ロシア~アサド政権を守りたい
シリアに海軍基地をもつロシア。シリア内戦が勃発した当初から、親ロシア・アサド政権を支援してきました。
2015年9月からは、シリアIS空爆を開始。ついでに「ヌスラ戦線」など「反体制派」への空爆も行いアサドを守ってきました。ロシアの空爆に支えられ、アサド軍は息を吹き返し、失地を続々と奪回しています。プーチンは、アメリカが中東への関心を失っているのを見て、停戦の主導権を握ったのです。
つまり、ロシアも停戦を望んでいる。それは、アサド政権を守るためです。
アサド~生き残りたい
そして、もっとも停戦を望んでいるのがアサド自身でしょう。2011年に内戦が勃発したとき、アサドは、イラクのフセイン、リビアのカダフィのような、「暗黒の未来」を想像したに違いありません。
しかし、ロシアとイランに支えられ、なんとか今日まで乗り越えてきた。「奇跡的」といってもよいでしょう。
今、ロシアだけでなく、アメリカも「停戦しようよ」といっている。戦況が有利なうちに乗ったほうがいいに決まっています。
反アサド~梯子を外された
では、反アサドはどうなのでしょうか? これは、さまざまな勢力がいるので難しいです。
停戦案を受け、アサド政権との和平協議(2月上旬から中断)に参加している反体制派主要組織は、諾否に関する協議を始めた。
有力な反体制派組織のうち、世俗派「自由シリア軍」系の「南部戦線」は停戦に前向きだ。
一方、イスラム武装勢力の「イスラム軍」と「アフラル・シャム」は難しい対応を迫られている。
(毎日新聞 2月23日)
欧米が、「穏健派反アサド」というとき、「自由シリア軍」をさすことが多いです。
いずれにしても、「反アサド」は、アメリカから「梯子を外され」戦闘を継続するのが難しくなっています。それでもアサドとの戦闘を継続するのか、しないのか? おそらく、「反アサド」の中で、意見が分裂していることでしょう。
欧州~難民の流れを止めるため、シリアに平和を
欧州は、シリアから大量の難民が押し寄せてきて困っています。それで、「シリアが安定し、シリア難民が欧州に来ない状態をつくりたい」という動機がある。
こう見ると、大国は皆「停戦」に賛成。条件は「整っている」ように見えます。