仕手株・ニチダイ<6467>に乗ってみて学んだことを書きたい。どんな人物が、どうやって仕掛けているのか。踏み上げ相場になるカラクリと合わせて解説する。(『バフェットの眼(有料版)』八木翼)
※本記事は、『バフェットの眼(有料版)』2018年3月18日号の抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会に今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。
どんな人物がどうやって仕掛ける?「踏み上げ相場」ができるワケ
まさに漫画の世界だった「仕手株」ニチダイ
さて、先日から特集しているニチダイについてである。このメルマガで3月12日に紹介した後も株価は高騰し、1週間で20%以上も上昇した。
私もご多分に漏れず、仕手側は、まだ株価を釣り上げるだろうと予測し、上昇につれて投資額を増やし、下落した先週金曜にはいったん100株を残して手閉まった。100万円余り稼いだため、この100株が仮に0円になったとしても、数十万の儲けということになる。
ニチダイ<6467> 日足(SBI証券提供)
さて、そもそも今回のニチダイは少し特殊だ。
実のところ、私も学生時代の頃から株式市場に居座っているので、株歴は十数年になるのだが、漫画の世界でしか見たことがない。そして、漫画の世界通りだったということが良く分かった。
今回のニチダイのストーリーを振り返ってみた。
ニチダイ株を大量保有する山田亨氏とは何者か?
山田氏の人物紹介はこちらのサイトに詳しく書かれている。記者が実際に会っているようで、大仏のような大男らしい。この人が、今回の仕手側の暗躍者、山田亨氏である。
Twitterアカウントは、トンピン フィナンシャルグループCEO(@Tonpin1234)である。タラちゃんの画像を加工して、割とふざけた投稿をするが、「ああ、この人本物やん」と思わせる、ぞくっとする発言もしっかりしてきます。例えば、こちらのツイート。
ニチダイ《6467》
+60円
高寄から一気に投売、狼狽組とLCを巻き込んでの下落を下で待つ。1800迄買い上がり第二波を待つもそれ程大きな投げは出ず。日中、ダラダラ売りをこなす。14時前、プラ転して週末利確玉を待った状態。各証券会社ディーラー君達へ、利幅取るの良いけど丁寧に売りなさい笑 pic.twitter.com/BCNKv29TtU— トンピン フィナンシャルグループCEO (@Tonpin1234) 2018年2月4日
という、完全に上から目線のツイート(笑)。
ニチダイ《6467》
ネガティヴなチャートの説明集めてきたよ!!
全部が売りサイン出てるよ!!
どれもこれも暴落のサインが出てるよ!俺は買うけどね!! pic.twitter.com/zNzQzRzKuf
— トンピン フィナンシャルグループCEO (@Tonpin1234) 2018年2月4日
という、超強気のツイート(笑)。
簡単に言えば、この人が株を買い漁り、価格を思うがままにしているのです。
Next: 過去にも杉村倉庫で大儲け。山田氏が作る「踏み上げ相場」のカラクリは?
過去にも杉村倉庫で大儲け
さて、皆様が興味があることだけ書きましょう。先ほどの記事によれば、山田氏は、親の代から続く相場師だった模様です。資産は数百億あり、ダイエー、丸松、福岡ダイエーホークスのM&Aなどに関わってきたお父様からの資産だそうです。
中国で投資をやっていたそうですが、そのお父さんが、病気になり帰国され、2年くらい前から日本の個別株を調査。昨年半ばから本格的な動きをしているとのこと。
直近では、杉村倉庫という東証2部の株式を市場で買い漁り、3,680円まで上昇させ、手仕舞い、1000円程度まで落としているとのこと。
外資系金融が売りで抵抗する中、「踏み上げ相場」の形成に成功し、見事に儲けを出したとのこと。さらに言うと、安く仕込んで、一般投資家の買いにぶつけるようなせせこましいことは好きじゃないとのことでした。
そういうわけで、ニチダイの株価も上がり続け、あれよあれよという間に、4,000円付近に近づいています。
さて、この「踏み上げ相場」のカラクリを他のネット記事には書いてないくらい詳しく解説してみたいと思います。
「空売り」の仕組み
踏み上げ相場を解説する前に、1つ確認しておきましょう。皆さん「空売り」ってご存知でしょうか?
恐らく知っている人が多いと思いますが、実際に空売りしたり、その内情を詳しく知っている人は、少ないと思います。「空売り」というのは簡単に言うと、人の株を借りてきて、その株を勝手に市場で売っちゃうことです。
と言っても分かりづらいので、オラオラ君と安定君で考えてみたいと思います。
オラオラ君:(▼ω▼o)
安定君:(´・ω・`)
という感じです。
(▼ω▼o):おーい、安定君、ちょっとその株貸してくんない?
(´・ω・`):えええ? 貸すなんて怖くていやだよー。
(▼ω▼o):当分売るつもりないんだろ?
(´・ω・`):そりゃそうだけど…。
(▼ω▼o):おお。じゃあ、取得価格の年2%払うから貸してよ。
(´・ω・`):お金くれるのか。じゃあ、貸してみようかな? 絶対返してくれる?
(▼ω▼o):当たり前じゃん。俺と安定君の仲じゃねーか。おっけー! ちょっと1年くらい借りるぜ。
(´・ω・`):う、うん。まあ、いいか。お金貰えるし。
(▼ω▼o):へへへ。この株はなーんか下がる気がするんだよな。借りた株勝手に売っちゃって、後で買い戻せば、その差額分儲かるぜ! もし1,000円が900円になれば、100万円で売って、90万で買い戻せるから、10万円の儲けだぜ! 1年後が楽しみだぜー!
というわけで、これが空売りです。株を借りて売る。んで、後で安く買い戻せれば、儲けが出て、高くなっちゃってたら高値で買い戻すため、損失が出ます。
東証一部などの流通量が多い市場では、空売りが個人の投資家でもできます。ちなみにビットコインなどでも先物で空売りできますね。基本的に市場があれば空売りできます。
基本的には個人が空売りできない銘柄がある
しかしですね。あまり知られてないのですが、JASDAQや東証2部では、株の流通総量が少なく、基本的に空売りできないんです!
しかしですね。外資系金融会社などは、取引額が多く、信用が高いため、証券会社で流通している個人の株を証券会社から借りることができるのです。
ちなみにこれら外資系金融様方(モルガンスタンレー、UBS、クレディスイスなどなど)は、親しみを込めて「売り豚」の愛称で呼ばれています。
今回の「ニチダイ」にしても、これまで山田氏が手掛けた「杉村倉庫」にしても、実は個人の空売りができない銘柄なんです。
ニチダイはJASDAQ、杉村倉庫は東証2部で、株を借りれません。ちなみに山田氏もちゃーんと解説してくれていますね(笑)。
貸株(空売)
非貸借銘柄で機関が何故、空売出来るかは、証券会社等が機関に貸株している。皆の現物が代用有価証券に入ってる場合それを貸出す。又、代用有価証券で無い物ですら貸出しされてる。言わばblack box。報告する気がある分だけ前週分を木曜に協会に報告される。下記97万株は空売約定した分。 pic.twitter.com/9DvuiViMPD— トンピン フィナンシャルグループCEO (@Tonpin1234) 2018年3月8日
さて、今回のニチダイの例で解説してみましょう。
Next: なぜ株価は釣り上げられた? ニチダイの例で見てみると…
なぜ株価は釣り上げられた?
さて、さっきの安定君が株を貸している証券会社、オラオラ君が外資系金融。ここでさらに登場人物を出してみましょう。山田氏の役割をやってもらうので、大仏君にしましょう。
オラオラ君(外資系金融会社):(▼ω▼o)
オラオラ君の親分:(▼、▼メ)
大仏君(仕手筋):(-ι_- 3)
実は今回のニチダイだったとしましょう。
空売り残が、約126万株ある。ニチダイの発行株式数は、約900万株で、主な浮動株は156万株程度。浮動株1/3くらい買い占めれば、まあ、相場上がるやろ(直近の報告では、山田氏は、50.96万株、5.63%保有状態です。外資系金融会社たちが買い戻す際に、山田氏が全部売ってもまだ株価上昇するレベルです)。
まあ、3,000円/株まで上がったとして、全部買うのに270億円か。資産数百億あるから余裕やな。よーし、株釣り上げて、売豚ども懲らしめよう。今1,000円/株くらいか。3,000円/株になるくらいまで買い占めるで。北斗3千裂拳!あたたたたたたたたたたたたたたたたたたたた!ほわたー!!
ニチダイ:3,000円/株!
(▼ω▼o):わわわ。やばいやばい…。株が上がりすぎだと思って売ったけど、3,000円/株に上がってるじゃねーか。100株買い戻すのに、300万円かかる。200万円の損失だ。やばいな…。こうなったら売って売って売りまくって、相場を下げるしかねー! 親分に相談だ! おやぶん、おやぶん、助けてくださいー!
(▼、▼メ):ああ?なんだなんだ?
(▼ω▼o):実は空売りで儲けようと思ってたんですが、失敗しちゃって。親分にも空売り手伝ってほしいんですよ。
(▼、▼メ):そりゃお前、俺も儲かる話なのか? ああ?
(▼ω▼o):は、はい、儲かるように頑張ります!
(▼、▼メ):じゃあ、金貸したるわー!
(▼ω▼o):あ、ああ、ありがとうございます!(あれ? けど、お金借りれても株借りれない気が。よし! お金ちらつかせて株貸してくれる人探すしか…。証券会社にも頼みに行こう!)
(-ι_- 3):なんや、なんや。まだ売る気なんか? 売り豚は八つ裂きにしたるで! 北斗4千裂拳! あたたたたたたたたたたたたたた! ほわたー!!
ニチダイ:4,000円/株!
ここが先週末(3/16)時点です。
ここからどうなるのか…
大量に買わなきゃ…。ああああああああああああああああああああああああ、株が自分が買うせいで上がっていくよー。
(-ι_- 3): ふっ。お前の買いに応じて売ってやるで。儲けさせてくれて、ありがとう!「お前はもう死んでいる」。
というわけで、株価はだいたい元の株価に戻ります。今は、売り豚様の空売り撤退待ちです。3/16の時点で空売りが増加していたので、まだまだ売りを増やし、山田氏もまだまだ株を釣り上げる可能性があります。しかし――
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※本記事は、『バフェットの眼(有料版)』2018年3月18日号の抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会に今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。
『バフェットの眼(有料版)』2018年3月18日号より抜粋
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