このケースでは遺言書があったので良かったですが、もし遺言書がなければ、(記事によると)長年お金を無心していた娘ふたりが全財産を相続する権利を持ち、長年献身的に支えてきた家政婦には一銭の相続権さえ与えられない。
裁判を経ることになってしまったのは財産をのこした方にとっては想定外だったかもしれませんが、それでも本当にお世話になった方に財産をのこせた、というのは、やはり遺言書があったからです。
ちなみに、日本の法律では、今回のケースでは娘2人にはそれぞれ「遺留分」という最低限の権利は保障されています。遺留分は、本来の相続分の2分の1。つまり、この場合は1人につき「相続財産総額の4分の1」ですね。
家政婦の女性に全財産を遺贈するとの遺言書は有効ですが、この「相続財産総額の4分の1」ずつは請求されたら支払う必要があります。遺言書の中に、遺留分についての記載があったどうかも気になるところです。
遺言書はとても強い効力をもつ書類です。そのため、確かに多少面倒なところはあります。しかし、自分が築き上げてきた財産、守ってきた財産です。その行先を流れに任せてしまうのではなく、
誰にのこしたいのか。
どうのこしたいのか。
しっかりと自分の意思で決めていこうと考えていただくきっかけになれば幸いです。
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