■中期経営計画とその進捗
ユニリタは、2021年3月期を最終年度とする中期経営計画を推進しており2年目が終了した。企業を取り巻くIT環境が急速に変化するなかで、顧客のビジネス成長に貢献する「戦略的なITパートナー」を目指し、以下の3つの基本方針に取り組んでいる。
(1)「システム運用」と「データ活用」の専門性を磨き、事業基盤の更なる強化。
(2)市場を活性化するビジネスIT領域のSaaS事業の拡大。
(3)最新のデジタル技術への積極的な投資と事業基盤の構築。
「メインフレーム事業」を収益源とし、「クラウド事業」「プロダクト事業」を伸ばす計画であるが、とりわけ需要が拡大している「クラウド事業」を成長分野として位置付けており、独自のクラウド基盤の提供やクラウドサービスの強化、ビジネスSaaS(LMIS、DigiSheet、infoScoop×Digital Workforce、らくらくBOSS)への新たな取り組みが戦略の目玉となっている。
ただ、これまでの成長スピードがやや想定を下回っていることや、今後の成長加速に向けたサービス開発及び採用強化など、事業基盤強化のための投資を増やしたこと、足元では新型コロナウィルス感染拡大によるマイナスの影響が懸念されることから、最終年度(2021年3月期)の数値目標を引き下げた。売上高を11,000百万円→10,200百万円(800百万円減)、営業利益を1,250百万円→900百万円(350百万円減)、親会社株主に帰属する当期純利益を920百万円→755百万円(165百万円減)にそれぞれ修正している。もっとも、市場変化を見据えた「サービスシフト」「サブスクリプションモデル」への転換により、顧客との関係強化や収益の安定化を図る方向性に大きな変更はない。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)