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新興市場見通し:デジタル化推進機運などマザーズに追い風、IPOも好調維持

今週の新興市場では、マザーズ指数の堅調推移が続き、およそ2年半ぶりに1200pt台を回復した。日経平均は米株安とともに弱含みとなったが、注目の米ハイテク株には買いが入る場面が増え、東京市場でもグロース(成長)株物色につながった。また、日経平均が23000円台を維持するなど底堅さを見せたことも、新興株の買い安心感につながったとみられる。政策期待を手掛かりにIT関連株を中心に買いが入った。なお、週間の騰落率は、日経平均が-0.7%であったのに対して、マザーズ指数は+1.9%、日経ジャスダック平均は+0.0%だった。

個別では、フリーが週間で17.2%高となり、上場来高値を更新。ラクスが同8.3%高、弁護士ドットコムが同9.8%高となるなど、その他のマザーズ時価総額上位銘柄も軒並み堅調だった。弁護士コムは元榮太一郎会長が財務大臣政務官に任命されたことに伴い退任すると発表しており、思惑買いが入ったようだ。売買代金上位ではITbookHDやオンコセラピー・サイエンスが大きく上昇。また、アクアラインが週間のマザーズ上昇率トップとなった。一方、時価総額トップのメルカリは同0.9%安と引き続き伸び悩み、アンジェスは同6.9%安と軟調。また、ポートなどが下落率上位に顔を出した。ジャスダック主力ではワークマンが同2.5%高、セリアが同2.6%高と堅調。売買代金上位ではNo.1などが買い優勢で、日本ラッドが週間のジャスダック上昇率トップとなった。一方、ハーモニック・ドライブ・システムは同4.9%安。売買代金上位ではブロードバンドタワーが利益確定売りに押され、テラなどが下落率上位に顔を出した。IPOでは、9月24日に3社、25日に2社が新規上場。このうちグラフィコが公開価格の2倍超、トヨクモとまぐまぐが4倍超という高い初値を付けた。

来週の新興市場では、マザーズ指数の一段の上昇に期待したい。米国でもファンド勢の売りに押され調整基調だったハイテク株に持ち直し期待がじわり広がってきた。このところ米ハイテク株とマザーズの連動性は低下しつつあったが、懸念材料が1つ払拭されることはマザーズにとってもポジティブだろう。欧州を中心に新型コロナウイルス感染者数が再拡大しており、景気敏感株から「ウィズコロナ」関連の新興ハイテク株への物色シフトも想定される。国内では菅政権のもと社会のデジタル化推進機運が高まり、やはりマザーズには追い風となる。

とはいえ、これまでの株価上昇によりバリュエーション面での過熱感が強い銘柄は少なくない。BASEやAI insideのように業績モメンタムが強く、高バリュエーションも正当化しやすい銘柄を選別する必要があるだろう。業況のみならず収益構造等にも目配りしたい。なお、来週は9月29日にリプロセル、30日にフィードフォースなどが決算発表を予定している。

IPO関連では、来週4社がマザーズへ新規上場する。クラウド型グループウェアのrakumoやAI(人工知能)ソリューションのヘッドウォータースなど時流に乗る事業内容の企業が多く、全般に公開規模も小さいため、初値好調が続きそうだ。また、今週はカラダノート(10月27日、マザーズ)など3社の新規上場が発表されている。

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