「不誠実」で失敗の過去に学ばなければ、日本は必ず潰される

2015.11.28
by まぐまぐ編集部
 

現代への教訓

さて、「日英同盟破棄」から私たちは何を学ぶべきでしょうか?

集団的自衛権行使容認」について、反対している人がたくさんいます。その一番の理由は、「アメリカの戦争に巻き込まれて日本人が死ぬから」です。

わかります。

しかし、同盟国アメリカの立場から見てみましょう。日本は、「有事の際、アメリカは日本を守らなければならない」と当然のごとく考えています。

つまり、

日本人がアメリカのために一人死ぬのは絶対ダメだが、アメリカ人が日本のために何千人死のうが、それは『当然だ』」と。

もちろんそんな風には考えていないでしょうが、アメリカから見るとそうなります。

日英同盟のときもそうでした。

「イギリスが日本を助けるのは当然だが、日本はイギリスを助けたくない」

これは「エゴ」であり、「不誠実」です。

日本は「武士道」の国なのではないですか? 日本は「道義国家」なのではないですか?

「おまえ(アメリカ)が俺(日本)のために死ぬのは当然だ。だが、俺(日本)は、おまえ(アメリカ)のために、決して死なない。なぜなら、俺(日本)は『平和主義者』だからだ」

こういう論理は、果たして「尊い」のでしょうか?

アメリカから見ると、ただの「狡猾さ」にしか思えないでしょう。

ちなみにアメリカから、「日米同盟はおかしい」という声があがっています。

大統領選で人気ナンバー1のドナルド・トランプが、

「日本が攻撃されたとき、アメリカは日本を守る。アメリカが攻撃されたとき、日本は何もしない。これはおかしくないか?」

と叫ぶ。

すると会場にいるアメリカ人はみな、「イエ~~~ス!!!」 と大声で叫んでいます。国家は、皆「自分の利益」(国益)を追求しています。それは、私たち自身、あるいは会社も同じ。

しかし、会社が利益をあげるために不誠実な行為をしたらどうでしょうか? 短期的には、利益を増大させることができるでしょう。長期的にはお客さんの信用を失い、失墜していきます。国も同じですね。どの国も、自分の国の利益を第1に考えています。

しかし、あからさまに不誠実な行動をすれば、それはブーメランのように自国に戻ってきます。日本は第1次大戦時、ほとんど無傷ですみ、好景気で大いに儲けました。

しかし、長期的には、自分の不誠実な行動でイギリスを敵にしてしまった。

今、日本はアメリカの同盟国です。

自国の利益ばかり最優先で考えていれば、アメリカ日本に失望し、「中国と組んで日本を叩きつぶそう」となることでしょう。

ちなみに今回は、平間洋一先生の

●「日英同盟 ~ 同盟の選択と国家の盛衰」(詳細はコチラ )

を参考にさせていただきました。30年海上自衛隊で勤務された平間先生の本は、濃いです。絶対お勧めです。

image by: Wikimedia Commons

 

ロシア政治経済ジャーナル
著者/北野幸伯
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