■業績動向
1. 2020年3月期連結業績の概要
日本動物高度医療センターの2020年3月期の連結業績は、売上高が前期比6.6%増の2,734百万円、営業利益が同8.4%増の430百万円、経常利益が同11.4%増の450百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同6.1%増の312百万円だった。
東京病院(2018年1月開業)が開業2年目となったため、伸び率は前期に比べて鈍化したが、計画(売上高2,650百万円、営業利益410百万円、経常利益410百万円、親会社株主に帰属する当期純利益300百万円)を上回る増収増益だった。
売上面では初診件数が期初想定(約4%増)を上回り、これに伴って総診療件数、手術件数も順調に増加した。売上高営業利益率は15.8%で前期比0.3ポイント上昇した。採用費などの販管費が増加したが、増収効果や売上総利益率改善(同0.9ポイント上昇)効果で吸収した。
2. 初診件数は過去最高
売上高の内訳は、同社の二次診療サービス(川崎本院、名古屋病院、東京病院の合計)が前期比約7%増収、子会社キャミックの画像診断サービスが同約4%増収、その他(事業開発)が同約29%増収だった。東京病院が首都圏東部・北部からの紹介受入強化などで大幅伸長し、全体をけん引した。
連携病院数は2019年3月末比6.3%増の3,747施設、全国の小動物診療施設軒数に対する連携病院数の割合は同1.5ポイント上昇して30.9%となった。初診件数は前期比7.4%増の6,476件、総診療件数は同6.2%増の25,307件、手術件数は同9.7%増の1,977件となった。いずれも過去最高となった。
自己資本比率は上昇
3. 財務及びキャッシュ・フローの状況
財務面で見ると、2020年3月期末の資産合計は前期末比159百万円減少の5,928百万円となった。有利子負債が同430百万円減少し、純資産が同305百万円増加した。この結果、自己資本比率は同6.0ポイント上昇して36.0%となり、財務の健全性が高まった。なお東京病院(2018年1月稼働)や大阪病院(2021年秋頃開業予定)という大型投資に伴い、有利子負債依存度は57.4%とやや高い状況だが、前期末比では5.6ポイント低下した。
キャッシュ・フロー(CF)については、2019年3月期第2四半期に消費税還付等があった反動で営業CFが前期比では減少したが、537百万円の収入となった。また2020年3月期は大型投資がなく、フリー・キャッシュ・フロー(FCF=営業CF+投資CF)は444百万円となった。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)