【裁判傍聴】池袋危険ドラッグ暴走事故、検察官のムチャクチャな論法

 

約17分間の論告を聞いて、俺は傍聴ノートに「検察官、論法ムチャクチャ」と書いた。

いや、俺は国民の──てか傍聴マニアの──常識的にそのように思っただけ。裁判には裁判の常識ってもんがあるんだろう。

検察官 「最後に求刑ですが…被告人を懲役10年に処するを相当と思料します」

危険運転10年はでかい!

13時51分、弁護人(ひょろり背が高く、優しそうな、60代かな)が最終弁論

弁護人 「当時の呼び名、脱法ハーブ…運転開始後に少量を使用…」

ハーブ店で、お勧めは何かと問い、一番人気と言われた商品を初めて買い、一番人気のお勧め商品がトンでもない代物とは露も思わず──普通思わないよねぇ──運転中に味見してみたんだという。

弁護人 「頭がぼーっとしてマズイなマズイなと思い、兆候を感知するや、急いでブレーキを踏み、横断歩道の手前で停止した…直後、意識を失っており…」

金子教授によれば、意識はありながら体が硬直してしまった、ということなんだそうだが…。

弁護人 「当時は脱法ハーブ…都内に多数ある店で普通に販売されていた…お勧め商品…まさか…ほんの味見…そうは言っても…意識を取り戻し…(自分が何をしでかしたか)初めて知って、驚愕するとともに死にたい気持ちに…」

被告人が社会に戻ったら、父親が引き取り、家業である農業を継がせるんだそうだ。

弁護人 「(前科は)平成10年(1998年)2月、判決…執行猶予の前科、それは18年近く前の…。科料、罰金、10年以上前…」

ネットのまとめサイトには、2003年に「闇金」で逮捕され服役したかにあるが、それはデマ。罰金か科料、または不起訴か不立件で終わったんじゃないかな。

論告と最終弁論と両方を聞いて、俺は思った。

なんかヤバイと思って一旦停止、その後、全く予期せぬ薬理効果によって体が意に反する運動をし、車を暴走させた…。

それを否定して危険性の認識があったとするのは、ムリでしょ。無罪でしょ。客観的にはそう思えた。

だがっ! これだけ大きく全国報道され、「危険ドラッグ」という呼称を生みまでした大事件なのである。無罪にしたら──ネットがお祭り騒ぎになるのは捨象するとしても──社会秩序に悪影響を及ぼし、司法国家の威信が失墜する…。

俺は有罪に全財産を賭けるね。借金しても賭ける。ただ、量刑はだいぶ下げるかも。

※賭けのことは喩えで言ったんであって俺は違法賭博はしません~。

判決は1月15日(金)10時からと決め、14時13分閉廷。

裁判長 「ま、30分くらい予定すればいいかと思いますが」

よしっ、今号はここで終わる。もう1件ご報告したいのがあるけど、我慢するっ。いつも長くてごめんね。

image by: Shutterstock

 

今井亮一の裁判傍聴バカ一代』より一部抜粋

著者/今井亮一
交通違反専門のジャーナリストとして雑誌、書籍、新聞、ラジオ、テレビ等にコメント&執筆。ほぼ毎日裁判所へ通い、空いた時間に警察庁、警視庁、東京地検などで行政文書の開示請求。週に4回届く詳細な裁判傍聴記は、「もしも」の時に役立つこと請け合いです。しかも月額108円!
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