先週の新興市場では、日経平均が一時20500円台に乗せてからやや調整する一方、マザーズ指数は6週連続での上昇となった。前の週までの急ピッチの上昇をけん引してきたアンジェスが失速。メルカリも上げが一服したものの、他のバイオ・ヘルスケア関連株やIT・インターネットサービス関連株に資金が向かった。決算を手掛かりとした物色も活発で、1日のマザーズ売買代金は1000億円台後半を維持している。なお、週間の騰落率は、日経平均が-0.7%であったのに対して、マザーズ指数は+2.0%、日経ジャスダック平均は+1.2%だった。マザーズ指数の日足チャートは800pt台前半でのもみ合い形状となっている。
個別では、マザーズ時価総額上位のラクスが週間で4.3%高、弁護士ドットコムが同5.9%高と堅調。医療データ分析等のJMDCは同22.4%高となり、時価総額3位に浮上した。テーマ性のみならず、決算で業績の順調な伸びが評価された。売買代金上位ではサイバーセキュリティクラウド、Aiming、イグニスなどが大きく上昇。また、上期決算が大幅な増収増益となったメドピアなどが週間のマザーズ上昇率上位に顔を出した。一方、前述のメルカリは週を通じ5日続落し、同4.4%安となった。アンジェスは週末にかけてやや持ち直したものの、結局同6.2%安で時価総額6位に後退。また、ピクスタなどが下落率上位に顔を出した。ジャスダック主力では日本マクドナルドHDが同3.4%高、ハーモニック・ドライブ・システムズが同4.1%高と堅調。ワークマンは一部地域での緊急事態宣言の解除を受けて同16.4%高となった。また、日本ラッドなどが週間のジャスダック上昇率上位に顔を出した。一方、セリアが同3.6%安となり、テラやホロンは売りがかさんだ。
今週の新興市場では、前回の当欄での見立てどおり、中小型株の循環物色の流れが続きそうだ。新型コロナウイルスの影響で今週以降も企業の決算発表が続く。ただ、ピークだった先週から件数は大きく減るため、値幅の大きさを求める個人投資家の物色は中小型の材料株やテーマ株に一段と向かいやすくなると考えられる。米中摩擦など外部環境に不透明感はあるが、上場投資信託(ETF)買い入れなどの日銀のサポートで日経平均はまずまず底堅く推移しており、個人投資家にとって安心感につながるだろう。
前述のJMDCなどは決算を受けて一部証券会社の目標株価引き上げが観測されている。新興市場の主力銘柄もおおむね決算発表を終え、引き続き投資判断見直しの動きが出てきそうだ。好業績銘柄に改めて注目するのも一案だろう。なお、今週は5月20日にFRONTEO、22日にチエル、アドベンチャー、NITTOKU、ザインエレクトロニクスなどが決算発表を予定している。教育ICT関連のチエルは前第3四半期までを大幅な増収・黒字転換で通過しており、通期での着地が注目されそうだ。
IPO関連では、先週も新たな新規上場企業は発表されていない。直近上場銘柄ではサイバーセキュリが改めて賑わっているとはいえ、テーマ性等で選別が進んでいるようだ。