市民運動家らが「監視」と勘違いする、マイナンバー制度「真の狙い」

 

幽霊資産を一網打尽にする

では何のためマイナンバーを導入するのでしょうか?

簡単に言えば「幽霊資産の解明」です。

国税は、特定の人の収入や資産を丸裸にすることはできます。それは、あくまでも、その人物が誰であるのかがわかってからの話です。

「この人物が怪しい、だからこの人物を徹底的に調べよう」

そういうことは今でもすぐにできるのです。

しかし、脱税というのは、そもそも誰がやっているかわからないものです。まったく身元の知れない人物が、巨額の脱税をしているケースも多々あります。だから、疑いのある人物だけを調査しても、すべての脱税を把握することはできません。

ではどうすればいいのでしょうか?

トータル的に国民全部の資産を把握し、誰のものかを紐づけしていけば、誰のものでもない幽霊資産が見えてきます。

幽霊資産というのは、仮名口座や借名口座などを使って蓄えられた資産のことです。

この幽霊資産には、暴力団関係の資金やオレオレ詐欺などで獲得した犯罪金なども含まれます。

この幽霊資産は、実はけっこう巨額なのです。

各金融機関には、実際の所有が誰のものか判然としない金融資産が、かなり存在すると見られています。もちろん、調査や統計などはされてこなかったので、実額がどのくらいなのかはわかりません。

そしてこの幽霊資産こそ、脱税の温床となっているのです。

この幽霊資産を一網打尽に把握し、しらみつぶしに「事実上、誰が所有しているのか?」ということを調べていけば、脱税摘発は劇的に進むはずなのです。

つまりは、これまで明るみに出てこなかった「汚れた金」を、すべてつまびやかにするというのが、マイナンバー制度の最大の目的だと言えるのです。

image by: Shutterstock

 

大村大次郎の本音で役に立つ税金情報』より一部抜粋

著者/大村大次郎
元国税調査官で著書60冊以上の大村大次郎が、ギリギリまで節税する方法を伝授す有料メルマガ。自営業、経営者にオススメ。
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