収合併によりのれんが84百万円増加した。
負債合計は前期末比85百万円減少の1,585百万円となった。主な増減要因を見ると、有利子負債が170百万円減少したほか、長期ストック案件の稼働に伴い前受収益が48百万円減少した。一方で、未払法人税等が51百万円、未払費用が34百万円それぞれ増加している。また、純資産は前期末比337百万円増加の2,539百万円となった。親会社株主に帰属する当期純利益の計上382百万円、配当金の支出44百万円によるものとなっている。
経営指標を見ると、経営の安全性を示す自己資本比率が前期末の56.9%から61.6%に上昇し、逆に有利子負債比率が20.5%から11.1%に低下するなど、収益の拡大に伴って財務の健全性が大きく向上している。「Value & Volume Business」戦略によって、安定収益基盤となるストック収入の拡大に取り組んだ効果が出ているものと考えられる。同様に収益性についても営業利益率、ROA、ROEともに10%を超える水準となっており、ここ数年で高収益企業に変化してきたことが見て取れる。収益規模の拡大と安定収益基盤の構築が進んだことにより、同社では長期戦略に基づく投資計画を実行していく環境が整ったと見ており、今後は海外展開も含めた長期視点での成長戦略についても取り組む意向を示している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)