日経平均は4日ぶり大幅反発。669.27円高の26196.64円(出来高概算7億株)で前場の取引を終えている。
23日の米株式市場でNYダウは反発し、327ドル高となった。10月のシカゴ連銀全米活動指数が9月から上昇し、11月の製造業購買担当者景気指数(PMI)速報値も予想外に10月から改善した。英アストラゼネカなどが開発する新型コロナウイルスワクチンの良好な結果や、米国内でワクチン接種が約3週間以内に開始する見通しなどといったことも明らかとなり、景気敏感株の買いが再燃。さらにバイデン前副大統領が次期財務長官にイエレン前連邦準備理事会(FRB)議長を指名すると報じられ、引けにかけて上げ幅を拡大した。連休明けの日経平均はこうした流れを引き継いで374円高からスタートすると、朝方には26000円台を回復し、一時26212.67円(685.30円高)まで上昇。今月17日に付けていた取引時間中のバブル崩壊後高値26057.30円を上回った。
個別では、ソフトバンクG、ファーストリテ、ソニー、トヨタ自など売買代金上位は全般堅調。村田製や日本電産といったハイテク株の堅調ぶりが目立ち、東エレクは5%超上昇している。JALなどで新型コロナワクチンに期待した買いが見られるが、コロナ渦中に業績堅調だったエムスリーも高い。また、三井住友ファイナンス&リースによる株式公開買付け(TOB)が発表されたケネディクスはストップ高を付けている。一方、公募増資の実施観測が報じられたANAは2%超の下落。任天堂が小幅に下落し、KDDIなど通信株の一角もさえない。また、アサンテやクスリのアオキが東証1部下落率上位に顔を出している。
セクターでは、全33業種がプラスとなり、金属製品、証券、鉄鋼、不動産業、その他金融業などが上昇率上位だった。東証1部の値上がり銘柄は全体の87%、対して値下がり銘柄は11%となっている。
米国では景況感の改善とともに、新型コロナワクチンの実用化進展やバイデン次期政権の陣容など先行きに対する明るい材料も重なり、連休明けの日経平均は600円を超える上昇で前場を折り返した。連休中のシカゴ日経平均先物の動向から26000円近辺までの上昇は想定されたものの、一気に取引時間中のバブル崩壊後高値を更新してきたのは良好な需給状況がなせる業だろう。かねて当欄で挙げているNTTドコモ株の公開買付け(TOB)及び完全子会社化に伴う資金還流のほか、中間配当の再投資など需給面の支援材料は多いとみられている。これまでの株高が急ピッチだったため、乗り遅れていた投資家の買いも入りやすい。実際、日経レバETFの売買がまずまず活発となっており、ここまでの東証1部売買代金も1兆4000億円超と最近としては多い。
個別株ではコロナ禍で低迷していた景気敏感株が買われているだけでなく、東エレクやエムスリーは上場来高値(エムスリーは株式分割考慮)をとってきている。売り方の買い戻しや、買い持ち高を積み上げる動きが広がっていることを窺わせる。
先週末にかけて国内外での新型コロナ再拡大への警戒感と3連休前というスケジュール要因から、買い持ち高をいったん減らす動きが見られただけに、まだまだ追随買いが続く可能性はあるだろう。とはいっても、国内では新型コロナ新規感染者数がなお高水準で推移しており、政府は一部地域で観光需要喚起策「Go Toトラベル」を一時停止する方針を示した。欧米でも2021年1-3月期は経済成長率が再びマイナスに転じるとの見方が出てきており、「ワクチンラリー」が継続するかどうかは見通しづらい。
(小林大純)