12日の日経平均は大幅に下落。856.43円安の18559.63円(出来高概算25億8000万株)で取引を終えた。終値での19000円割れは、2017年4月以来となる。世界保健機関(WHO)は11日、新型コロナウイルスの感染拡大は「パンデミック」だと宣言した。11日の米国市場では、NYダウが1464ドル安となる中、売り先行で始まった。
前場半ば辺り前は心理的な支持線として意識されつつあった19000円処での下げ渋りがみられたが、米トランプ大統領の演説では「英除く欧州からの入国30日間停止」が伝えられた。財政政策に対する詳細について述べられなかったこともあり、演説後は急速に下げ幅を広げる展開となり、一時18339.27円まで下落幅を拡大。その後は黒田日銀総裁と安倍首相との会談が伝えられたこともあり、後場はやや下げ幅を縮める格好だった。
東証1部の騰落銘柄は値下がり数が2100を超えており、全体の97%を超えている。セクターでは33業種全てが下げており、海運、空運、鉱業、不動産、精密機器、金属製品、鉄鋼の弱さが目立つ。指数インパクトの大きいところでは、ファーストリテ、ソフトバンクG、東エレク、ファナック、リクルートHDなど軒並み下落。日経平均構成銘柄では、唯一NTTドコモのみが上昇している。
トランプ大統領の演説を受けて、グローベックスのNYダウ先物は900ドル程度の下落で推移しており、市場はこれを織り込む流れとなったようである。株価の下落基調が続く中、個人投資家においても先物でのショートスタンスの動きも目立ってきている。急ピッチの調整が続いているが、押し目を拾うというスタンスは限られ、ショート戦略が有効な需給状況の中では、明確な底入れは見極めづらいところであろう。
明日は先物オプション特別清算指数算出(SQ)が通過し、幾分需給状況が改善される可能性があるほか、翌週に控えた米連邦公開市場委員会(FOMC)、日銀の金融政策決定会合を見極めたいとする流れから、下げ渋る展開が意識されよう。とはいえ、休日の間に新型コロナウイルスの感染者数の拡大が伝わり、再びパニックに陥る可能性もあるため、しばらくはボラティリティの大きさを手掛かりとした超短期的な先物での売買が中心になろう。