■要約
児玉化学工業は1946年に創業した樹脂加工メーカーで、この分野において独創的な成形法を開発することで発展を遂げてきた。1962年に東京証券取引所第2部市場に上場。
セグメントは、主力の「自動車部品事業」「住宅設備・冷機部品事業」及び「エンターテイメント事業」の3つに分かれる。「自動車部品事業」は、各種ピラー類、ラッゲージトリムやトランクトリム、ドアトリム、スポイラー、フェンダーカバー、インストルメントパネル、フロントスポイラーやスカートなど、幅広く手掛けている。近年では、プラスチックを含浸した長繊維ガラスマット成形において、従来工法では困難とされていた均一な長繊維ガラスの分散を維持しつつ複雑な形状の賦形を可能にしたガラス繊維マットプレス新工法製品の量産化や、高品位に印刷・シボ付けされたフィルムを、加飾に不向きとされる複雑な3次元形状の基材へ均一に貼合することを可能とした三次元加飾工法による製品の量産化など、新規品の開発・拡販を進めている。一方、「住宅設備・冷機部品事業」は、洗面化粧鏡、キッチン、トイレ、バスなど、水周りに採用される樹脂製品を提供しており、とりわけ洗面化粧鏡は代表的な製品である。「エンターテイメント事業」は、ゲームパッケージなどを展開する。
売上高構成比は、「自動車部品事業」では国内よりも海外の比率が高い。また、各セグメントはタイ、ベトナムなどでも展開している。ただし、過去には海外で苦戦を強いられており、不振が続いていたインドネシアから2018年3月に撤退したほか、2020年4月には中国から撤退し、生産体制の再構築や収益構造の抜本的な見直しをするなどの事業構造改革も進めている。なお、2020年3月期には一時的に債務超過に陥ったが、これは資本増強策を実施した際の払い込みが期をまたいだためであり、既に債務超過は解消している。
2021年3月期第2四半期累計業績は、新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)の影響で売上高が5,992百万円(前年同期比32.9%減)と減収になったものの、事業構造改革の効果により営業利益が21百万円(同30.4%減)と利益を確保した。なお、2021年3月期通期の業績見通しについても、売上高が12,900百万円(前期比27.8%減)、営業利益が200百万円(同8.9%増)と営業増益の見通しである。
■Key Points
・自動車部品と住宅設備・冷機部品に強みを持つ樹脂加工メーカー
・2021年3月期第2四半期はコロナ禍の影響を受けるも営業利益を確保
・事業構造改革の成果により黒字体質が定着へ
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水野文也)