サラリーマンは自分で税金の計算をしなくてよい代わりに、大きな代償を払わされているのをご存じでしょうか。「自分自身で税金を決められない」ということです。(俣野成敏の『サラリーマンを「副業」にしよう』実践編)
※有料メルマガ『俣野成敏の『サラリーマンを「副業」にしよう』実践編』2020年11月20日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会に初月すべて無料のお試し購読をどうぞ。
プロフィール:俣野成敏(またのなるとし)
ビジネス書著者、投資家、ビジネスオーナー。30歳の時にリストラに遭遇。同時に公募された社内ベンチャー制度で一念発起。年商14億円の企業に育てる。33歳で東証一部上場グループ約130社の中で現役最年少の役員に抜擢、さらには40歳で本社召還、史上最年少の上級顧問に就任。独立後は、フランチャイズ2業態6店舗のビジネスオーナーや投資家としても活動。投資にはマネーリテラシーの向上が不可欠と感じ、その啓蒙活動にも尽力している。自著『プロフェッショナルサラリーマン』が12万部シリーズ、共著『一流の人はなぜそこまで、◯◯にこだわるのか?』が13万部のシリーズに。近著では『トップ1%の人だけが知っている』(日本経済新聞出版社)のシリーズが12万部となる。自著と共著を交えた異なる3分野でベストセラーシリーズを放ち、著作累計は48万部に。ビジネス誌の掲載実績多数。『MONEY VOICE』『リクナビNEXTジャーナル』等のオンラインメディアにも多数寄稿。『まぐまぐ大賞(MONEY VOICE賞)』を4年連続で受賞している。2020年より、サラリーマン以外の本業をつくるための副業オンラインアカデミー『The Second Phase(TSP)』を創設。数多くのサラリーマンが集っている。
サラリーマンの関心事「副業と税金」
今回は「サラリーマンが気になる副業と税金の話」をお送りします。当メルマガのメインテーマである副業は、収入を増やすための活動の1つです。けれども、副業でお金を稼げるようになると、気になるのが税金です。
今回も特別ゲストをお呼びしています。株式会社Witherspoon Consultingの代表取締役を務めている中川アスカさんです。中川さんは、サラリーマン時代に消費税が上がったことをキッカケに、お金に興味を持つようになりました。それがご縁となり、現在では帳簿作成など、会計業務を代行する会社を経営しておられます。本特集では、中川さんのお話をもとに、多くのサラリーマンの関心事である「副業と税金」について、考えてみたいと思います。
プロフィール:中川アスカ(なかがわ あすか)
大学卒業後、老舗化学メーカーに入社。工業用潤滑剤の研究員として、開発業務に約9年間従事する。会社員時代に独立系FPと出会い、自身が抱えていたお金の悩みを解決できたことをキッカケに、金融の世界に強い興味を抱く。サラリーマンの傍ら、副業として金融教育や資産形成の必要性を伝える活動を始め、女性向け金融セミナー「月収20万円でもできるオトナ女子の戦略」や、お金の勉強ができる婚活パーティー「マネ婚」など、次々と親しみやすいイベントを開催。
独立後は、身近な「お金」のサポートができるよう、会計・記帳代行サービスや保険業務などをメイン事業として活動。株式会社Witherspoon Consultingの代表取締役に就任する。また独立事業支援として「これまでお金の勉強をしたことがなく、お金というワードに恐怖感を持っている」人でもお金と向き合えるよう、ハイブリッドクワドラント育成のためのビジネススクールを運営。「お金」と「ビジネス」両方の側面から、会社員や個人事業主のサポートを行っている。
※本記事は、中川さんへの取材をもとに、筆者(俣野)が適宜内容を補って執筆しています。
サラリーマンは、自分で税金の計算ができない代償を支払わされている
サラリーマンの方は、源泉徴収と年末調整があるおかげで、自分で税金を計算したり、納税したりする必要がありません。これって、楽で便利に感じられますよね?
しかし、その代わりに結構、大きな代償を払わされているのをご存じでしょうか。その代償とは、「自分自身で税金を決められない」ということ。
サラリーマンは、会社によって100%収入を把握されているため、徴収される税金の金額も一目瞭然です。おまけに源泉徴収の仕組みによって、本人の意思とはまったく関係なしに、一方的に税金を徴収されています。
これは国からしてみれば「確実に税金を徴収できる」という、非常に都合のいい仕組みです。取材した中川さんに言わせると、「会社とは“税金徴収マシーン”なのではないか?」と思うくらいなのだとか。
「だったら、サラリーマン以外の人は税金を自分で決められるの?」というと、大方その通りだとも言えます。
Next: 3月に税務署の前に行列ができるのは「良いことがあるから」
サラリーマン以外は税金を自分で決められる
たとえば自営業の人は、税金をある程度、自分で決めることができます。なぜかというと、彼らは経費を自分で決められるからです(それが通るかどうかは別ですが)。
経費というのは、事業をしていくうえで必要な出費のことです。原材料費はもちろんのこと、機械設備や事務所、店舗などの家賃、通信費、交通費、人件費等々、商売のために使っているお金は、すべて経費になります。
自営業者の税金は、売上から経費を引いた残額にかかるため、たとえ売上が多くても、経費がかかっていれば、税金はその分だけ安くなります。
しかしサラリーマンの場合は、経費はあらかじめ決められてしまっています。それが給与所得控除です。
だから事実上、サラリーマンは自分では税金をコントロールすることができないのです。
実際は、サラリーマンも給与所得控除以外に、自分で申告することで、経費として付けることが可能な項目があります。それが「特定支出控除」です。しかし、これを使うためには、会社から費用の1つ1つに対して証明をもらわなくてはいけません。他にもいろいろな条件があるため、実際にこの制度を使っている人は、少数にとどまっているのが実情です。
※参考:給与所得者の特定支出控除 – 国税庁
3月に税務署の前に行列ができるのは「良いことがあるから」
それでは一体、どうしたらサラリーマンという立場を活かしながら、今ある“枠の中”から抜け出せるのでしょうか?
方法の1つとしては、「給与以外の所得をつくること」です。会社が把握できない給与以外の所得を増やして、自分で確定申告をすること。要は、副業をすることです。
副業によって事業所得を得て、給与所得と損益通算をする。これが、サラリーマンが持つ最大の武器なのです。
サラリーマンが副業を始めて、それが事業と認められれば、事業で発生した損失を、給与所得を含めた総所得金額から控除することが認められます。これが損益通算です。ただし、このメリットを活かすためには、自分で確定申告(税金の申告)をすることが必須となります。
これを聞いて、「副業をすると自分で税金を計算するの!?」と慌てた人もいるかもしれません。でも現在は、個人事業主向けに格安で税務処理を請け負ってくれるところもたくさんありますから、ご心配なく(取材した中川さんの会社も、そのうちの1社です)。
3月15日になると、毎年、税務署の前に大行列ができていますよね?あれは、確定申告をするための行列です。
通常、人が行列に並ぶのは、流行りのラーメン屋さんとか、ディズニーランドのアトラクションとか、自分にとって良いことがあるからです。当然、税務署の前に行列ができるのだって、良いことがあるからに決まっています。
そう、多くの人は税還付を受けるために並んでいるのです。
Next: サラリーマンの武器は副業収入との損益通算
サラリーマンの武器は副業収入との損益通算
たとえば年収400万円のサラリーマン・Aさんが、副業を始めたとしましょう。Aさんの初年度の事業収入は20万円で、合計420万円になりました。ところが、初年度は初期コストとして、経費が200万円かかりました。この場合、Aさんは確定申告をすることで、
給与年収400万円 + 事業収入20万円 − 事業経費200万円 = 220万円
となり、税金も220万円に対してかかります。
さらに、普段使っている家賃や水道光熱費、携帯電話なども、事業で使っていることが事実と証明できるのであれば、経費計上が可能になります。正確な数字は、家族構成や控除額等によっても変わりますが、確定申告をすることによって、十万円単位で税金が還ってくることになります。これが、損益通算の威力なのです。
こういうと「じゃあ開業届けを出して、家賃や携帯代とかを経費にしよう」と考える人が多いのですが、必要なのは「実際に事業を行っているかどうか?」です。また前提条件として、税務署に事業をしていると認められる必要があります。
逆に言うと、キチンと届出を行い、事業を行っている実態があれば、経費として認められる可能性は十分にあります。これが、当メルマガが副業をオススメしている理由の1つです。
損益通算は節税のための制度ではない
今、世の中でホットなキーワードの1つが副業です。しかしそのわりには、安易な副業が多過ぎる気がします。
そうでなくても、世の中には「楽で」「簡単に」という話がゴロゴロしています。しかしそのような話に乗っても、大半は「こんなはずじゃなかった」となるのがオチではないでしょうか。
たとえばこんな事例があります。
以前、中川さんのところに保険会社の営業マンが相談にきたことがあるそうです。その営業マンは、主に副業ネットワーカーを相手に保険営業をしている人でした。通常、副業で会社を掛け持ちしている場合、一定の要件を満たすと収入が合算され、その分だけ社会保険料も高くなります。
そこで営業マンは「副業を法人化させたらどうだろう?」と思いつきます。顧客に、副業の売上を法人につけさせて社会保険料を下げ、生まれた差額で生命保険に入ってもらおう、という魂胆でした。
それで「中川さんのところで税金手続きの代行を受けてほしい」と相談にきたわけですが、中川さんは「意味もわからず顧客たちを法人化させることは、オススメしない」と返答したそうです。
確かに顧客からしてみれば、社会保険料が下がって生命保険にも加入できるのであれば、一見、良さそうな話に感じるでしょう。
しかし、そもそも営業マン自身が従業員・個人事業主・法人の違いもよくわかっていないのに、顧客の事業を法人化させてしまったら、後が大変です。失敗した場合、法人を閉じるのにも20万円前後かかります。
やはり安易な話は、注意するに越したことはないでしょう。
損益通算には、もともと「事業のスタートアップを応援する」意味合いがあります。事業を立ち上げたばかりの頃は、事業者も不慣れな上に、初期コストなどもかかります。生まれたばかりの事業の芽を摘んでしまわないよう、用意されているのが税金の一時的な軽減措置なのです。
誰だって「得をしたい」という気持ちはあります。しかし、副業を志している方は、目先の得をすることが本来の目的ではないはずです。「副業を始めることで、一過性だけではない、将来に渡って安定した収入を得られるようになりたい」、そう思っているはずです。
ならば、私たちはもっと長期的な視点に立って行動しなくてはなりません。
Next: サラリーマンが副業するなら「個人事業主」の一択
サラリーマンが副業するなら「個人事業主」の一択
以前からお伝えしているように、当メルマガでオススメしている副業は、個人事業主の一択です。実のところ、副業を立ち上げて個人事業主となり、事業所得と給与所得を通算することは、単なる通過点に過ぎません。
真の目的は、サラリーマンで当面の糧を得ながら、副業を通じて独立起業できるだけの実力をつけることにあります(もちろん、戦略的に独立しない道もあります)。
・サラリーマンが副業を立ち上げてから独立するまでの3段階
・副業を軌道に乗せるには、損得以外の「別の尺度」も持つこと
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『俣野成敏の『サラリーマンを「副業」にしよう』実践編』(2020年11月20日号)より一部抜粋
※タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による
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