新型コロナウイルスの影響でリモートワークが推奨されるようになってから数か月。離れた場所にいる人ともスムーズに仕事が進められるZoomとSlackは、いま驚くべき成長を遂げています。では、一体どちらのサービスがより売上を伸ばしているのでしょうか?(『決算が読めるようになるノート』シバタナオキ)
※本記事は有料メルマガ『決算が読めるようになるノート』2020年7月6日号の抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。
AppGrooves / SearchMan共同創業者。東京大学大学院工学系研究科技術経営戦略学専攻 博士課程修了(工学博士)。元・楽天株式会社執行役員(当時最年少)、元・東京大学工学系研究科助教、元・スタンフォード大学客員研究員。
コロナで「リモートワーク銘柄」が急伸
1月を決算期としている会社の2020年2月-4月期の四半期決算が揃い始めました。今回は1月が決算期であるZoomとSlack、いわゆる「リモートワーク銘柄」を代表する2社の2月-4月の第1四半期の決算を比較してみたいと思います。
日本でもリモートワークが始まってから、ZoomとSlackを毎日のように利用している方もいらっしゃるのではないでしょうか?
どちらもリモートワークには欠かせないサービスだと思いますが、コロナウイルスの影響を受けて売上成長がより加速したのは一体どちらの会社なのでしょうか?
驚異的なスピードで成長するZoom
はじめに、Zoomの決算を見てみましょう。
※参考:Zoom First Quarter 2021 Earnings Webinar Earnings Presentation(2020/6/2)
各種報道などでご覧になった方も多いかもしれませんが、Zoomの四半期売上は前年同期の売上$122M(約122億円)から+169%の$328M(約328億円)と驚異的なスピードで成長しました。 最終調整利益(NonーGAAP利益)は前年同期の$8.9M(約8.9億円)から$58.3M(約58億円)と目を見張る成長となっています。
従業員が10人以上いる顧客数は前年同期比+354%で伸びています。この意味するところは、Zoomというソフトウェアが10人以上というそれなりの規模のチームで利用され始めているということです。
スライドの右側にある通り、従業員が10人以下の顧客売上も増えています。こちらは大企業だけではなくて中小企業にもセルフサーブ(顧客が自らネットを通じてサービスに申し込みをする)で売れていることを意味するので、マーケティングの効率性を考えると、こちらも良いニュースと言えるでしょう。
Next: 次に、Slackの決算を簡単に見ておきましょう。2020年2月〜4月の四半期売上――
最終損失を大幅に縮小させたSlack
次に、Slackの決算を簡単に見ておきましょう。
※参考:Slack Q1 FY2021 Report Presentation
Slackの2020年2月-4月の四半期売上は$202M(約202億円)で前年同期比+50%とこちらも非常に素晴らしい成長となっています。
最終損失(NonーGAAP損失)については、前年同期の-$28.7M(▲約28.7億円)から-$13.3M(▲約13.3億円)と大幅に縮小しています。
図の左上のグラフによるとSlackを利用する企業数は前四半期末の66万社から75万社に増えています。図の右下のグラフによると、前四半期の有料顧客の純増数は5,000社でしたが、今期の純増数は1.2万社と成長が加速している様子が読み取れます。
「Zoom」の方がコロナの恩恵が大きい
このように、ZoomもSlackも決算そのものはとても好調に見えます。今回の記事のタイトルに対しての答えとしては、以下のようになります。
Zoom:前年同期比+169%
Slack:前年同期比+50%
コロナウイルスを追い風にして、より早く成長しているのはZoomだと言えるでしょう。
また、最後に余談として「なぜSlackよりもZoomの方が成長率が高いのか?」という点を考察しています。5つの共通点と合わせて成長しているSaaS事業が成長の特徴として参考になるかと思います。
この記事は、SaaSビジネスを提供されている方、リモートワークを推奨するビジネスをされている方、ZoomやSlackのヘビーユーザーの方に役立つ内容になっています。
共通点#1: ●●率が成長
共通点#2: ●●よりも●●が加速
共通点#3: ●●が全体の売上成長よりも早く成長
共通点#4: ●●が●●%以上
共通点#5: ●●で黒字化!
余談: なぜSlackよりもZoomの方がコロナ禍で成長率が高いのか?
※これらの項目は有料メルマガ購読者限定コンテンツです →いますぐ初月無料購読!
<初月無料購読ですぐ読める!7月信済みバックナンバー>
※2020年7月中に初月無料の定期購読手続きを完了すると、以下の号がすぐに届きます。
- Q. Uberのライドシェア事業のテイクレート・利益率は?(7/8)
- Sansanの事例で解説!SaaSビジネスの質を表す「40%ルール」とは?(7/7)
- Q. コロナ禍でより大きく成長したのはZoom vs Slackのどちら?(7/6)
- パッケージ販売からSaaSへ完璧に移行!Adobeの主要2事業とは?(7/5)
- Q. メルペイの取扱高・売上・決済単価は?(7/2)
※本記事は有料メルマガ『決算が読めるようになるノート』2020年7月6日号の抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。
<こちらも必読! 月単位で購入できるバックナンバー>
※初月無料の定期購読のほか、1ヶ月単位でバックナンバーをご購入いただけます(1ヶ月分:税込1,001円)。
- Q. 2020年Q1のアメリカSaaS上場企業の上位10%の成績とは?(6/30)
- 東証一部へ市場変更したミクシィ、モンストの一本足打法から脱却する方法はある?(6/29)
- ラクスルの事業・経営がアマゾンに似ていると思った理由(6/28)
- Q. 電子契約最大手DocuSignに学ぶSaaSの売上の「質」の高め方とは?(6/25)
- Q. 世界最大の会計ソフト会社IntuitのBtoCビジネスの割合は?(6/23)
- 想像以上に絶好調!?メルペイの売上が遂に明らかに!(6/21)
- テレビ広告は減少トレンド、電通グループの最大の弱点・弁慶の泣き所は?(6/20)
- Q. 通信キャリアの決算から見えたコロナの影響とは?(6/18)
- Q. 楽天モバイルの料金発表から読み取れる「競合のPR封じ」とは?(6/16)
- サービス会社化するアップルにとって一番大事になるのは何?(6/15)
- 靴のEコマース・ロコンドの返品率は25%は高い?低い?(6/14)
- エルピクセルの元取締役が29億円を着服。横領・着服を防ぐ方法とは?(6/12)
- Q. マーケットプレイス型ECビジネスの今年初決算。取扱高の推移を比較してみた結果は?(6/11)
- Q. 米TV市場を大きく変化させたRokuの主要な3つのKPIとは?(6/9)
- クラウドサインはどこまで伸びる?弁護士ドットコムの時価総額は高すぎ?(6/7)
- インディードを買収したリクルートの海外戦略は上手くいっている?なぜ?(6/6)
- Q. コロナ禍でSquareがCashアプリの利用を増やしたグロースハックとは?(6/4)
- Q. Amazonの「売上対比の配送費」が近年、再上昇している理由とは?(6/2)
- NewsPicksとSPEEDAは絶好調。買収したQuartzの現状は?【ユーザベース社決算解説】(6/1)
- UUUMがオワコンかどうかを判定できる指標(KPI)を解説!【Youtuber卒業続出?】【決算解説】(5/31)
- 【書評】STARTUP 優れた起業家は何を考え、どう行動したか(5/29)
- カカクコム・食べログの次に大きくなるかもしれない新サービスとは?(5/28)
- Q. ECサービス11個のテイクレートをビジネスモデル別に比較してみた結果は?(5/27)
- 赤字転落の楽天決算、楽天モバイルの携帯事業は順調?(5/26)
- Q.日本のネット広告事業、コロナによる業績影響はどの程度?いつまで続く?(5/25)
- ソフトバンクグループ決算:史上最大1兆円の赤字転落へ。世界恐慌・ビジョンファンド恐慌になりえる?(5/24)
- Q. Shopify出店店舗から学ぶ、コロナ時代の商売の4つのトレンド(5/22)
- Q. コロナウイルスによってオンライン広告業界は売上が何%減る?(5/20)
- Q. コロナ時代のマッチングアプリ利用方法、3つの変化とは?(5/18)
- マイクロソフトTeamsはSlackとの戦いを制覇した?(5/17)
- 楽天の新規参入にも関わらずドコモが値上げをできる唯一のタイミングとは?(5/16)
- Q. コロナ自粛でまだまだ伸びる動画コンテンツ。知っておくべきこと3つとは?(5/14)
- Q. Facebookの4月以降の広告売上の予測は?(5/12)
- Amazon子会社Whole Foodsの決算が好調だった理由は?(5/10)
- Facebookがコロナショックの最中に1万人も採用する理由(5/8)
- Q. 国内・海外のSaaS企業8社のARPUを業種ごとに比較してみた結果は?(5/7)
- Q. コロナ後初のNetflix決算で覚えておくべきこと3つとは?(5/5)
- YouTubeの広告売上は前年比でどのくらい伸びた?コロナの影響は?(5/3)
- 会員数が急増したNetflix、売上に大きなインパクトがなかったのはナゼ?(5/2)
- コロナショックの旅行業界への影響が明らかに。Airbnbの売上は何%ダウンしているでしょうか?(5/1)
- アシスタントから見たシバタさんの3つのリモートハック(4/30)
- コロナウイルスがAmazonの各事業に与える影響は?(4/29)
- リモートワーク成功のコツ【マネージャー編】(4/28)
- ディズニーランドが閉鎖されてもディズニーは大丈夫?(4/27)
- リモートワークが当たり前になると正社員は不要になる?(4/26)
- コロナウイルスで伸びる業界・落ち込む業界(4/24)
- コロナ自粛の最中だからこそ読みたい書籍オススメ5選(4/22)
- Q. なぜ、スマレジは縮小市場で2倍も成長出来たのか?(4/20)
- リモートワーク成功のコツ【初級者編】(4/16)
- 【リモートワーク用】自宅オフィスにおすすめする5つのアイテム(4/14)
- Q. LINEグループから300億円の出資を受けた出前館。米中の同業比較から見える今後の伸び代は?(4/9)
- Q. リーマンショックの際、株価の回復にかかった日数は?(4/7)
- Q. 携帯キャリア4社の5Gビジネスの戦略とは?(4/2)
- Q. ビデオ会議Zoomの伸びが止まらない3つの理由(3/26)
- Q. コロナウイルス対策で大活躍!中国のオンライン教育の成功要因とは?(3/24)
- コロナウイルスの「自粛」はいつまで続くの?(3/19)
- コロナウイルス拡散を食い止めるために一番有効な打ち手とは?(3/17)
- Twitter、Facebook、Snapchat、LINEの中で最も営業・マーケティング費用率が大きいのは?(3/12)
- メディアビジネス(広告・課金)の決算の読み方~New York Timesを例に(3/10)
- SaaSビジネスの決算の読み方?Slackを例に(3/5)
- Q. 新型ウイルス対策で活躍中のオンライン診療、日本で普及するための3つの壁とは?(3/3)
- Q. 売上100倍の時価総額!AI Inside上場後のAIビジネスの勝因とは?(2/27)
- Q. BASEのショップあたりの取扱高はShopifyの何倍か?(2/25)
- 手数料無料化発表のSBI証券、野村證券・ロビンフッドとの比較から見える次の収益源は?(2/20)
- ECビジネスの決算の読み方?Shopifyを例に(2/18)
- Q. SaaS企業のIPO時点での累計調達額と売上の比率は?(2/14)
- Q. これから音声コンテンツに注目すべき3つの理由とは?(2/12)
- Q. セブンイレブンで最も利用されているキャッシュレス決済手段は?(2/10)
- Q. Netflixが広告モデルを採Netflix用しない3つの理由(2/7)
- あらゆる「交渉」で絶対に負けないたった1つのコツ(2/5)
- 【保存版】マーケットプレイス型ビジネスのテイクレート一覧(2/3)
- Q. 上場発表のマットレスD2C Casperに学ぶD2Cビジネスの5つのポイントとは?(1/30)
- Q. ゲーム実況中継で最も伸びているサービスは?(1/28)
- Q. ラクスルのTV CMサービスが伸びる3つの理由とは?(1/23)
- Q. Googleの小売戦略はAmazon Goと何が違うのか?(1/21)
- ブラック企業とスタートアップを見分けるためのたった2つの質問(1/16)
- 2020年の景気を勝手に予想してみた。(1/14)
- Q.Alibabaの香港上場から見る、3つの狙いと次の主戦場は?(1/9)
- 2019年に使いはじめて「これがない世界に後戻りできない」と思えたサービス3選(1/7)
- 【2019年】買ってよかったものトップ5を紹介します(1/3)
- 2019年に「決算が読めるようになるノート」が進化したお話【メンバーを絶賛採用中!】(1/2)
- 【2019年】シバタの株式投資実績を一挙大公開(1/1)
- Q. 新規IPOのスペースマーケットや会議室レンタルTKPのテイククレートは?(12/31)
- Q. 上場したばかりのランサーズとクラウドワークスの1クライアントあたりの年間発注単価の差はどのくらい?(12/26)
- 「スタートアップ投資減税」が素晴らしいと思った件(12/24)
- Q. mixiと中国bilibiliに見る、SNS・ゲームの次の巨大ビジネスとは?(12/19)
- 【要登録】YouTubeチャンネル始めました(12/17)
- Q. Airbnbに関して知っておくべき7つのKPIとは?(12/12)
- YouTuberマネジメントのUUUMが急成長する理由と脱プラットフォーム戦略(12/10)
- Q. 先日上場したChatwork、課金ユーザーあたりの売上はSlackの何分の一?(12/5)
『決算が読めるようになるノート』 2020年7月6日号『Q. コロナ禍でより大きく成長したのはZoom vs Slackのどちら?』より抜粋
※タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による
初月無料お試し購読OK!有料メルマガ好評配信中
決算が読めるようになるノート
[1,001円(税込) 週2回程度]
アメリカ・日本のネット企業(上場企業)を中心に、決算情報から読みとれることを書きます。経営者の方はもちろん、出世したいサラリーマンの方、就職活動・転職活動中の方にも役立つ内容です。