現代への教訓
さて、「日英同盟破棄」から私たちは何を学ぶべきでしょうか?
「集団的自衛権行使容認」について、反対している人がたくさんいます。その一番の理由は、「アメリカの戦争に巻き込まれて日本人が死ぬから」です。
わかります。
しかし、同盟国アメリカの立場から見てみましょう。日本は、「有事の際、アメリカは日本を守らなければならない」と当然のごとく考えています。
つまり、
「日本人がアメリカのために一人死ぬのは絶対ダメだが、アメリカ人が日本のために何千人死のうが、それは『当然だ』」と。
もちろんそんな風には考えていないでしょうが、アメリカから見るとそうなります。
日英同盟のときもそうでした。
「イギリスが日本を助けるのは当然だが、日本はイギリスを助けたくない」
これは「エゴ」であり、「不誠実」です。
日本は「武士道」の国なのではないですか? 日本は「道義国家」なのではないですか?
「おまえ(アメリカ)が俺(日本)のために死ぬのは当然だ。だが、俺(日本)は、おまえ(アメリカ)のために、決して死なない。なぜなら、俺(日本)は『平和主義者』だからだ」
こういう論理は、果たして「尊い」のでしょうか?
アメリカから見ると、ただの「狡猾さ」にしか思えないでしょう。
ちなみにアメリカから、「日米同盟はおかしい」という声があがっています。
大統領選で人気ナンバー1のドナルド・トランプが、
「日本が攻撃されたとき、アメリカは日本を守る。アメリカが攻撃されたとき、日本は何もしない。これはおかしくないか?」
と叫ぶ。
すると会場にいるアメリカ人はみな、「イエ~~~ス!!!」 と大声で叫んでいます。国家は、皆「自分の利益」(国益)を追求しています。それは、私たち自身、あるいは会社も同じ。
しかし、会社が利益をあげるために不誠実な行為をしたらどうでしょうか? 短期的には、利益を増大させることができるでしょう。長期的にはお客さんの信用を失い、失墜していきます。国も同じですね。どの国も、自分の国の利益を第1に考えています。
しかし、あからさまに不誠実な行動をすれば、それはブーメランのように自国に戻ってきます。日本は第1次大戦時、ほとんど無傷ですみ、好景気で大いに儲けました。
しかし、長期的には、自分の不誠実な行動でイギリスを敵にしてしまった。
今、日本はアメリカの同盟国です。
自国の利益ばかり最優先で考えていれば、アメリカは日本に失望し、「中国と組んで日本を叩きつぶそう」となることでしょう。
ちなみに今回は、平間洋一先生の
●「日英同盟 ~ 同盟の選択と国家の盛衰」(詳細はコチラ )
を参考にさせていただきました。30年海上自衛隊で勤務された平間先生の本は、濃いです。絶対お勧めです。
image by: Wikimedia Commons
『ロシア政治経済ジャーナル』
著者/北野幸伯
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