その裁判で、ホテル側は、アンドリューズさんの滞在してる部屋を、犯人のバレットに教えていないと猛烈に反論。
ホテルのフロント係りは、フロントに来た犯人に他のお客の許可なしで、部屋番号を教えることは絶対にないし、予約時にもそんなことはできない仕組みとルールになっていると主張。
マリオット・グループの副社長も、31年間働いてきたけど、こんなケースは初めてで、絶対に、アンドリューズさんの部屋を教えることなんてありえない、と各所でふれまわった。
しかし、数日に渡って公判が続く中、2時間半にもわたる犯人の音声テープによる証言が行われることになり、どうやって隣の部屋を確保したのか、その手口が明らかにされた。
それによると、まず、フロント係に聞いても教えてもらえなかったが、レストランに行くふりをしてフロントからはずれ、ホテル内に設置してあった内線電話でフロントに電話し、
「アンドリューズさんにつないで」
と伝えたら、特に、何も言われずにつないでもらえて、内線電話のデジタル表示画面には、相手(つまりアンドリューズさん)の部屋番号が表示されるので、それで分かった、という。
犯人が、すぐにその部屋がある階に行ってみると、メイドがその部屋の隣の部屋を掃除していたので、そこで、隣の部屋に空室があることを知ったとのこと。
また、室内から漏れてくる声で、アンドリューズさんが滞在していることも確認したそうだ。
後は、フロントに戻って、先ほど確認してきたアンドリューズさんの隣の空室になっている部屋を、部屋番号で指定して確保するだけ。
まったく問題なく、隣の部屋を確保できたという。
・・・とまぁ、このように犯人本人の証言で隣の部屋を確保した手口が明らかにされたわけだが、これがすべて事実なら、80億円を超える巨額の賠償金を支払わなきゃいけなくなるほどの過失は、ホテル側にはなかったんじゃない?って印象を受ける方も、たぶん、いらっしゃるだろう。
まず、アンドリューズさんの部屋番号を教えたわけじゃないし。
そもそも、何十億円もの巨額の賠償金を請求できるような事案なのか?っていう、根本的な疑問もないわけではない。